2026年1月18日に、東京都・秋葉原 UDX Galleryにて開催された「DREAMSCAPE#4」の出展タイトルから、筆者が注目する魅力的なタイトルをピックアップして紹介しよう。
なお、基本的には今後リリース予定の開発中のタイトルや、ローンチから間もないタイトル、早期アクセス中のタイトルを対象としている。


「ケーキを運ぶ」アクションが、スリリングな体験に変わる
『Don't Drop The Cake』は、障害を乗り越えつつプレートに載せたケーキを落とさないように前進していく、一人称視点の物理演算アクションホラーゲームだ 。日本の個人ゲーム開発者のミドリヤマ氏が手掛け、2026年春のリリースを目指して開発が進められている。
本作は、さまざまなロケーションを舞台に、歩くたびにグラグラと揺れ動くプレートに載ったケーキを、落とさないよう目的地まで運び続ける作品だ。道中にはプレイヤーの行く手を阻むギミックや、暗闇から迫りくる未知の脅威が待ち受けている。
基本的には前進し続ける「ウォーキングシミュレーター」のスタイルを採っているが、常に揺れ動くケーキのコントロールが、単なる移動に独特の緊張感を与えている。もちろん、ケーキを床に落としてしまえば、その瞬間にゲームオーバーだ。不気味な雰囲気の中で、何よりもケーキの安全を最優先しなければならないという状況は、どこかシュールな滑稽さも漂わせている。


変化し続けるロケーションと、前進だけではないゲーム体験
本作では、キーボードのWASDで前進・後退・左右への方向転換を行い、マウスを左右に動かしてケーキのバランスを取る操作がベースとなる。視点のターンが90度単位に制限されているため、急な視線移動の直後などは、思わずケーキを落としてしまいがちだ。
今回の体験版では謎めいた洋風の屋敷の中を進んでいったが、幾度かドアを開けて進むとその光景が変わり、不気味な現象が次々とプレイヤーを待ち受けていた。壁にべったりと手形がついたり、飾られた絵画が不意に落ちたりといった演出に加え、一瞬の暗転後に謎の手が突然視界を塞いでくるようなジャンプスケアも用意されている。

さらには、底の見えない穴の上に渡された一本道の鉄骨の上を歩かされたり、進むべき道の先から頭部が巨大な一輪の「花」になっている異形の人物が迫ってきたりと、一筋縄ではいかないシチュエーションの変化が訪れた。
シンプルに「前進」すればいいのだという固定観念から、筆者は何度か「花」の人物の横をすり抜けようとしては捕まっていたが、実は方向転換して逃げればいいのだという。このアドバイスを受けて、ようやく体験版のクリアにこぎつけることができた。必死に逃げ回りながらも、手元のケーキだけは水平を保とうとする姿は、端から見れば相当に必死で奇妙な光景だったに違いない。
――このように、本作はただ前進するだけのゲームではないということだ。

「驚き」がケーキを揺らす――身体的な反応をゲーム性に
今回ブースで開発者のミドリヤマ氏にお話を伺ったところ、本作はホラーゲーム『Don't Scream』にインスパイアされたという。多くのプレイヤーが黙々とプレイする傾向にあることから、驚いた瞬間にマウスを握る手が「ビクッ」と動いてしまう反応に着目したとのことだ。その微かな手の震えをダイレクトに反映させるため、グラグラと揺れる「ケーキ」がモチーフに選ばれている。
ターゲットをケーキとした理由は、画面中央に配置した際の収まりの良さに加え、落とした時のサウンドのインパクトや、誕生日を迎えた実況者にプレイしてほしいという狙いもあるという。
演出をじっくり楽しみたいプレイヤーに向けては3段階の難易度設定が用意されており、低難易度ではケーキの揺れ具合や、迫りくる脅威のスピードが緩和される仕組み。自身のスタイルに合わせた体験をセレクトできるのは、ユーザーフレンドリーなポイントと言えるだろう。

単なる「運搬」では終わらない、本編に組み込まれる新たなギミックと物語
ミドリヤマ氏によれば、製品版ではベルトコンベアの上でケーキを運ぶといったアクション要素や、ロケーションが次々と変化していく演出も描かれるとのことだ。
現在は専業で開発を続けている同氏にとって、本作はソロでの初制作タイトルにあたる。本編では2時間から3時間ほどのボリュームを想定。バランスを取りながらケーキを運んでいくだけという、一見すると奇をてらったかのような内容だが、本編ではストーリー要素を組み込む予定なのだそうで、そうなると物語としての興味も一気に増してくる。なぜ主人公はケーキを運んでいるのか? 運んだ先に何が待っているのか――謎は尽きない。

本作は海外での反響も大きく、Steamのウィッシュリストは1万件に迫る勢いを見せている。特にアメリカや中国からのレスポンスが目立ち、次いで日本という順なのだそうだ。こうしたグローバルな反応を受ける形で、多言語対応も予定されている。ケーキのバランスを保つ独特のアクションとホラー――この組み合わせがどのように完成するのか、楽しみにしておきたい。
なお、Steamでは今回出展されたものとは内容が異なる、すでに製品版の要素が追加された「体験版」も配信されている。本稿で興味を惹かれた方は、この一風変わった作品を一度プレイしてみてはいかがだろうか。

| 基本情報 | Don't Drop The Cake |
|---|---|
| 開発 | Midoriyama |
| 販売 | Midoriyama |
| 配信日 | 2026年予定 |
| 言語 | 日本語有り |
| 価格 | 未定(Steam) |
ライター:朝比奈 編集:LayerQ



