キッチンから世界を救おう。料理とカードバトルが融合したグルメファンタジーRPG『Beastro ビーストロ』プレイレポート

朝比奈 / Asahina

2026年7月27日

Beastro ビーストロ』は、押し寄せるモンスターの脅威に晒されながらも穏やかな時間が流れる村を舞台に、おいしい料理で冒険者たちのデッキを構築しながら進むグルメファンタジーRPGだ。アメリカ・ロサンゼルスを拠点とするインディーゲーム開発スタジオ"Timberline Studio"が手掛ける。

物語の舞台は、異界ルアノスとのほころびから現れた闇が渦巻く荒野と、不思議な力に守られた壁に囲まれた平和な村「パロ・ポリ」だ。主人公は、師匠トラヴァースと共に店を営む若きキツネの獣人シェフ「パンコ」。師匠の突然の失踪に戸惑いながらも店を守り、世界を救うために戦う守り手たちの士気を高めるべく、キッチンから世界の脅威へと挑む。

Steam:Beastro ビーストロ
Beastro(ビーストロ)の世界へようこそ! このかわいいファンタジーアドベンチャーゲームでは、剣の代わりにスプーンを持った英雄たちも活躍できる! 世界を救う前に、まずは腹ごしらえだ。

穏やかな村に迫る闇と、料理で紡がれる物語

本作のストーリーは、荒野を彷徨っていた炎の精霊「フランベ」が、突如として開いた異界「ルアノス」とこの世界を繋ぐほころびから押し寄せるモンスターと戦いを繰り広げるところから始まる。この地の守護神とされるフランベだったが力尽きてしまい、モンスターの手が届かない唯一の安全地帯「パロ・ポリ」へと身を寄せることに。

パロ・ポリは職人と料理人が暮らす、美しく平和な村だ。住人たちは皆マイペースに暮らしていて、フランベを保護したパンコもまたシェフとして働いていた。だが、フランベと共に出勤すると店内は荒れ果てており、一緒に店を営むトラヴァースの姿もない。門番すら彼の姿を見かけていないという。

彼の行方は気になるが、住人たちのために店をオープンさせなければならない。訪れてくれたお客たちに料理を振る舞っていると、そこに荒野から来たという「守り手」の「オイシ」が姿を現したことで、物語は動き出すことになる。

パンコに戦う力はないが、フランベの炎によって生まれた料理は守り手たちの力となる。――こうして、レストランを経営しながら、平和を守る冒険のサポートをすることになるのだ。

朝・昼・夜のサイクルで進む、料理と冒険のルーティン

ゲームシステムは、大きく分けて3つのパートによるサイクルで成り立っている。朝の開店準備、午後のレストラン営業、そして夜になると守り手から聞かされる冒険譚だ。これらが1日のルーティンとして連動し、小気味よいテンポで物語を進めていく。

まずは「朝の開店準備」だ。3Dフィールドで描かれた村を三人称視点で自由に探索し、ガーデンで作物や動物の世話をしたり、雑貨屋で食材を集めたりしていく。海に面した村では釣りも可能だ。時間制限はないため気の済むまでゆっくり準備ができ、住人との会話からサブクエストが始まることもある。

続いて「午後のレストラン営業」が始まる。店を訪れるお客たちに調理した料理を振る舞い、経験値とお金を得ていく。調理はミニゲーム形式だ。成功すれば新たなレシピの開放に必要な経験値が追加でもらえる程度で、失敗してもレストラン経営自体には影響しないカジュアルな仕様となっている。

重要なのは、カウンターに座る守り手に料理を出すプロセスだ。精霊フランベの力を借りた料理は、守り手が荒野で戦う際の魔法の「カードデッキ」に直接影響を与える。作った料理がそのまま守り手のデッキを構築するという、本作ならではの特徴的なシステムだ。

レシピ通りの料理に食材を加えてアレンジすることで、扱えるカードの種類や守り手自身のステータスが変化する。守り手の好みにマッチすれば絆が深まり、戦闘に役立つ能力も解放されていく。守り手たちは出身地域によって味の好みが異なり、日によって食べたいものが変わる者もいる。

料理の風味は酸味・うまみ・苦味・塩味・甘味などに分かれ、それぞれが相関関係を持つ。ある風味が別の風味を強化したり、バランスを取ったりと互いに影響する仕組みだ。とはいえ、さまざまな食材をあらかじめ集めておけば対応の幅が広がるため、システムとして身構える必要はない。

そして、店じまいを迎えると夜のパートへ移る。守り手からその日の報告を聞くことになるが、これが人形劇で再現されるため一風変わったビジュアルで面白い。ただ話を聞くのではなく、実際にはプレイヤーが守り手を操作して冒険を繰り広げる。荒野は分岐するルートを選択しながら、最終的にマップの終点にあるボスバトルを目指す進行方式だ。

ルート上では1マス進むごとにイベントが発生し、物語が展開したりモンスターとの戦闘へ突入したりする。戦闘は、各ラウンドで出したカードの強弱を競う伝統的なトリックテイキング型カードゲームにインスパイアされた、ターン制のデッキ構築バトルだ。手札から相手よりも数値の多いカードを出せば、その差分のダメージを与えることができる。

守り手とモンスターには基本攻撃力があり、その数値が加算されるので最終的な合計ダメージはそれ以上になる仕組みだ。カードには風味の概念があり、相手のカードの風味に影響を与えるカードを出すと、数値を半減させてより多くの差分を生んでダメージを与えられるといった効果が発生する。異なる風味の効果的な運用が勝利の鍵というわけだ。

戦闘は常に1対1というわけではなく、複数のモンスターと一度に戦うシチュエーションもある。自分の手札からどのカードを出すべきか長考する奥深さも感じられる、戦略性の高いカードバトルに仕上がっている。

じっくりと向き合う物語の行方と、のんびり楽しむための心構え

全体的にクオリティが高く、カジュアルな雰囲気をまとう本作。しかし、ストーリーテリングの手触りには少し甘さも残る。物語は登場人物たちの主観で展開し、本作固有の用語も多く飛び交うため、序盤は世界観やいま起きていることが掴みにくく、プレイヤーが置いてけぼりにされている感覚を覚えるかもしれない。

ストーリーが進むにつれて少しずつ理解は深まっていくものの、物語のフックが弱く、作品に馴染むまでにはやや時間がかかる。そういう意味では、短時間で一気に駆け抜けるよりも、長めのスパンでじっくりと腰を据えて向き合っていきたい作品という印象だ。

本作は1日が3つのパートに分けられているが、どのパートも時間制限がなく自分のペースで進められるため、日々のサイクルをのんびりと楽しむ心の余裕を持って臨むのがポイントと言える。独特な世界観やカジュアルな雰囲気に惹かれた人はもちろん、時間をかけて不思議な物語をじっくりと味わいたい人におすすめしたい。

Beastro ビーストロ』は、PC(Steam)・コンソール(PlayStation 5, Xbox Series X/S)・Xbox Game Passにて配信中だ。


基本情報 Beastro ビーストロ
開発 Timberline Studio
販売 Timberline Studio, Kepler Ghost
配信日 2026年6月12日
言語 日本語有り
価格 2,300円(Steam
3,190円(PlayStation 5
2,350円(Xbox Series X/S

ライター:朝比奈 編集:レイリー

関連ゲーム

Beastro ビーストロ

RPG

カジュアル

インディー

日本語対応