この記憶は誰のものなのか。記憶の旅路を紡ぐ一人称視点の3Dアドベンチャー『プラトニカ・スペース』体験版プレイレポート【ゲムダン11】

レイリー

2026/02/15

2026年2月8日に、東京都・浜松町の東京都立産業貿易センター浜松町館にて開催された「東京ゲームダンジョン11」の出展タイトルから、筆者が注目する魅力的なタイトルをピックアップして紹介しよう。

なお、基本的には今後リリース予定の開発中のタイトルや、ローンチから間もないタイトル、早期アクセス中のタイトルを対象としている。

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ゲームダンジョン ► 2026年2月8日(日)、東京・浜松町でインディゲーム展示会を開催!
「東京ゲームダンジョン」・「大阪ゲームダンジョン」は個人や小規模チームが制作するデジタル・ゲーム(インディゲーム)の展示会です。手頃な出展料と充実した設備で、気軽に作品を出展・試遊できるイベントを目指しています。主催者も個人でゲームを作っているインディ開発者です。みんなで国内のインディゲームを盛り上げましょう!

記憶を整理していく不思議な旅路

プラトニカ・スペース』は、無数の部屋を探索しながら記憶を取り戻していく一人称視点の3Dアドベンチャーゲーム。終末世界を旅する少女たちを描いたテキストアドベンチャー『ナツノカナタ』などを手がけたKazuhide Oka氏(以下、Oka氏)が開発を行い、KAMITSUBAKI STUDIOがパブリッシングを務める。

プレイヤーは、見知らぬ部屋で目を覚ました「あなた」の視点で物語を体験していく。記憶を失った状態の「あなた」は、何度ドアを開けても部屋が続く、奇妙な場所を探索することになる。無数に続く部屋の中で、自分の記憶と、ここから脱出する方法を探していく不思議な旅路が紡がれる。

東京ゲームダンジョン11で出展された体験版では、物語の冒頭10分程度を遊ぶことができた。本稿では、試遊で体験できたゲームの基本的なサイクルについてご紹介しよう。

Steam:プラトニカ・スペース
扉を開けると、そこは誰かの記憶の中──『プラトニカ・スペース』は、記憶を取り戻すために無数の部屋を探索するサイコロジカル空間探索ADVです。

どこか透明感のある光景へ引き込まれる

温かな光が差し込む温室にたたずんでいる宇宙服を着た少女。本作のキービジュアルにもなっている光景が、体験版を始めると目の前に広がっていた。

記憶を失った様子の主人公は、「エララ」と名乗る少女に促され、じょうろを探すことになる。その後、見つけたじょうろをテーブルに置くと、草木に水をやっている「誰か」の記憶を垣間見ることとなった。

このように、本作では部屋を探索してアイテムを見つけ、そこで拾ったアイテムを特定の場所に置くことで、対応した記憶を取り戻していくことができる。ただし、取り戻した記憶は断片的で、自分の記憶かさえ分からない。

その後、温室から別の部屋へ移動して探索を続けようとするが、ドアを開けるとそこには「宇宙船」の船内のような空間が。普通ではありえない繋がり方だが、この不規則な繋がり方はどこか夢を見ているような気分へと誘ってくれる。

たどり着いた先の「宇宙船」でもアイテムを置くことができ、同じアイテムでもどこに置くかによって見られる記憶が異なる。記憶の中身は日常を感じさせる牧歌的なものから、この世界で起きている社会問題を感じさせるもの、ある出来事への後悔を感じさせるものまでさまざまだ。

どの記憶もそのときどきを生きる足跡を感じられるもので、つい思いをはせてしまうような没入感を得られた。

▲アイテムはシーン内での行動に連動して使用できることもある

そして、記憶を思い出すごとに「意識」のパラメータが消費されるが、これが消費されきると主人公は眠気に襲われ、一日の探索が終了する。手に入れたアイテムなどはすべて失ってしまい、また1から探索を進めていく……といった流れを繰り返していくのが、本作の基本的なサイクルとなっている。

とはいえ、開発を手がけるOka氏によれば、一日の行動制限こそあるものの、指定の日数を超えたらゲームオーバーといった要素は一切ないとのこと。ゆっくり時間をかければ、すべての記憶を誰でも回収できるようになっているそうだ。

体験版では、「意識」のパラメータを消費しきる前に、シナリオの途中で視界が突然ブラックアウトするという不穏な終わり方を見せた。いかにも続きが気になる終わり方だが、だからこそ期待感も高まるというものだろう。

一気に世界観へと引き込まれるような記憶の語り口や、温かな光が射すどこか透明感がある夢の中のような光景、聞いているだけで心穏やかになっていくチルなBGMなど、本作の没入感は抜群。また、3Dの一人称視点ということもあり、作品へ没入しているうちに、自分が世界の中へ引き込まれてしまうような感覚さえ味わうことができた。

10分という短い試遊時間ながらも、本作の魅力を存分に感じられる内容となっていた。

海外にも届くような作品に

本作の開発を手がけるOka氏にお話を伺うことができたので、最後にそちらもご紹介しよう。

KAMITSUBAKI STUDIO内の“インディーゲーム × 音楽”を掲げたプロジェクト「ANMC」の第3作目となった本作。これまでのANMC作品よりもさらに海外へ届く作品を考えていたとのことで、より海外認知の高いジャンルである3Dアドベンチャーを作りたいと考え、本作の開発が始まったそうだ。

その中で、Oka氏の作品群の持つ独特な雰囲気はぶらさないようにしつつ、ビジュアル面やストーリー面でより海外へと届けられるように工夫を重ねているとのこと。そこで、今回は日本のアニメチックな絵柄ではない方向のビジュアルで作りたいと考え、片倉もえ氏へデザインを依頼する形となったようだ。

体験版の中でも「宇宙船」といったワードが出てきたように、本作のシナリオにおけるジャンルはSF。海外へ届く作品を考えたときに、世界的にSF作品が好まれているからという理由もあって、本作の方向性を決めていったとのこと。

また、Oka氏は幼少期より小説に多く触れてきたとのことで、特に『戦闘妖精雪風』をはじめとした日本のSF小説が好きだったそう。このタイミングでSF作品を描くことは、ある意味Oka氏にとっての原点回帰と言えるのかもしれない。

そうした下地のもとに紡がれる文学的表現も、Oka氏の作品群での魅力の一つ。本作でもここを最大の魅力として訴求していくそうで、翻訳チームが現在ローカライズに注力しているとのこと。繊細な雰囲気がどのように翻訳されるのか、この点にも注目したいところだ。

『プラトニカ・スペース』はSteamでのリリースを目指して鋭意開発中。製品版ではどのような記憶が紡がれていくのか、物語への期待が広がる。


基本情報 プラトニカ・スペース
開発 Kazuhide Oka
販売 KAMITSUBAKI STUDIO
配信日 未定
言語 日本語有り
価格 未定(Steam

ライター:レイリー 編集:LayerQ

この記事で紹介されているゲーム

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