『ニエンタム — オプス・ゼロ — (Nientum - Op.ZERO)』は、キーボードでプレイできるランアクション風のリズムゲームだ。プレイヤーは楽曲に合わせて対応するキーを押すことで、プラットフォームを駆け回るキャラクターを導いていく。開発ならびにパブリッシングを韓国のインディースタジオQueseraGamesが手がけており、ボイス・歌唱ともに有名声優による日本語吹き替え版が収録された力作だ。2025年11月24日より早期アクセスが配信されている。
キーを提供いただき早期アクセス版の本作をプレイすることができたので、その体験をもとに本作の魅力をお伝えしていきたい。

記憶をなくしたふたりの少女と不思議な劇場
記憶をなくした状態で目を覚ました少女アレフ(CV:安済知佳)は、同じく記憶が朧げな舞台役者リオラ(CV:高田憂希)と出会う。リオラは、自身すら忘れた罪の罰としてこの劇場に閉じ込められ、台本通りに舞台を演じるよう強制されているという。
出口のない劇場から脱出するため、アレフは舞台裏で装置を動かす舞台監督の役割を担い、リオラの演劇を進めていくことに。そうして、ふたりは劇場から指定される演目を次々に上演していく、というのが本作のストーリーだ。

軸となるリズムゲームにてプレイヤーが操作するのは、演劇中に舞台裏で駆け回るアレフ。プラットフォームのようになっているランアクション風のステージ上には、ノーツとして赤と青の宝石が出現する。プレイヤーの目的は、宝石の色に対応するキーを楽曲のリズムに合わせて押すことでアレフを操作し、装置を動かして、舞台を無事に終わらせることだ。ミスをするたび左上に表示される体力ゲージが減少していき、底を尽きればゲームオーバーとなる。
装置を動かすことで舞台上で演劇が進展し、適宜リオラの歌唱やセリフが流れてくる。このゲームプレイとストーリー進行が並行する相互干渉が新感覚で非常に面白い。リズムゲームとしての爽快感はもちろん、演劇の内容がアレフやリオラの状況に重なって見えるようなナラティブな体験や、プラットフォームアクションとしての見た目の楽しさ、操作によってプレイヤーが直接ストーリーに関わる達成感などが同時に楽しめるのだ。単純なリズムゲームの枠に収まらない“舞台”らしい多面的な魅力こそ、本作独自の楽しさであり特徴である。


本作は演目ごとに3,4ステージほどで構成されるチャプター形式で、チャプタークリア時にはカーテンコールとして舞台の一場面を切り取ったスチルイラストが表示される。リオラのさまざまな衣装を堪能できる嬉しいご褒美だ。
早期アクセスではあわせて5公演ぶんを遊ぶことができ、各演目のクライマックスではボスとの戦闘もある。ストーリー展開や演出とあわせ、それぞれの“ボス曲”も非常に熱いものとなっているので、ぜひ実際のプレイで体験してみてほしい。
演劇や会話を通して深掘りされるキャラクターの魅力
本作はリズムゲームをプレイする舞台パートのほかに、その合間に挟まる会話シーンもある。そこではふたりの性格や価値観などが掘り下げられていき、物語への感情移入も深められていく。たとえば、「明るいハッピーエンドが好きなリオラ」と「現実的な教訓や余韻の残る物語が好きなアレフ」の対比などだ。

舞台では1公演目でハッピーエンドの『オズの魔法使い』、2公演目は悲劇である『オルフェウスとエウリュディケ』が上演される。もちろんリオラが好きなのは前者で、アレフの好みは後者だ。しかし“突然見知らぬ世界にやってきた少女”という『オズの魔法使い』のあらすじはアレフの状況を思わせ、『オルフェウスとエウリュディケ』のカーテンコールで歌われる“罰を受けてもいい”というワードはリオラと重なるところがある。
ふたりそれぞれの結末を示唆しているのかと勘繰ってしまうものの、アレフが舞台監督として台本を修正するシーンもあり、この先ふたりの物語がどうなっていくのか予想がつかず、製品版が非常に楽しみな幕引きとなった。舞台上で楽曲とともに進行するストーリーは熱く、その展開にリズムゲームのかたちでプレイヤーが干渉できることもあって、感情移入しやすく、心ゆさぶられるものがある。6公演目の展開はぜひとも自身のプレイで体験していただきたい。

筆者自身、リズムゲームはかつてゲームセンターの筐体で何度か遊んだことがある程度の腕前だが、本作の操作は「D・Fキー」「J・Kキー」の押下もしくは長押しだけというシンプルな作りで入りやすく、一度もゲームオーバーにならずにストーリーを追うことができた。対応キーのカスタマイズが可能なところもありがたい。コロナ禍をきっかけに自然と引退のかたちになってしまった、というユーザーも少なくないと思われるが、そういったブランクのあるユーザーはもちろん、初心者にも勧めやすい作品だと感じる。
各ステージを選択して再挑戦できる機能や自由選曲モードも実装されており、フルコンボを目指してやりこむことも可能だ。ストーリーは比較的簡単な難易度になっているが、自由選曲でのハードモードはかなり難しく、やりごたえがある。さまざまなジャンルをまたぐ楽曲群は、どれも劇中伴奏音楽らしく展開の多い聴きごたえある仕上がりなので、何度も繰り返し遊びたくなるようなお気に入りの一曲がきっと見つかるだろう。

魅力的な楽曲と演出、キャラクタービジュアルの可愛らしさや繊細に描かれたスチル、ふたりを取り巻くストーリーなど、多彩な魅力を持つ本作。ストーリープレイではリズムゲームとしての難易度ややりごたえの面よりも、プレイによって発生する演出・ギミックや、プレイヤーが舞台を成功させる達成感、音楽にあわせてキーを叩く楽しさなどに重きが置かれている印象だ。ひとつでも取っ掛かりを感じた方は、ぜひ気軽に手に取ってみてほしい。
『ニエンタム — オプス・ゼロ — (Nientum - Op.ZERO)』は2025年11月24日よりPC(Steam)にて早期アクセスを配信中で、対応言語は日本語、英語、韓国語、中国語(簡体字/繁体字)となっている。
| 基本情報 | ニエンタム — オプス・ゼロ — (Nientum - Op.ZERO) |
|---|---|
| 開発 | QueseraGames |
| 販売 | QueseraGames |
| 配信日 | 2025年11月24日 |
| 言語 | 日本語有り |
| 価格 | 2,200円(Steam) |
ライター:しわしわ 編集:LayerQ
