トンチキレターで運命をすっころがせ! 依頼人の手紙をルーレットで代筆するアドベンチャー『代筆屋ワールドワード』先行プレイレビュー

レイリー

2025/11/27

本稿は事前にレビューキーをご提供いただき、執筆しています。

「竜頭蛇尾」「有終の美を飾る」「終わり良ければ総て良し」といったように、物事の終わりに関する言葉は非常に多い。それだけ、終わりというのは大事にせよと、今も教訓として伝わっている。だが、『代筆屋ワールドワード』の主人公は一味違う。肝心要な締めの一文を、全部ルーレットで適当に決めてしまおうとしているからだ。

『代筆屋ワールドワード』は、依頼人の代わりにさまざまな手紙を代筆していくアドベンチャーゲーム。本作はゲーム投稿サイト「ノベルゲームコレクション」にて公開された同作に、新たに第2話~第5話を追加したパワーアップ版だ。

インディーゲームやTRPGルールブックの制作など、多岐にわたって活動する創作サークル「秘密結社マテンロウ計画」と、プログラム面を担当する「Studio Dragonet」によって開発が手掛けられている。

Steam:代筆屋ワールドワード
代筆屋の店員になって人のラブレターや謝罪文を代わりに書いてあげよう! 肝心の文章がルーレットで決まってしまう、ハチャメチャ代筆アドベンチャー。

プレイヤーは代筆屋の新入社員として、先輩社員「モノ」に導かれながら、ラブレターや謝罪文、ロックナンバーの歌詞などあらゆる文章を依頼人の代わりに書いていく。だが、本作の主人公は気分屋ゆえに、締めの文章が思い浮かばないのでルーレットで決めてしまおうという暴挙に出る。

本作は執筆パートと探索パートに分かれている。執筆パートでは、プレイヤーができるのは締めの部分をルーレットで決めることだけ。3回のルーレットを止めてできあがった文章は、大抵はちゃめちゃなものになってしまうが、実際のところどうなろうと物語に影響はない。思う存分面白おかしい文章を作り上げよう。

一方、探索パートでは、街中を自由に調査し、依頼人の要望に沿った言葉を探していく。どちらのパートもゲームオーバーやバッドエンドに向かう選択肢などは一切なく、肩の力を抜いて楽しめる。

以前、体験版についてご紹介したが、本稿では、2025年11月27日より発売となった本作の魅力についてあらためてご紹介しよう。基本的なシステム等は体験版の紹介記事にてご紹介しているので、そちらもご参照いただきたい。

締めの一文はルーレットで運任せ!? 依頼人の手紙を無責任に代筆するアドベンチャー『代筆屋ワールドワード』体験版プレイレポ
『代筆屋ワールドワード』体験版プレイレポート。本作は、依頼人の代わりにさまざまな手紙を代筆していくアドベンチャーゲームだ。

依頼人のやったことが擁護できない! だけど憎めない!

体験版時点でも本作の破天荒なテキストの数々は堪能できたが、製品版でそのカオスぶりはさらに加速している。

まず、本作で代筆を依頼してくる人々なのだが、彼らの個性は強烈。それも、「7股が事実と認めるイケメン配信者」や、「どうみても違法な製品を製造しているマッドサイエンティスト」など、あんまり擁護できないような面々が揃っている。

▲どうみても何らかの法に触れている

あんまり擁護できないような面々が依頼人というのが絶妙。このおかげで、依頼の文章をめちゃくちゃにしてしまっても「まあいいか!」と心理的に割り切りやすくなっている。カオスな文章を作り上げるのが醍醐味の本作だが、依頼人に対して罪悪感を抱いてしまう心配はない。

むしろ、めちゃくちゃな文章が書きあがったおかげで、依頼人の状況が好転することもシナリオによってはあるので、積極的にふざけていける。

▲捕まった方が世のためにはなるだろう……多分

そして、代筆屋の店長さんがそれを後押ししてくれるというのも大きい。店長である彼女は眉目秀麗でいかにも仕事ができそうな風格をまとっているのだが、困ったことに奇行や変人が大好物。

主人公がどれだけ変なことをしようとも、それが店長のツボに入ってどんどんシナリオ終了時にもらえる給料を上げてくれる。シンプルに所持金が増えるため、ゲーム的にも得をする要素となっており、それがプレイヤーの好奇心を加速させていく。

ご覧のように、本作のシナリオは奇人変人の集まりではあるのだが、キャラクターたちに決して感情移入できないわけではない。たとえば、イケメン配信者の「スノーホワイト」は、7股したというどうあがいても擁護できない事実がある。

だが、その女性全てを幸せにすると断言してみせるなど、妙なところで男気を見せてくる。また、7股を成立させただけあって感情の機微を察するのも得意で、そういった気遣いを主人公にも行う……など、どうにも憎み切れない性格をしている。

▲反省はしない

他のキャラクターたちも強烈な個性を持ちつつも、終わってみれば皆なんだかんだ好きになっている。そんな愛にあふれた作品でもある。サブモードの「WORLD WAVE」では彼らのプロフィールをより深堀できるので、気が向いたときに覗いてみると意外な一面を発見できるかもしれない。

▲そうだったの!? と驚くようなプロフィールも眠っている……かもしれない

ふざけた選択肢にご褒美?

本作の第2話以降では、手紙を書く執筆パートの前に「散策パート」が追加される。本パートは街を自由に調査し、依頼人の要望に沿った言葉を探していくという内容になっている。調べられる場所や話しかけられる人物は強調表示されているので、迷うこともないだろう。

言葉は住民と会話して閃いたり、テレビの何気ない台詞の一部を拾ったりとさまざまな場所から見つけられる。ただし、拾う言葉はあまりにも無作為。雄たけびをそのまま記してしまったり、吹き込まれた謎の言葉をそのまま使ってしまったりと、大抵の場合はカオスな方向へと突き進んでいく。

体験版では言葉を集めるだけだったが、製品版ではもらった給料を使って買い物をすることもできる。買い物ができる場所は、さまざまな雑貨を取りそろえる「あざらし百貨店」と、店員さんたちが真心こめてサービスを提供してくれる「メイドカフェ」の2か所がある。

ここでは、新たなワードを覚えられる「テレビ」といった自室で使えるアイテムや、執筆中に効果を発揮するアイテムなどを購入できる。「期間限定」と説明されるもの以外は自由に買えるので、気が向いたものを買ってみるといいだろう。

また、百貨店で買える「つまらないもの」は登場キャラにプレゼントすることで、「WORLD WAVE」で見られるプロフィールが増えるというおまけ的要素もある。キャラクターによってはかなり意外なプロフィールもあったので、ぜひ見てほしい。

探索パートを終えて執筆パートに入ると、ついに買ったアイテムの効果が発揮される。たとえば、メイドカフェでコーヒーをテイクアウトしていたら、集中力がアップ! ……とはならない。主人公は非常にうっかりしているので、開幕でコーヒーを勢いよく便箋にこぼす。そして、そのまま書き始めるという暴挙に出る。ツッコみが追いつかない。

▲コーヒーをこぼした様子

このように、買ったアイテムは基本的に執筆パートの装飾に使われる。依頼人の要望にそって豪華絢爛にしてみたり、熱い雰囲気を出したりと真面目にやることもできるが、ここの店長は前述のとおりなかなかの曲者。「変なことをしたら給与を上げる」という方針通り、依頼が台無しになっていく装飾のほうが主人公の給料は上がっていく。

選択肢の中にふざけたものがあったらつい選びたくなってしまう……というのはゲーマーとしてのサガかもしれない。だが、大体はそんな選択肢を選んだらお仕置きされてしまうというもの。本作はそこにお仕置きを与えるどころか、給料が増えるというご褒美をくれる。これは……ふざけるほうを選ぶしかないだろう。

▲落としたハムがくっついたまま完成することもある。そんなバカな……

全5話のクリアまでは2時間程度となっており、1話分遊ぶのに大体20分程度と気軽に遊べるボリューム感となっている。よりカオスな締めの文章を求めてリプレイしてみるのも面白く、動画サイトなどでの配信にも非常に映えると感じた。

UI面も非常に分かりやすく、クリックだけでもプレイ可能。そして、セーブも自由なタイミングで行えるので、ゲームは非常にストレスフリーなつくりとなっている。分岐要素はわずかな台詞差分のみで、エンディングまで一本道の設計となっているので、誰でも最後まで遊べるだろう。

▲相棒となるモノも、喜怒哀楽豊かでとてもかわいい

また、本編クリア後には執筆パートのみを延々と遊び続けられる「エンドレスモード」も解放される。こちらでは、本編に登場したキャラクターの他、どこかで見たことあるようなキャラクターたちも登場し、また新鮮な気持ちで遊べる内容となっていた。

かわいらしいテイストの世界観やドット絵に惹かれた方や、とにかく笑いたい! 楽しい気分になりたい! というときに遊んでいただきたい作品となっている。

配信者さんへの恩返し的作品に

本作を手掛ける秘密結社マテンロウ計画の総帥うた氏にお話を伺うことができたので、最後にそちらもご紹介しよう。

元々うた氏は『機械仕掛けの嘘と夢』や『魔王ちゃんの勇者誘惑大作戦!』などを「ノベルゲームコレクション」にて公開していた。これら過去作が配信者経由で伸びたという経緯があり、そこから配信者さんへの恩返しとして、配信映えする作品を作りたいと思ったことがきっかけだったとのこと。

手紙の文章を選択肢から選んで作っていくという無難なシステムで考えていたところ、同サークルのムク氏がルーレットで決めてしまうという案を出したそう。それがあまりにも予想のつかない文章を生み出す形となったため、本採用となったようだ。

このような経緯で完成したノベルゲームコレクション版は、15分程度でクリアできる軽いボリュームのものだった。だが、製品版としてリリースするにあたって大幅なボリュームアップが必要になったとのこと。元々ルーレットの締めの文章ありきでシチュエーションを練っていたことから、話数を増やすにつれ考えるシチュエーションも多くなり、なかなか難航したそうだ。

そんな締めの文章だが、作品の根幹ともなる部分で筆者は大ウケしながらプレイをしていた。どのように考えているのか伺ったところ、基本はサークル内の二人でネタ出しをしつつ調整していたとのこと。本作は重い作風にしたくないとの方針もあって、ギャグテイスト強めに制作していたとのことだ。

キャラクターデザインに関しては、ノベルゲームコレクション版を2週間で完成させたいと目標を立てていたこともあり、色々な工夫を凝らしていたとのこと。たとえば、自身がTRPG等で動かしたことのあるキャラクターの設定を持ってきたり、台詞から逆算する形で作ったりと、製作期間を短くまとめる工夫があったそうだ。

そんなキャラクターたちだが、同情を誘わない設定になっているのはある程度意図的なものとのこと。まともに救わなくていいキャラクターだからこそ、はっちゃけた文章を思う存分作ってほしい、変なことをして失敗してみてほしいという思いに沿った形となっているようだ。

実際、ふざけることに罪悪感が少しでもある依頼になってしまっていれば、ここまで笑い飛ばすことも難しかったように思える。絶妙なバランスで本作は成り立っていると感じた。

最後に、本作で特に注目していただきたい点を伺ったところ、最終話という回答をいただいた。エンディングまで遊んでほしいというお言葉どおり、本作はキャッチーなギャグテイストにあふれながらも、とても丁寧に最後まで作られている。

まだまだ遊んでいたいと思ってしまったくらいには、エンディングまで短いながらも濃密なプレイ体験が待っているだろう。

また、エンディングと合わせて、本作に収録されている「前日譚」も読むと一層味わい深いものとなるように感じられたので、プレイの際にはぜひそちらも注目いただきたい。

『代筆屋ワールドワード』は、Nintendo Switch, PC(Steam)にて2025年11月27日より発売中。この締めの文章もせっかくなのでルーレットで……というわけにはいかないが、本作でたまたま出来あがった文章で締めたいと思う。「代筆屋にキュンとしてにゃん☆


基本情報 代筆屋ワールドワード
開発 秘密結社マテンロウ計画, Studio Dragonet
販売 Waku Waku Games
配信日 2025年11月27日
言語 日本語有り
価格 1,500円(Steam
1,500円(Nintendo Switch

ライター:レイリー 編集:LayerQ

この記事で紹介されているゲーム

代筆屋ワールドワード

インディー

アドベンチャー

日本語対応