【TIGS2024】人類が消えてしまった世界で、人工知能と付喪神がおくる小さな物語『おためしデッドストック』ブースレポート


朝比奈 / Asahina

2024年3月2日~3日にかけて、東京・吉祥寺にて開催された「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT 2024(以下、TIGS2024)」の出展作品より、筆者が注目する魅力的なタイトルをピックアップしてご紹介しよう。

先行して弊誌でも紹介したとおり、第2回目となる今回はメイン会場として「武蔵野公会堂」と「吉祥寺東急REIホテル」の2会場での開催。出展総数は133タイトルにのぼり、さまざまな作品が取りそろえられていた形だ。

TOKYO INDIE GAMES SUMMIT 2024
インディーゲームのための新たなオフラインイベント『TOKYO INDIE GAMES SUMMIT 2024』(トーキョーインディーゲームサミット2024)が、来年2024年3月2日(土)3日(日)に武蔵野公会堂(吉祥寺)で開催決定!

人工知能と付喪神のちょっとした日常物語

おためしデッドストック』は、人が消えてしまった世界に残された人工知能と、機械の付喪神が織りなすアドベンチャーゲームだ。10分程度でクリア可能なショートストーリーとなっている。

舞台となるのは、人類が消え去ってから100年後の世界。残されたモノたちは、長い年月を経た道具には魂が宿るという「付喪神(つくもがみ)」となっていた。そんな世界にただ1つ残った人工知能"回式"と、セグウェイの付喪神"炉式"のちょっとした日常が描かれていく。

おためしデッドストック

本作のゲームシステムは、人工知能"回式"に頼まれたセグウェイの付喪神"炉式"が、付喪神たちの住む町を巡って彼らの小さな望みを叶えていくというものだ。

簡単に言ってしまえば、彼らの言う「こういうものが欲しい」「ああいうことがしたい」という、ふわっとした希望にマッチしそうだなというアイテムを探してきて渡せばOKという流れだ。

その小さな町の各所には付喪神がいるので、話しかけることで彼らの希望を聞くことができる。道具が元になったというその姿はチンドン太鼓だったり、掃除機だったり、巨大なブルドーザーであったりとさまざま。

その個性的なキャラクター像を表したビジュアルや、要領を得ているようなそうでないようなセリフを楽しんだりと、ユニークな世界観を形作る要素の数々に魅力が感じられ、なんとも優しい気分になれる物語だった。

自身に合ったツールでゲーム作りに挑む

本作は、2023年4月6日よりSteamにて早期アクセスでリリースされた『MINDHACK』で知られる創作サークル"VODKAdemo?"のメンバーの1人、ササン三氏が手掛ける。

2018年に描かれた自身の創作漫画『よみがえるデッドストック』を原作にゲーム作品としてリメイクすることを掲げられており、本作『おためしデッドストック』はその本編の「試作品」という位置付けとのこと。

サークル内でプログラミングに関わることがほとんどなく、開発に憧れながらもその難度に半ば諦めていたという同氏だが、今作は比較的手軽にゲーム制作に挑める「GameMaker Studio 2(GMS2)」を利用して開発されているとのことだ。その様子を描いた漫画冊子が会場ブースで配られていたが、同じものがXでも公開されているので、併せてご覧になると面白いのではないだろうか。

先述のとおり、本作はあくまで試作品であるため展示されていた内容で完成している。ただし、不具合等が残っているため、修正したバージョンを2024年春を目標にitch.ioにて公開予定とのこと。TIGS2024に参加できなかった方も、その公開をお待ちいただければと思う。

おためしデッドストック by Sassan03
人類が消えて100年後。遺された機械の付喪神のちょっとした日常

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基本情報 おためしデッドストック
開発 ササン三
販売 ササン三
配信日 2024年春予定 / 日本語有り
定価 未定(itch.io
Indie Freaks

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