2025年9月25日~28日に、千葉県・幕張メッセにて開催の「東京ゲームショウ2025(以下、TGS2025)」の出展タイトルから、筆者が注目する魅力的なタイトルをピックアップして紹介しよう。
なお、基本的には今後リリース予定の開発中のタイトルや、ローンチから間もないタイトル、早期アクセス中のタイトルを対象としている。


壮大な自然が描く、新たな冒険のはじまり
『Planet of Lana II』は、前作『Planet of Lana』から約1年後を舞台に、少女ラーナと相棒ムイの新たな旅を描くSFアクション・アドベンチャーゲームだ。スウェーデン・ヨーテボリを拠点とするインディーゲーム開発スタジオ"Wishfully"が手掛け、前作と同じく壮大な自然が映える旅と、緊張感ある冒険を組み合わせている。
舞台は、宇宙のどこかにある緑あふれる星。かつて人びとは穏やかな暮らしを営んでいたが、その静かな日々は突如として現れた機械の軍勢によって打ち砕かれた。
前作で描かれたのは、その混乱の中で運命に導かれた少女ラーナと、小さな相棒ムイの物語。ふたりは心を通わせ、冒険の果てに脅威の解決へとたどり着くと同時に、惑星の歴史に隠された真実の一端に触れることになった。



その出来事をきっかけに、人びとの暮らしや価値観は大きく変わりはじめ、昔ながらの生活を守ろうとする者もいれば、未知の機械の知識を受け容れて追い求める者もいる。社会は少しずつ分かれ、星は大きな転換点を迎えている。
『Planet of Lana II』の魅力は、そんな世界を舞台に、ラーナとムイが協力して進めるゲーム体験にある。ムイへの指示がより細かく通るようになり、探索や仕掛けでの役割が広がっている。巨大な生物を操って道をひらいたり、新しく登場するハイブリッドロボットを動かしたりと、多彩なパズルが用意されている。

危険なシーンでは隠れて進んだり、とっさの判断で敵を出し抜いたりする必要がある。さらに壁ジャンプや狭い場所に走って滑り込む「ランスライド」といった新しいアクションも加わり、緊張と爽快さを併せ持ったシーンが楽しめる。
物語もさらに拡張され、ボリュームの増した冒険が描かれる。雪におおわれた山、暗い海の底、忘れられた遺跡などを巡る中で、ラーナは自分の心に潜む影や、星に隠された暗い真実に近づいていく。単なる星の救済にとどまらず、長い時の流れとともに広がるSFアドベンチャーとしての魅力を感じられるだろう。
試遊版レポート:少女と小さな相棒が歩む、変化した惑星の旅
今回のTGS2025での試遊版は、製品版に含まれるいくつかのチャプターをつなぎ合わせた特別仕様だった。本来は物語を進めなければ見られないシーンでの新アクションや仕掛けを、先行して体験できる構成になっていたのが特徴だ。
試遊では、雪原・水中・ジャングル・工場など、4種類のステージを巡ることができた。例えば、水中ではムイが魚のような生き物を操り、道を阻む巨大魚をうまく誘導するといった仕掛けも登場。多様なステージを通じて、新しい世界の一面をのぞくことができた。

プレイヤーは基本的にラーナを操作し、必要に応じてムイに指示を出しながら進んでいく。ラーナが自らオブジェクトを動かして足場を作ったり、ムイにスイッチを押してもらったりといった仕組みは前作から引き継がれているが、今作ではムイが機械をハッキングして動かす要素が加わっていたのが新鮮だった。
また、前作に続き、本作でも作中独自の言語や文字が登場するが、翻訳テキストは一切表示されない。キャラクターのしぐさや環境描写といったノンバーバルな手法によって物語が進み、プレイヤーはそこから状況を読み取り「いま自分が何をすべきか」を考えることになる。
試遊版で体験できたパズルはしっかり作り込まれており、言葉がないからこそ一層考えさせられる歯ごたえがあった。じっくり観察して取り組むのが好きな方には、特に響く内容ではないだろうか。

今回触れることのできたストーリーは断片的なものだったが、思想の異なる人間の勢力と出会い、この世界がどれほど変化してしまったのかを垣間見ることができた。価値観の違いから生まれる分断の兆しが、物語の奥行きを感じさせる。
『Planet of Lana II』は、穏やかでありながら張り詰めた世界を描く、美しいSFアドベンチャーだ。前作の物語に心打たれたプレイヤーのひとりとして、ラーナとムイの新しい物語が、また多くの人の心に灯をともすことを願っている。
本作は2026年初頭のリリースに向けて、PC(Steam)・コンソール(Nintendo Switch 1/2, PlayStation 4/5, Xbox Series X/S)・Xbox Game Pass向けに鋭意開発中だ。
開発チームインタビュー:静けさと躍動のあいだで――『Planet of Lana II』が見せる進化のかたち
今回、合同ブースを展開するNeon Noroshiの協力のもと、Wishfullyの共同創業者・クリエイティブディレクターのAdam Stjärnljus氏、同じく共同創業者・共同ディレクター・シナリオ担当のKlas Martin Eriksson氏、そして、作曲家の古川武志氏にインタビューする機会を得られた。
インタビューでは主に、Klas Martin Eriksson氏(以下、Klas氏)と古川武志氏(以下、古川氏)にご回答いただいた。

――『Planet of Lana』は、当初からシリーズ化を想定していましたか? それとも前作の反響を受けて今作が実現したのでしょうか。
Klas氏:
最初の段階では、続編をつくる予定はありませんでした。けれども脚本を書き進めて、世界の背景を深く掘り下げていくうちに、「この物語にはまだ広げられる余地がある」と感じたんです。そこから自然に、次の作品の構想が形になっていきました。
――本作は、前作からどの程度の時間が経過しているのでしょうか。特に主人公であるラーナに対して、プレイヤーにどんな成長を感じてほしいですか。
Klas氏:
物語としては、およそ1年後の出来事になります。そこまで長い年月が経っているわけではありません。
ラーナはまだティーンエイジャーで、思春期の途中にいるような純粋さと強さが混ざった時期ですね。大人になりきってはいないけれど、精神的に少しずつ成長しはじめている。そんな微妙な変化を感じ取ってもらえたら嬉しいですね。

――続編を作るにあたり、最初に決めた「これは前作から変えるべき」「これは守るべき」という方針は何かありましたか。
Klas氏:
そこはとても悩んだところです。変えるべき部分と、前作の魅力として残すべき部分のバランスを取るのが本当に難しかった。
まず、大きく変えたかったのは操作の手触りや反応ですね。ラーナをもっと自分の手でしっかり動かしていると感じられるようにしました。そして、ムイとの相互作用もより多く、自然にできるようにしています。
さらに、前作ではあまり描かれなかった「人の存在」を少しずつ掘り下げて、世界に厚みを持たせるようにしましたが、前作が持っていた静けさや、言葉に頼らず感情を伝える雰囲気はしっかり守るように意識しています。
――プレイヤーから得たフィードバックで、今作の開発方針に直接影響を与えたものはありますか。
Klas氏:
はい、もちろんありました。私たちは前作のプレイヤーからの意見やレビューをかなり注意深く見ていました。先ほども言ったように、ゲームを変えるとき、そのバランスを取るのは本当に難しい部分なんです。
まず、開発チームの中で「自分たちが改善したい部分」を見直し、そのうえでプレイヤーからのフィードバックを重ねて方向性を固めていきました。特に大きな影響があったのはアクション面ですね。前作ではややシンプルだった操作感を、より自然で反応のよいものにするために多くの改良を加えました。
動きの多様さやギミックの幅も広がっていて、プレイフィール全体をしっかり進化させられたと思います。

――今作では新規プレイヤーにも遊びやすいよう配慮されていますか? それとも、前作をプレイしている人向けの体験に重点を置いていますか。
Klas氏:
前作を遊んでいなくても問題ありません。『Planet of Lana II』は、初めてこの世界に触れる人でも自然に入り込めるように作っています。ゲームを進めていく中で、操作方法や世界の仕組みを少しずつ学べるようになっているんです。
もちろん前作をプレイしている方なら、キャラクターの背景や世界の変化をより深く感じられると思います。
――新しい環境(深海・氷山・遺跡など)も追加されていましたね。
Klas氏:
やはり、新しい環境を入れることで新鮮さを感じてもらいたいという思いはありました。
しかし、それ以上にこの惑星そのものの変化を描きたかったんです。前作から時間が経つ中で、世界がどう広がり、どう姿を変えているのか――それを見せることで、物語全体のスケールも広がっていくようにしたいと考えました。

――前作同様、プレイヤーに字幕やテキストが表示されないノンバーバルな物語表現が特徴ですが、今作ではどんなことを心がけましたか。言葉を使わずに感情や状況を伝えるために工夫した点を教えてください。
Klas氏:
完全なノンバーバルというよりも、ゲーム内では「架空言語」が使われています。ただ、その言葉が翻訳されることはなく、プレイヤーはキャラクターの動きや仕草、場面の雰囲気から状況を感じ取っていくんです。そこは前作から大切にしている部分ですね。
古川氏:
とても難しい挑戦でしたね。使える手段が限られているぶん、どの要素で感情を伝えるかを絞り込む必要がありました。声のトーンや呼吸音、そして音楽の強弱など、限られた要素の中で表現を磨いています。
音楽は今作でも非常に重要な要素です。あえて感情を前に出すような構成にしていて、どちらかといえば少しディズニー的というか――物語の感情の波を音で導くようなアプローチを取っています。
――前作に続いて古川武志さんが音楽を担当されていますが、今作ではどんなことを心がけて作曲されましたか。前作らしさを残す部分と、新しく挑戦した部分について教えてください。
古川氏:
まず、同じ作品の世界で自分が書いたテーマをもう一度発展させられるというのは、作曲家として本当に恵まれた経験だと思っています。こうしたシリーズ化されたプロジェクトでないと、なかなかできないことですから。
もちろんチャレンジもありました。やはり1作目で出し切った部分も多かったので、「ここからさらにどう超えていこうか」という課題は常にありました。でも振り返ってみると、この数年で自分自身も作曲家として成長していたんだと思います。前作を見返して、「今ならもっとこうできる」と自然に感じられたので、思っていたほど難しくはなかったですね。

――チームの規模や開発プロセスに、前作からの変化はありましたか。
Klas氏:
はい、かなりの変化がありましたね。前作の評判がとても良かったおかげで、「ぜひ次の作品に関わりたい」と言ってくれる才能ある人たちが多く集まってくれたんです。新しいメンバーが増えたことで、チーム全体の規模も大きくなりました。
同時に、前作からのメンバーも多く残っていて、彼ら自身も成長しています。だからこそ、チームとしても強くなったと感じています。作品のDNAを理解している人がそのまま関わり続けること――それが一番大事だと思っています。
もしテレビシリーズで、次のシーズンから主役が変わってしまったら驚きますよね。それと同じで、核となるメンバーが変わらないことが、シリーズとしての一貫性を保つうえでもすごく重要なんです。
――『Planet of Lana II』はシリーズとしての最終章なのでしょうか。それとも、今後もこの世界を舞台にした物語を構想されていますか。
Klas氏:
現時点では、次の作品について具体的な予定はありません。ただ、この世界はまだまだ広がる可能性を秘めていると思っています。
私たち自身も、またこの世界に戻ってきたくなるかもしれませんし、物語の続きを描くチャンスがあれば、きっと楽しいものになるはずです。

――前作からのファンと共に、新しくこの作品に触れるプレイヤーもいると思いますが、この作品をプレイすることでどんな体験をしてほしいですか。ファンやプレイヤーに向けてのメッセージをお願いします。
Klas氏:
まず、前作を遊んでくれたファンの皆さんには、「好きだったあの感覚」をもう一度味わってもらえると思います。そのうえで、物語もゲームプレイも前作の約2倍のボリュームになっていて、より深く、より広い冒険が待っています。
この惑星で何が起きているのか、なぜそうなったのか――その答えの一端が今作で明かされます。前作の世界観が好きだった方はもちろん、今回初めてこのシリーズに触れる方にも、壮大な自然と静かなドラマが織りなす体験を楽しんでもらえるはずです。
細部まで物語を感じ取りたい方にこそ、ぜひプレイしてほしいです。
| 基本情報 | Planet of Lana II |
|---|---|
| 開発 | Wishfully |
| 販売 | Thunderful Publishing |
| 配信日 | 2026年初頭 |
| 言語 | 日本語有り |
| 価格 | 未定(Steam) |
ライター:朝比奈 編集:LayerQ


