自身の過去の分岐点から生まれたクローンと協力。危険な惑星からの脱出を目指せ『The Alters』体験版レポート

朝比奈 / Asahina

2024/07/08

2024/09/14

Indie Gemは、リリースを控える期待の作品群から、明日を煌めく原石のようなタイトルを発掘し、体験版を元に紹介していくコーナー!


The Alters』は、危険な惑星に不時着した男の奇妙なサバイバルの日々を描くSFサバイバルアドベンチャーゲームだ。ポーランドのゲーム開発スタジオ"11 bit studios"が手掛ける。

これまで『This War of Mine』や『Frostpunk』など、過酷な状況下におけるモラルとリアリズムを追求し、高い評価を得た同スタジオの期待の最新タイトルとなる本作。本稿ではその体験版の模様をご紹介しよう。

Steam:The Alters
アドベンチャー、サバイバル、ベースビルディングの要素がユニークに融合したエモーショナルなSFゲームを体験しよう。ヤン・ドルスキーという平凡な労働者としてプレイし、太陽の光さえも命取りになる惑星から脱出するため、いろいろな別バージョンの自分を作り出そう。

移動基地を使って過酷な惑星でサバイバル

主人公のヤン・ドルスキーは、宇宙開発企業に属する平凡な労働者。宇宙船が事故に巻き込まれ、墜落した脱出ポッドで目覚めるとそこは荒涼とした風景が続く謎の惑星だった。辺りに生存者の姿はなく、彷徨い歩くうちにたどり着いた「移動基地」を拠点に、この星からの脱出を目指していくというストーリーだ。

ヤンが不時着した惑星は、一定周期で太陽から死の粒子が一帯に降り注ぐという過酷な世界。以前この惑星に居た調査チームが残した移動基地を稼働させ、安全地帯へと逃げながら、なんとかして脱出手段を探っていかなければならない。

▲モジュールはコアブロックを除き、任意の位置に組み替え可能

拠点となる移動基地は「モノホイール」と呼ばれる一輪走行のバイクを巨大化したような形状で、さまざまな設備をモジュール化して配置・拡張していくことが可能。それ自体が移動可能だが、まずは基地周辺を探索し、資源や燃料を見つけ出す必要がある。

周辺を探索すると資源採掘が可能なポイントが見つかるので、それらを利用して基地の設備で機材をクラフトし、さらにその機材を使って燃料を掘削。そこから基地まで補給ラインを伸ばしてエネルギーを確保することで、ようやく基地を移動させる算段が整う。

なお、サバイバルと言えばオープンワールドをイメージされることが多いと思うが、体験版では限られたエリアの中で決まった採掘ポイントを巡って準備を整えていく流れとなっていて、移動基地が動けば別のエリアへ移るような流れだ。

こうなるとどのプレイヤーも同じ体験をなぞりそうに思うが、体験版の内容はあくまで本作のチュートリアルにあたるプロローグ部分。製品版で描かれるそれ以降のチャプターでは、より自由度が増すことに期待したい。

自身のクローンと共に脱出を目指せ

そうして準備を整え、いざ移動基地を動かそうとしたところで動力炉が故障。平凡な労働者に過ぎないヤンには手の打ちようがない。そこで登場するのが、本作のユニークな要素となるクローン技術。

基地内に設けられた「量子コンピュータ」によって自分自身の過去を振り返り、これまでの人生におけるターニングポイントを見つけ出し、有り得たかもしれない別の人生をたどった自分の複製を作り出すのだ。

こうして、機械工学に精通した"ヤン・テクニシャン(技能者)"が生み出され、彼の力によって動力炉は修復され、無事安全地帯へ向かって基地は発進することができた。――いまいち何が起きてるかわかりづらいかもしれないが、量子論的アプローチから生み出されたこの発想は、SF作品ならではといった感じでとても面白い。

便宜上クローンという言葉を使ったが、作中では物事の変化や変質を表す「アルター」と呼ばれていて、別の人生をたどった彼はヤンであって同じヤンではない。異なる性格や価値観を持っている彼らと、コミュニケーションを重ねて円滑な関係を築いていくことも本作の重要な要素となるようだ。

今回の体験版は、この状況に当惑しているのか心を閉ざしたように会話をしようとしないヤン・テクニシャンと、キッチンモジュールでの食事を通じて打ち解けた雰囲気を見せたところで終了。本稿ですべてを伝えているわけではないが、ここまでに垣間見えているさまざまな謎が製品版のストーリーを期待させる内容となっていた。

『The Alters』は2024年内リリースを目標に鋭意開発中。体験版はSteamからプレイ可能なので、気になった方はぜひその内容に触れてみていただきたい。なお、製品版では日本語をサポートするが、体験版は英語と中国語(簡体)のみとなる点には注意してほしい。


基本情報 The Alters
開発 11 bit studios
販売 11 bit studios
配信日 2024年 / 日本語有り
定価 未定(Steam
未定(Epic Games
未定(PlayStation 5
未定(Xbox Series X/S

この記事で紹介されているゲーム

This War of Mine

シミュレーション

アドベンチャー

インディー

日本語対応
¥2,300

フロストパンク

ストラテジー

シミュレーション

日本語対応
¥3,400

The Alters

アドベンチャー

日本語対応
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発売日2025年6月13日
ジャンル
アドベンチャー

カテゴリ
シングルプレイヤー
Steam実績
フルコントローラサポート
Steamクラウド
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The Alters

サバイバルと基地建築、心揺さぶる物語が融合した、誰も見たことのないSFアドベンチャー「The Alters」。宇宙船事故唯一の生存者ヤン・ドルスキは、別の自分自身である「オルター」を作り出し、葛藤と混乱に向き合いながら死の惑星からの脱出を目指す。

「The Alters」は、独自のアイデアを詰め込んだ、野心的なSFサバイバルゲームです。プレイヤーは、宇宙船の不時着をただ一人生き延びたヤン・ドルスキとしてサバイバルに挑みます。しかし、移動式ベース(基地)を目的地まで動かすためには、奇跡の物質「ラピディウム」を使って、別バージョンのヤンである「オルター」を作り出さなければなりません。オルターとは、過去に違う選択をしたために別の人生を歩んだヤンたちなのです。

プレイヤーがサバイバルと倫理的なジレンマに立ち向かいながら体験する物語は、魅力的なキャラクターたちとの関係性、そして困難な選択に満ちており、その選択によって展開が様々に変化します。

 

プレイヤーがヤンとして向き合うことになるのは、人生の根本的な問い「人が運命を決するのか、それとも運命が人を導くのか」。死の星での生存をかけた挑戦は、深く個人に根ざした体験となるでしょう。

基地備え付けの量子コンピューターで可能性をシミュレートすることで、過去に違う選択をした世界線の様々なヤンの人生が明らかになります。ラピディウムの驚異的な特性によって生み出されたオルターたちは、それぞれが独自の能力と心を持っており、時には大いに助けとなり、時には困難をもたらすこともあるでしょう。プレイヤーは、彼らが抱く葛藤を共に乗り越え、それぞれと繊細な人間関係を築いていきます。

移動式ベースを動かすには、惑星上を探索して金属や有機物などの資源を手に入れる必要があります。しかし、ベースを一歩出れば、そこは死と隣り合わせの荒野。随所に危険なアノマリーが発生し、また太陽の放つ超強力な放射線を浴びればたちまち命を失ってしまいます。昼夜のサイクルを常に意識し、計画的に日々の作業をこなさなければ生きて脱出することは叶いません。

ストーリーを進める中で直面する、数々の倫理的なジレンマと分岐点。プレイヤーの選択によってヤンとオルターたちの関係が変化し、それが脱出までの道のりに影響を与え、最終的に複数あるエンディングへとつながります。

集めた資源は様々な用途に使えます。必要なアイテムを作るか、ベースに研究ラボや娯楽室などのモジュールを追加するかはプレイヤー次第。あるいは、オルター個人のためにアイテムを作るべきか、任務を優先してアノマリー検出器や放射線フィルターを作るべきか、選択を迫られることもあるでしょう。資源は限られており、すべての需要を満たすことはできません。そして、それらの決断はすべてプレイヤーの肩にかかっています。

舞台となる惑星は独特の環境を持ち、驚くべき秘密が隠されていますが、危険なアノマリー空間がプレイヤーの行く手を阻みます。しかし、空中に岩が浮いていたり、空間が歪んでいたりといった、目に見える異常だけではありません。裸眼では見えず、特別な装置を使わなければ明らかにならない異常も存在します。いずれにしても、最大限の警戒は必須です。さもないと即座に命を失ったり、強い放射線が体を蝕んだり、あるいは時空間の崩壊に巻き込まれたりする可能性も。また、放射線量がスーツの許容量を軽々超えてしまう時間帯には惑星探索を避けるべき時もあるでしょう。それでは良い旅を!

「もしあの時ああしていたら」……誰もが一度は思い悩む問いを、ヤン・ドルスキは別の自分という形で突きつけられます。そのため、ただでさえ極限の状況がますます困難に。ヤンのサバイバルにおける数々の決断を通して、選択が与える影響が徐々に明らかになっていきます。

「The Alters」が投げかけるのは、常に人を悩ませてきた問い――