そこに山があるから挑むサバイバル・クライミングゲーム『Cairn』ブースレポート&開発者ミニインタビュー【TGS2024】

朝比奈 / Asahina

2024/09/28

2024/09/29

2024年9月26日~29日(一般公開日は28~29日)にかけて、千葉・幕張メッセにて開催される「TOKYO GAME SHOW 2024 - 東京ゲームショウ2024(以下、TGS2024)」の出展作品より、筆者が注目する魅力的なタイトルをピックアップしてご紹介しよう。

なお、基本的には今後リリース予定の開発中のタイトルや、ローンチから間もないタイトルを対象としている。

TOKYO GAME SHOW 2024 - 東京ゲームショウ2024
ゲームで世界に先駆けろ。――世界最大級のゲーム展示会、9月26日~29日の4日間、幕張メッセにて開催

前人未到のマウント・カミの頂を目指そう

Cairn』は、いまだかつて誰も登りきった者のいない山の頂を目指すサバイバル・クライミングゲームだ。フランスのゲーム開発スタジオ"The Game Bakers"が手掛ける。

これまで同スタジオは、緊張感のあるボスラッシュ系アクション『Furi』や、恋人同士の辺境惑星への逃避行を描きつつも、2人のラブラブな日々が炸裂するアクションRPG『Haven』を手掛けてきたが、それらから一変して、数年ぶりの新作はなんとリアルなクライミングゲームとなった。

Steam:Cairn
Reach a summit never climbed before in this survival-climber from the creators of Furi and Haven. Climb anywhere and plan your route carefully, managing pitons and resources to survive unforgiving Mount Kami. Discover what Aava is willing to sacrifice to achieve the ascent of a lifetime.

本作は、登山家アーヴァを操作し、前人未到の山「マウント・カミ」の山頂を目指して登山に挑んでいくというもの。そのスタイルはさまざまなクライミングギアやテクニックを駆使するアルパインクライミングで、それ自体が過酷な山岳登攀であることから一筋縄ではいかなそうだ。

今回のTGS2024出展ブースでは、そんな本作の内容の一端を体験することができた。

先述のとおり、本作はアルパインクライミングがテーマであるため、クライミングだけが連続するというわけではなく、目的地となる山頂までの急峻な登山ルート上に超えるべき岩壁がいくつも待ち受けているというものとなっている。

なので、1つの岩壁を乗り越えたら、一息つけるような尾根や大小の岩棚が挟まれるというサイクルとなる。そうした緩急とやや引き気味のカメラワークが、壮大な自然を見せつけてくるかのように感じさせるのは不思議な気分だ。

そんなシーンを挟みながらも、なにはともあれ主軸となるのはクライミング。次々と立ちふさがる険しい岩壁を登っていくわけだが、そのルートはプレイヤーの自由。序盤はフィーリングで大丈夫そうだが、先に進むほどに慎重なルート決めが必要になるのだろう。

登る際は左右の手足を順番に動かし、岩壁のわずかな出っ張りや裂け目へと引っ掛け、潜り込ませながら上へ上へと登っていく。無理な体勢を続ければスタミナを使い果たして落下の憂き目にあってしまうので、慣れるまではなかなか操作が難しいという印象だった。

後述する「開発チームから伺った内容」に含まれているが、クライミングを行っている際の岩壁への手足の置き方がとてもなめらかで、どうやって制御しているのだろうと不思議に感じたものだ。なにせ両手両足なのだ。
 
これは、プレイヤーのいる位置に対し、手足にかかる負荷に応じて最適な位置を決めているのだそうで、無理さえしなければ自然とホールドしてくれるのは、ひとえに開発チームの工夫の賜物と言えそうだ。

もちろんクライミングギアも用意されていて、岩壁に「ピトン(ハーケン)」と呼ばれるアンカーを打ち込みロープを掛けることで、体重を預けてスタミナを回復することも可能。とは言え、それも無限にあるわけではない。

滑り止めのチョークや、指先を保護するフィンガーテープ。他にも食料や飲料水、怪我を回復させるための薬など、限りある物資をやりくりしていかなければならない。これがサバイバル要素ということになるのだろう。

ちなみに、主人公には蜘蛛のような手足を持ったロボット「クライムボット」が随伴してくれていて、クライミング中のビレイ(安全確保)や、岩壁に残したクライミングギアの回収なども行ってくれる。

本来、ソロでのアルパインクライミングは非常に厳しいのだが、ここはハイテクな相棒のサポートをありがたく受け取っておきたい。

本稿の執筆時点では詳細な日程は未定だが、近日中にSteamにて体験版を配信予定であることが開発チームよりアナウンスされているので、本作に興味を持った方はその公開を待ってみてはいかがだろうか。

Cairn』は、日本語をサポートしてSteamにて2025年のリリース予定で鋭意開発中だ。なお、コンソール版など他のプラットフォーム展開も予定されているが、現時点で詳細は未定となっている。

Cairn-Cairn’s Demo: are we there yet?-Steamニュース
Demo at Gamescom and coming soon for the rest of you!

開発チームからの興味深いエピソード

今回、本作をサポートする架け橋ゲームズを通じて、開発チームから興味深いお話を伺うことができた。

本稿の冒頭でも触れたように、これまでThe Game Bakersが手掛けてきたタイトルからはガラリと作風が変わった印象を受ける。その開発意図としては、登山家といえど普通の人間に変わりはなく、そうした人々による並外れたことへの挑戦に感動を覚え、彼らの心情や勇気、あるいは犠牲までもゲームを通じて触れてほしかったのだという。

ゲームという擬似的な体験であっても、確かに困難を乗り越えた先には達成感が待っており、それを得るためなのか、実際に筆者も体験版の試遊に時間を忘れて没頭してしまっていた。それも、開発チームの狙いどおりということになるのかもしれない。

開発チームは現在17名で構成されているが、外部スタッフも入り総数としては30名を数えるとのことなので、インディーゲームの開発規模としてはなかなかのもの。開発期間としては2021年からスタートしていて、3年ほどが経過。従って、前作『Haven』のローンチから間もなく開発が始まったということとなる。

当初、制作に入る前は開発チームの誰も登山には興味がなく、CEOのお父様が登山家だったという程度なのだそう。だが、開発が進んだ現在ではどんどん興味を持つようになっているとのことで、やはり登山には人を惹きつける力があるのだろう。

体験版の翻訳は武藤陽生氏が担当

本作の体験版の日本語翻訳は、架け橋ゲームズがローカライズサポートし、『VA-11 Hall-A』や『Disco Elysium』などを手掛けた英日ゲーム翻訳者の武藤陽生氏が担当されている。

本作ではクライミングギアを含めて、専門的な登山用語も登場。それだけではなく、道中に置かれた掲示板には周囲に棲息する動物の情報が書かれていたりと、いずれも没入感に一役買ってくれている。それらを違和感なく表現しているのは武藤氏の手腕が光るところだ。

なお、本作がリアルさを追求した内容であることから、リアルな翻訳とするべく実際にボルタリングも体験してみたそうだ。武藤氏の翻訳に望む意気込みが感じられるエピソードではないだろうか。


基本情報 Cairn
開発 The Game Bakers
販売 The Game Bakers
配信日 2025年 / 日本語有り
定価 未定(Steam

この記事で紹介されているゲーム

Disco Elysium - The Final Cut

RPG

日本語対応
¥4,100

Furi

インディー

アクション

日本語対応
¥2,300

VA-11 Hall-A: Cyberpunk Bartender Action

アドベンチャー

インディー

シミュレーション

日本語対応
¥1,500

Cairn

インディー

アドベンチャー

アクション

シミュレーション

日本語対応

Haven

アドベンチャー

RPG

インディー

日本語対応
¥2,800
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発売日2016年6月21日
ジャンル
アドベンチャー
シミュレーション
インディー

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VA-11 Hall-A: Cyberpunk Bartender Action

美しくも儚い芸術的な世界観、独特のゲームシステムが融合したゲーム性、他のゲームに例を見ない、まったく新しいサイバーパンク・ストーリーを体験しよう!

荒廃した世界にあるバー『VA-11 HALL-A(ヴァルハラ)』のバーテンダーとなって様々な人々と交流していくビジュアルノベル。

主人公が住むディストピアの住民達は、権力の支配から逃れるためにヴァルハラにやってくる。バーテンダーであるあなたはこの闇の世界の住民達にカクテルを提供して、様々な情報を入手していくことになる。

それらの情報から紡ぎだされるディストピアの日常とは…。

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「台詞選択式アドベンチャーではないVA-11 Hall-Aに、ここまで心を捕らえられるストーリーを味わわせられるとは思わなかった。多くのゲーム評論家が論じるように、物語はゲームメカニックの添え物としてあるのだとしたら、このゲームは数少ない例外と言えるだろう。」- Kill Screen

「その他大勢のナラティブなゲームがやっているような『ゲームっぽい何か』と『物語』を行ったり来たりするだけのゲームだと思ってはいけない。むしろ、プレイヤーがやること全てが展開していくストーリーに関わっているのです。」 - Moe Gamer

「このサイバーパンクバーテンダーシミュレータのプレイを通してフランクで無防備な会話が少しずつあなたに提供していくストーリーは、ディストピアの世界を表したものではない… そこに住んでいる人たちを紡ぎ出す。」 - PC Gamer

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  • サイバーパンクディストピア、『グリッチシティ』での日常を知る
  • よくある台詞選択でのストーリー分岐とは違い、提供するドリンクで変化するという独特のストーリーテリング
  • PC98時代の古き良きアドベンチャーゲームへのリスペクトを、現代のテクノロジーで表現
  • 客の好みを熟知し、彼らの一日を変え、一生を変えるカクテルを提供しましょう!

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