本稿は事前にレビューキーをご提供いただき、執筆しています。
『Splintered』は、FC版の初代『ドラゴンクエスト』風のゲームデザインをベースとしたクラシックスタイルに、世界がランダムに繰り返される要素を組み込んだRPGだ。ゲーム開発スタジオ"dotMake Studios"こと、個人ゲーム開発者のRichard Murtland氏が手掛ける。
魔王の手によって未曾有の危機に陥った世界。王は敗れ、王国に伝わるアーティファクトもまた奪われてしまう。王国を守護する騎士としてアーティファクトの奪還を目指したあなたは、冒険の果てについに勝利するがそれは始まりに過ぎないのだった。
時は巻き戻り、世界の姿は無秩序に変貌してしまう。繰り返される時間の謎を解き明かし、再び世界に平和を取り戻すのだ。


繰り返されるランダムな世界の謎を解き明かそう
先述のとおり、本作はFC版の初代『ドラゴンクエスト』の影響を受けたゲームデザインをベースとしている。主人公の一人旅、武器や魔法を駆使するモンスターとの1対1でのターン制コマンドバトル、ドットで描かれる見下ろし型の2Dフィールドマップやダンジョンなど、当時を彷彿とさせるシンプルな構成だ。
そして、そこに本作ならではの要素として、ストーリーライン上に存在する特異点となるクエストを攻略する度に、それをトリガーとして"ランダムに世界が組み替えられる仕組み"(ランダマイザー)が導入されている。それは表面的なマップ構造の変化のみならず、モンスターの特性や能力までもが変化するため、毎回新鮮な気持ちで冒険へと挑めるコンセプトとなっている。

主軸となるゲームシステムを大まかに説明すると、まずChapter Iでまるで"普通のRPG"のように冒険が繰り広げられ、続くChapter IIからいよいよランダマイザー要素がアンロックされ、それ以降世界はランダムに繰り返されることとなる。
最初こそ初代『ドラゴンクエスト』並(※)のスピード感と段取りで物語が進行していき、本格化するChapter IIからはよりスピーディな展開が表れてくる。これは幾度も冒険に挑むことになるゲームシステムの特性故のことだろう。
※余談だが、初代『ドラゴンクエスト』の全体的な進行は、大ボリュームで長時間を要する現代水準からしてみれば短めで、比較的シンプルにクリアまで到達することができるものとなっていた。


本作はスタンダードな経験値によるレベルアップ制となっているが、特定の傾向を持った装備品を組み合わせることで「パラディン」「シーフ」「メイジ」といったクラスによるビルドを組むことができる。
武器・防具・アクセサリーを装備した状態で戦闘回数を重ねることで、装備品自体のアビリティが解放されるので、これがビルドを組む上での指標の1つとなるわけだ。
また、特定のモンスターのグループを倒すことで「経験値10%アップ」などの、装備品に依存せず発動できる「パッシブタレント」を習得可能なので、こちらは着実にキャラクターを強化できる価値あるものとなっている。

早期アクセスでのローンチとなり、現時点で実装されているコンテンツはChapter IIまででフルバージョンではないものの、580円(正式リリース時に改定予定)という価格からすれば十分に楽しめるという印象。
早期アクセス期間はおおよそ3〜6ヶ月間が予定されており、正式リリースに向けては「Chapter III~V」「新たなクラス」「隠された最終エンディング」「ゲームやランダマイザー要素を一変させる新たなゲームモード」の実装が挙げられている。
本作は特にユーザーコミュニティからのフィードバックを重視しているそうなので、本作に注目されている方は早い段階からゲームをプレイして、意見があれば寄せてみてはいかがだろうか。筆者としても可能性を感じさせる内容なだけに、期待してやまないところだ。

日本からの熱い期待に日本語サポート予定
本作はローンチ時点で英語表示のみの対応となっているが、日本から寄せられる関心の高さに応える形で、今後は最優先で日本語サポートに取り組む予定であることが告知されている。
この状況は予想外のものだったそうで、今回Richard氏からは「I had no idea that Japan would be so interested in Splintered. The recent support has been overwhelming and I'm truly grateful!(日本がこれほど関心を示してくれるとは思ってもみませんでした。このところのご支援には驚くばかりで、とても感謝しています!)」とのコメントがあったこともご紹介しておこう。

Steamのウィッシュリスト登録などが期待を届けるための手段として挙げられるが、そうした声が確かに届いているということが実感できるものだ。個人開発であるため今すぐにというわけにはいかないとのことだが、今後の展開にも引き続き注目していきたい。
『Splintered』は、PC(Steam)にて2025年3月22日から早期アクセスで配信中だ。
基本情報 | Splintered |
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開発 | dotMake Studios |
販売 | dotMake Studios |
配信日 | 2025年3月22日 / 日本語サポート予定 |
定価 | 580円(Steam) |