2025年3月8日~9日にかけて、東京・吉祥寺にて開催された「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT 2025(TIGS2025)」の出展作品より、筆者が注目する魅力的なタイトルをご紹介しよう。
それは、独創的なキービジュアルで会場でも異彩を放っていた3Dアドベンチャーゲーム『A Passing in the Night』だ。


夢と現実の狭間を歩く
『A Passing in the Night』は、ひとりの青年が夢か現実か定かではない夜の街を歩く三人称3Dアドベンチャーゲームだ。開発は、今作がゲーム開発第一作目となる.irisが手掛ける。
物語はさまざまな悩みを抱える青年「かい」が街を歩く場面から始まる。そこは東京郊外にある静かで少し不気味な街だ。本作は小規模なオープンワールドなので、好きなように街を探索できる。

今回は、本作のプロローグをプレイさせていただいた。プロローグでは、歩いているかいのもとに彼のお姉さんから電話がかかってくる。かいがお姉さんと電話をしながら歩き続けていると、エキセントリックな柄の道にたどり着いた。この街はいったい…? プロローグの結末はぜひご自身の目で確かめてほしい。


開発者インタビュー
本作を手掛けたのは、.iris(ドットアイリス)のヒロ氏とユニス氏のお二人。プログラミングとテクニカルアートを担当するヒロ氏と、ビジュアルアートや音楽、シナリオを担当するユニス氏がご夫婦で開発を進めている。お二人とも学校での専門は美術系で、学生の頃からずっと「いつか一緒にゲームを制作したい」と話していたそうだ。
本作は、そのダークな色彩から一見ホラーゲームのように感じる方がいらっしゃるかもしれない。確かにホラー要素は含まれるものの、純然たるホラーゲームではない。

デビッド・リンチの『ツイン・ピークス』に登場する夢の世界・赤い部屋のような超現実的なファンタジーの世界で、精神的な病を抱えるかいが感じるもの、体験するものが描かれたヒューマンドラマなのだ。プレイヤーの解釈に委ねられるが、超現実的な幻想世界を描くという点においては、デビッド・リンチやクローネンバーグの作品と通じるものがあると言えるだろう。
本作の特徴的な点として、ゲーム内の時間が現実世界と同じスピードで進行する点が挙げられる。製品版では、主人公かいは深夜3時から4時までの1時間で街を探索する。道行く人々や異形の存在との出会いを通じて、かいの思考が少しずつ変化していき、プレイヤーの行動次第でさまざまな結末にたどり着くそうだ。タイトルの"passing"には、「散歩する」と「(時間が)経過する」の2つの意味があることからも、時間が本作においてどのように作用するのか、考察の余地がありそうだ。
また、本作のアートスタイルにも美術系専攻のお二人ならではのこだわりが感じられた。街並みはリゾグラフのような印刷技法にインスパイアされた独特のグラフィックが特徴的だ。あえて微妙な不完全さを含ませることで、逆にリアルな街並みが表現されている。実際に、背景の制作だけで数か月かけたそうだ。
そんな『A Passing in the Night』は、2025年内の発売を目標に鋭意開発中。没入感のあるウォーキングシミュレーターとして、夜の散歩が超現実へと変化する体験を楽しみたい方は、ぜひウィッシュリストに登録しておこう。なお、お二人の開発vlogも公開されているので、気になる方は併せてチェックしてほしい。

| 基本情報 | A Passing in the Night |
|---|---|
| 開発 | .iris |
| 販売 | .iris |
| 配信日 | 2025年予定 / 日本語有り |
| 定価 | 未定(Steam) |






