The Backroomsにインスパイアされた空間を探索するホラーADV『P4ST3L(パステル)』ブースレポート【東京ゲームダンジョン6】

朝比奈 / Asahina

2024/11/13

2024年10月27日に、東京・浜松町にて開催された「東京ゲームダンジョン6」の出展作品より、筆者が注目する魅力的なタイトルをピックアップしてご紹介しよう。

なお、基本的には今後リリース予定の開発中のタイトルや、ローンチから間もないタイトル、早期アクセス中のタイトルを対象としている。

東京ゲームダンジョン 6 ► 2024年10月27日(日)、東京・浜松町でコスパ最強のインディゲーム展示会を開催!
「東京ゲームダンジョン」は個人や小規模チームが制作するデジタル・ゲーム(インディゲーム)の展示会です。手頃な出展料と充実した設備で、気軽に作品を出展・試遊できるイベントを目指しています。主催者も個人でゲームを作っているインディ開発者です。みんなで国内のインディゲームを盛り上げましょう!

無機質なタイル張りの空間からの脱出を目指す

P4ST3L(パステル)』は、水中に没した人工物への恐怖症「サブメカノフォビア」と、インターネットミームの「Liminal Spaces(リミナルスペース)」からインスピレーションを受けて制作された3Dホラーアドベンチャーゲームだ。日本の個人ゲーム開発者うさぎのDJ氏が手掛ける。

本作については、2024年5月に開催された「東京ゲームダンジョン5」に出展された際に弊誌でご紹介しているのだが、今回の出展ではその内容に大きな変化が見て取れた。本稿はそのフォローアップ記事となる。

Steam:P4ST3L
パステルは水中あるいは水上のオブジェクトに対するサブメカノフォビアと美しいリミナルスペースを体験するFPS/TPSホラーゲームです。

主人公は、手術着のような服を着せられた1人の女性。目覚めるとそこは無機質なタイル張りの空間で、自分がなぜここにいるのかもわからないまま、落ちていたハンドガンを手に内部を探索していくことになる――というのが今回の体験版のストーリーだ。

歩みを進めると足元には浅く青い水面が現れ、まるで巨大なプールのような様相を呈しているが、その構造は建物としての意味をなしていないかのようだ。通路の奥には「Level 1」から「Level 5」までの閉ざされたエリアがあり、それぞれのエリアに踏み込むためのアクセスキーを手に入れることが課題となる。

マップもなくタイル張りの似たような光景が続くので、方向感覚を乱されそうにもなるが、意外とリニアな道のりになっているので、じっくり進んでいけばアクセスキーは入手できるようになっている。

探索中には異形のクリーチャーに襲われることもあり、手にしたハンドガンで撃退していくことになるが、道中のボックスからしっかり弾薬を拾っていかないとすぐ弾切れになりかねない。しかし、体力と引き換えに弾薬を入手する謎の装置もあるので、リスクはあるが詰み防止としては面白いメカニクスだ。

ここまでのスクリーンショットやキーワードからお気づきの方もいらっしゃると思うが、探索の舞台になっているのは、インターネットミームの一種「The Backrooms(バックルーム)」における「Level 37(通称:The Poolrooms)」と呼ばれる空間だ。

The Backroomsは、共通する世界観をベースに複数の作者が創作するシェアード・ワールドの一種で、このレベル(階層)は原作においても人気が高く、同じ空間を題材としたインディータイトルも多い。弊誌でも以前に『POOLS』という作品をご紹介している。

物語もモンスターも存在しない。The Backroomsなどから着想を得た、フォトリアルな実験的探索ADV『POOLS』プレイレポート
『POOLS』は、インターネットミームの「Liminal Spaces(リミナルスペース)」と「The Backrooms(バックルーム)」からインスピレーションを受けて制作された、実験的な探索型ウォーキングシュミレーターだ。

本作はその舞台を借りる形で、本作オリジナルのストーリーが展開されていくわけだが、ゲームシステムとしてウォーキングシミュレーター形式が多い中で、先述の戦いの要素が加えられていることが本作の特徴と言えそうだ。

また、一人称視点(FPS)と三人称視点(TPS)をいつでも任意で切り替え可能なハイブリットなところも特徴的。どちらがプレイしやすいかは好みもあるが、一人称視点では画面酔いしやすいという方も多いため、選択可能な点はシンプルにありがたいだろう。

一度作り直したことで生まれ変わったデザイン

冒頭でお伝えしたように、今年5月に開催された「東京ゲームダンジョン5」でプレイした体験版は大きく異なるもので、主人公は同じキャラクターだが、探索の舞台はもっとのっぺりとしたコンクリートに囲まれたような空間だった記憶がある。

そのことを会場にて開発者のうさぎのDJ氏に伺ったところ、実は前回から一度作り直しているとのこと。

もともと「The Backrooms(バックルーム)」からもインスパイアされたものではあったものの、その要素をより前面に押し出して原作に寄せることで、人気の高い海外向けにも訴求できる内容を目指しているそうだ。

一度形にしたものを一から作り直していくという決断は難しいものと思われるが、着実にプレイフィールは良くなっていると感じるので、その決断が功を奏しているようだった。

現在も開発中の本作だが、より技術を高めていくところも課題とのことで、ご自身のYouTubeチャンネルにて開発の模様も動画として出されている。技術的な興味があればご覧になってみるのも面白いだろう。

P4ST3L(パステル)』は、PC(Steam)にて2024年のリリース予定で鋭意開発中だ。なお、現在Steamでは体験版が公開されているので、本稿をご覧になって興味を持たれた方はぜひプレイしてみてはいかがだろうか。


基本情報 P4ST3L(パステル)
開発 UsaginO
販売 UsaginO
配信日 2024年 / 日本語有り
定価 未定(Steam

この記事で紹介されているゲーム

POOLS

アドベンチャー

日本語対応
¥1,250

P4ST3L

アドベンチャー

インディー

日本語対応
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発売日2024年4月26日
ジャンル
アドベンチャー

カテゴリ
シングルプレイヤー
Steam実績
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POOLS

実験的な穏やかなホラーと探索のゲーム。 勝ち負けの問題ではありません。 ゲームは歩き回ったり、周りを見回したり、音を聞いたりすることです。 モンスターがあなたを追いかけたり、画面に向かって飛びついたりすることはありません。 このゲームは、道に迷うこと、暗くて狭い空間への恐怖を呼び起こす可能性があります。

POOLS は 6 つの章からなる探索ゲームで、各章のプレイ時間は 10 ~ 30 分です。

POOLS で重要なことは、周りを見回して音を聞くことです。 勝ち負けの問題ではありません。 歩いて雰囲気を感じるアートギャラリーのようなものと言えるでしょう。 ゲームでは、モンスターがあなたを追いかけたり、突然あなたに向かってジャンプしたりすることはありません。 解決すべきことはほとんどなく、迷路はほとんどありません。 場合によっては、ゲームによってナビゲーション スキルが試されることがあります。 しかし、ほとんどの場合、あなたはただ探索しているだけです。

注: ゲームは圧迫感を感じる場合があります。 POOLS は、道に迷うこと、暗くて狭い空間への恐怖を利用しています。



このゲームにはユーザー インターフェイスもダイアログもありません。 バックグラウンドミュージックはありません。 代わりに、ゲームはサウンドを使用して、実際にその場にいるかのように感じさせます。 音やエコーは部屋によって変わります。水の中を歩くと遅くなります。 これらすべてがゲームをよりリアルに感じさせ、緊張感のある雰囲気を作り出します。



典型的なストーリーや出会うキャラクターはなく、ゲーム内でメモを見つけることもできません。 しかし、探索してさらに進んでいくと、ゲームの世界が周囲で変化していることに気づき始めます。 部屋の見た目も雰囲気も変わります。 各章にはユニークなものがあります。 常に新しい場所を探索しており、それぞれに独自の謎があります。



無料アップデートや VR サポートの可能性を含む将来の開発は、ゲームの商業的成功にかかっています。

現時点では、POOLS には色覚異常モードなどのアクセシビリティ機能は含まれていません。