「そろそろ、かえる時間…」映画監督が作る文学的ミステリービジュアルノベルゲーム『蛙電話』ブースレポート【TOKYO INDIE GAMES SUMMIT 2026】

ばんじーよこすか

2026/03/27

2026年3月20日~21日に、東京都・高円寺の未来をつくる杉並サイエンスラボ IMAGINUSにて開催された「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT 2026(以下、TIGS2026)」の出展タイトルから、筆者が注目する魅力的なタイトルをピックアップして紹介しよう。

なお、基本的には今後リリース予定の開発中のタイトルや、ローンチから間もないタイトル、早期アクセス中のタイトルを対象としている。

※本稿では、自殺のシーンを含むゲームを紹介しています。

TOKYO INDIE GAMES SUMMIT 2026
インディーゲームのための新たなオフラインイベント『TOKYO INDIE GAMES SUMMIT 2026』(トーキョーインディーゲームサミット2026)が、2026年3月20日(金)21日(土)にIMAGINUSで開催決定!

電話でさまざまな人と話しながら失われた記憶を取り戻せ

蛙電話』は、旅行会社の電話オペレーターとして不思議な存在からの着信に応対しながら、自身の記憶と「神になるか、人間に戻るか」という運命の選択に向き合うビジュアルノベルゲームだ。開発は、Acid House Studioが手掛ける。

物語の主人公は、東京の旅行会社で働くテレフォンオペレーター加恵瑠奏(かえる かな)。彼は、謎の原因により自らの記憶の一部を失ってしまった。会社に日々かかってくる電話や、同僚との会話を通じて、記憶を取り戻すことが本作の目的である。

Steam:蛙電話 Frog Telephone
蛙電話 / 蛙电话 (Frog Telephone) は、岐阜県下呂市を舞台にした現代民俗アドベンチャーゲームです。 90年代のレトロなグラフィックと計算機科学の論理を用いて、電話交換手の記憶と都市伝説の境界線を探索します。
▲独創的な雰囲気

今回は、本作を手掛けたAcid House Studioカリン氏にお話を伺いながら試遊版を遊んだ。はじめに、赤色や蛍光色のエキセントリックなモノローグ映像が流れ、主人公の声がテキストで表示される。主人公は記憶を失っており、何らかの「真実」を完全に消し去ってしまった様子。そして、「かえっておいで……はやく、こちらへ…… そろそろ、かえる時間……」と赤い文字の声が流れる。カリン氏によると、この声は、神からの問いかけだという。

やがてスタート画面が表示された。真っ赤な電話機で「1111」に電話をかけるとゲーム本編が始まった。

▲1を4回選択してゲームスタート!

主人公がいるのは、会社のデスクだ。主人公は、同僚と思われる人物に話しかけられるが、その相手が誰なのか思い出せない。同僚に早く電話に出るように怒られ、そのとき初めて主人公は電話が鳴り続けていることに気づく。その電話に出ると、相手が「結局、君は『カエル』ことに成功したのかい?」と問いかけてきた。その問いは、自分が何者かすら思い出せない主人公にとっては全く理解できないものだった。まもなく、電話は切れてしまう。

主人公は、同僚に話しかけたり、スマホやパソコンで調べたりして、自身の名前が加恵瑠奏であることを知った。だが、自分がなぜここで働いているのかはわからないまま1日を終え、電車に乗り込む。しばらくすると、突然彼の襟元を何者かが強くつかんだ。

▲同僚(?)に怒られてしまった
▲誰からの電話だ!?

その男の目は鋭く、吸い込まれるようだ。どんな感情も伝わってこない死者のような目をしている。「僕の代わりに、真実を。知ってくれ」と主人公に告げた次の瞬間、その男はそのままホームへと身を投げてしまった。この場面で、試遊版は終わった。

なお、製品版はマルチエンディング仕様となる予定で、選んだ選択肢によって物語が分岐し、最終的に「神になるか」「人間に戻るか」という運命の結末を迎えるそうだ。

▲この人物はいったい何者なのか?
▲呆然とする主人公

映画監督の視点と「カエル」という言葉の多義性

試遊後、Acid House Studioのカリン氏に本作の開発背景についてお話を伺った。

カリン氏は普段、映画監督としても活動する個人開発者だ。大学では文学を専攻しており、その映画と文学のバックグラウンドが本作の随所に活きている。主人公の名前「加恵瑠奏(かえる かな)」もタイトルの『蛙電話』も、複数の意味が込められている。

カリン氏がゲーム開発を始めたきっかけは、友達から誘われたからだった。当初はただ「楽しそう」だからという理由だったものの、自分でシナリオを執筆したり、プログラミングなど技術的な勉強を進めたりする中でゲームそのものが好きになり、気づいたら夢中になっていたそうだ。

『カエル』という言葉には、蛙だけでなく、「帰る」「還る」「変える」という日本語の複数の意味がある。それをテーマにしたゲームができないかと考え、アイデアを膨らませていったそうだ。「かえる」という言葉の多義性からゲームを作るという発想は、文学を専攻したからこそだと感じた。

本作のインスピレーションは、岐阜県下呂市に実在する「加恵留(かえる)神社」から得た。実際に現地を取材したそうで、当日カリン氏はそこで買ったカエルの帽子を着けていた。

一番好きな映画監督はデヴィッド・リンチで、特に『ツイン・ピークス』が好きなのだそうだ。本作でもデヴィッド・リンチ作品のような少し憂鬱で独特な世界観を目指しているとのこと。確かに、モノローグ映像の独創的かつ抽象的な色使いや演出からは、デヴィッド・リンチ作品からの影響がうかがえた。

『蛙電話』は2028年頃の発売を目指して開発中。映画監督の感性と文学的な知識が融合した唯一無二の空気感が気になる方は、今すぐウィッシュリストに登録しておこう。


基本情報 蛙電話
開発 Acid House Studio
販売 Acid House Studio
配信日 2028年6月
言語 日本語有り
価格 未定(Steam

ライター:ばんじーよこすか 編集:LayerQ

この記事で紹介されているゲーム

蛙電話 Frog Telephone

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