2025年9月25日~28日に、千葉県・幕張メッセにて開催の「東京ゲームショウ2025(以下、TGS2025)」の出展タイトルから、筆者が注目する魅力的なタイトルをピックアップして紹介しよう。
なお、基本的には今後リリース予定の開発中のタイトルや、ローンチから間もないタイトル、早期アクセス中のタイトルを対象としている。


繰り返される7日間で変化する列車とその世界
『クワイエット急行909号室』は、7日間かけて大陸を横断する鉄道「クワイエット急行」に乗り込み、さまざまな人々と出会いながら謎を解き明かす車窓の旅アドベンチャーだ。
『ナツノカナタ』『ムーンレスムーン』『ガールズメイドプディング』などで知られる、ストーリーライター・インディーゲーム開発者のKazuhide Oka氏(STUDIO 909)が手掛ける。


本作は、存在しないはずの909号室を探して、クワイエット急行で旅する物語だ。深夜の走行音や窓外の灯り、朝焼けの食堂車で飲むコーヒー。列車で過ごす一瞬一瞬が、物語の断片となって積み重なっていく。
駅ごとに乗り込む人々は、生まれも目的も抱える悩みもさまざまだ。通路ですれ違い、言葉を交わし、やがて彼らの心の奥をあなたは知ることになる。ときには旅の行方を変えるような、忘れられない出会いも訪れるだろう。

7日間の旅が終点にたどり着くと、あなたは再び始発駅に立っている。昨日と同じはずの列車なのに、窓外の景色も座席に座る人々もどこか違う。繰り返される7日間で変化する列車と景色を辿る旅の中で、世界の綻びが少しずつ姿を現す。
列車には厳重な扉や押しても動かないスイッチ、秘密の天井裏といった仕掛けが潜んでいる。客車や食堂車、貨物車を組み替えることで閉ざされた通路が開き、新たな探索の手がかりが見つかるかもしれない。
そして最大の謎、「909号室」。誰もその存在を知らない部屋はどこにあり、かつて何が起きたのか。ループする7日間の果てに、真実へとたどり着けるのだろうか。

「909号室」への道筋はまだ途中──木戸祥也氏インタビュー
今回のTGS2025では、客車を探索する短い試遊版が出展されていた。
1つの車両を端から端まで自由に歩き回れるが、できることはまだ少なく、およそ10分程度の内容だ。窓辺に飾られた本やコーヒーカップなどを調べると入手でき、客室にいるキービジュアルの女性が反応を返してくれる──そんなシンプルな体験になっている。

ブースでは、STUDIO 909のプロデューサー・木戸祥也氏からお話を伺うことができたが、本作は7日間をループする物語という大枠は決まっているものの、細部はまだ構想段階だと明かしてくれた。プレイヤーは車両を組み替えて909号室を目指すことになり、人によって異なる風景や出来事に出会えるようにしたいとのことだった。
プレイヤーが操作するキャラクターが何者なのかはまだ決まっておらず、客車を操作するという要素に説得力を持たせるかどうかも検討中で、現実的な方法にするか、ファンタジー寄りにするかはまだ決めていないのだそう。

また、本作は、経済産業省のクリエイター支援プログラムである創風の2期タイトルに採択されている。木戸氏は、「たくさんのアイデアがある中で本作から形にしていこうということになりました。まだ作り始めたばかりですが、完成は来年後半を目標にしています。イベント出展のたびに少しずつ形になっていくので、Oka氏の作品づくりが好きな方にはぜひその過程も一緒に楽しんでもらえたら嬉しいです」と語ってくれた。
『クワイエット急行909号室』は、PC(Steam)でのリリースに向けて鋭意開発中だ。
基本情報 | クワイエット急行909号室 |
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開発 | Kazuhide Oka |
販売 | STUDIO 909 |
配信日 | 未定 |
言語 | 日本語有り |
価格 | 未定(Steam) |
ライター:朝比奈
編集:LayerQ