Indie Gemは、リリースを控える期待の作品群から、明日を煌めく原石のようなタイトルを発掘し、体験版を元に紹介していくコーナー!
皆様は「インタラクティブ・フィクション」というゲームのジャンル分けについてご存じだろうか。古くはゲーム黎明期のころ、表現手段が現代よりも限られていたこともあり、テキストベースのアドベンチャーゲームが主流となっていた。
その中で、ただ文字を読み進めるだけでなく、プレイヤーがゲーム内に文字を入力して命令することで進めていく、という形式が登場。これが「インタラクティブ・フィクション」として呼ばれるようになっていった。
現在の「インタラクティブ・フィクション」というジャンルは、プレイヤーが能動的にゲームに介入して進めていく形のアドベンチャーゲームを指すことが多く、より広義的な意味合いとなってきている。そんな中、今回ご紹介するのは、前述の原義的な「インタラクティブ・フィクション」に違いない作品だ。

『駅前のカフカ』は、とある駅で出会った少女との物語を描くコマンド入力式アドベンチャーゲーム。Neji. Games氏によって開発が進められている。
本作はキーボードで直接コマンドを入力してゲームを進めていく。たとえば、何かを調べたければ「look」と打ち込むことで今見ている景色の様子を確認できる。コマンドはゲーム内で説明されているもの以外にも存在しており、プレイヤー自身がひらめく必要がある。探求心とひらめきで、物語を前へと進めていこう。
今回の体験版では第一章を遊ぶことができたので、その内容についてご紹介しよう。

あなたの手で物語を進めていくインタラクティブな体験

ゲームを始めると、タイトル画面下に「command」と表示される。「start」と「help」というボタンこそあれど、クリックをしても何も反応はない。それもそのはず、本作は全ての操作をキーボード入力で行う。タイトル画面では「start」と打ち込むことで、ゲームが始まるという形になっている。
とある駅舎内からゲーム本編は始まる。まずは辺りの探索を行いたいところだが、ここでもキーボード入力によって操作を行っていく。たとえば、右に行きたければ「right」、左に行きたければ「left」と入力して移動するといった形だ。
このほかにも、探索を行えるコマンドが一定数用意されているが、それがチュートリアルなどで示されることはない。ゲーム内の文章で示されるヒントや、「このワードが使えるかも……?」といったプレイヤー自身のひらめきでコマンドを入力していく流れとなっている。

ゲーム進行は基本的に一本道となっているが、次にどうしたらゲームを進められるか、どうなったらクリアかなどは現時点のゲーム内では示されない。
攻略の手掛かりなども手探りで見つける必要があるため、「東京ゲームダンジョン10」での試遊時には何人かクリアを断念されている方もいた。この難易度の高さも往年のアドベンチャーゲームを彷彿とさせるもので、挑戦的な仕様だと感じられた。

そんな挑戦的な仕様ながら、思いついたコマンドで物語が進んだときの喜びは他に代えがたいものがあった。「あの行動は英語で○○と書くはずだから……?」と推理していくのは、より能動的に物語を進めていく感覚を味わうことができる。
ドット絵のグラフィックも相まって、往年のアドベンチャーゲームの良さもしっかりと味わえるつくりだと感じた。
そんな本作の物語の第一章では、駅舎内で出会った少女とのやり取りがメインとなっている。彼女は主人公を謎のマスコットキャラクター「エビ太郎」に似ていると評するなど、少々ミステリアスな言動が特徴的だ。

そんな彼女とのやり取りは、本作の文学的な雰囲気とは裏腹にとても微笑ましいものばかり。体調不良を気遣ったり、マフラーを巻いてあげたりと、やり取りの一つ一つが非常に眩しい。改札から姿が見えなくなるまで、その場に立って見送る……という姿は青春の甘酸っぱさを思い出してしまった。
少女との関係性が、ここからどう変化していくかも見どころとなっている本作。2026年2月8日に開催される「東京ゲームダンジョン11」でも出展予定となっており、より踏み込んだシナリオとなる第二章が試遊できるとのことだ。体験版で本作の雰囲気へ引き込まれた方は、こちらもチェックしてみてはいかがだろうか。
インタラクティブな体験に文学的要素をプラス
2025年11月9日に開催された「東京ゲームダンジョン10」にて、本作を手掛けるNeji. Games氏にお話を伺うことができていた。最後にそちらもご紹介しよう。
本作はNeji. Games氏がプログラミングやシナリオ面、ドット絵なども全て1人で制作しているとのこと。アイデアの出発点となったのは、人気アドベンチャーゲーム『STEINS;GATE』をPC-98風に再現するというコンセプトで発売されたスピンオフ作『STEINS;GATE 変移空間のオクテット』と語ってくれた。
仕事の知り合いからゲーム制作の誘いを受けたNeji. Games氏だったが、元々ゲーム性が少ない作品だと、飽きてしまいがちだったというご本人の経験もあり、よりインタラクティブな作品を作りたいと考えていたようだ。

そこで、『STEINS;GATE 変移空間のオクテット』のコマンド入力式ADVをリスペクトする形で、ゲーム内にインタラクティブな要素を組み込むことを考えたそう。
PC-98作品のリスペクトがテーマだった『STEINS;GATE 変移空間のオクテット』とは趣向を変え、本作には文学的要素をプラスすることで独自性を高めていったとのことだ。
その文学的要素の源流は小説家・村上春樹氏の作品群とのことで、本作のタイトル『駅前のカフカ』も小説『海辺のカフカ』からのリスペクトだそうだ。主人公の独特な語り口からもその村上節のような一端が伺える。

第二章以降ではより踏み込んだシナリオになっていくようで、村上春樹氏の作品に見られる現実と幻想が入り混じるようなシナリオも想像してしまう。製品版では全四章構成となるようで、物語がどのように展開していくかにも期待が膨らむ。
『駅前のカフカ』の総プレイ時間は現時点で1~2時間程度を想定し、2026年冬ごろのリリースを目指して現在開発中。また、本作の1章が遊べる体験版が現在Steamにて配信中だ。駅前から少し不思議な世界へ飛び込んでみてはいかがだろうか。
| 基本情報 | 駅前のカフカ |
|---|---|
| 開発 | Neji. Games |
| 販売 | Neji. Games |
| 配信日 | 2026年冬 |
| 言語 | 日本語有り |
| 価格 | 未定(Steam) |
ライター:レイリー 編集:LayerQ
