2025年5月24日、東京・新宿にてノベル限定インディーゲーム展示会イベント「DREAMSCAPE#3」が開催された。本稿では、当日展示された61タイトルの中から、筆者が注目する魅力的なタイトル『柘榴団地』をご紹介しよう。



日勤警備員としてルールを守って警備しよう
『柘榴団地』は、いわくつき団地の警備員として、ルールを守りながらさまざまなトラブルを対処する一人称視点のホラーアドベンチャーゲームだ。開発は、是々然々(Korekoreshikazika)が手掛ける。
本作では、不穏な雰囲気の団地で住人に挨拶したり建物内を巡回したりしながら、警備員として働く。今回ブースで試遊可能だったバージョンでは、本作の冒頭部分をプレイすることができた。
本作の舞台は、今のようにスマホが普及する前の平成の頃の日本。街でアパートの日勤警備員の求人広告を見かけた主人公は、未経験者歓迎で学歴・職歴不問のこの求人に応募する。
勤務先の柘榴団地に出勤すると、先輩社員に業務内容を説明してもらう。日勤警備員としての仕事は、大きく分けて次の3つ。来客対応、住人・住宅トラブルの対応、監視カメラのチェック・巡回だ。先輩社員はルールを厳守するよう、やたらと強調する。さらに、業務の注意事項には、「白装束を着た女性が現れることがありますが、絶対に声をかけないでください」の一文も。どうやら、柘榴団地はいわくつきの団地のようだ。
先輩社員から一通り業務内容の説明を受けたら、さっそく業務がスタート。まず住人が現れたら、きちんと挨拶をする。住人の顔はパソコンで確認できるので、どんな人が住んでいるのかある程度把握しておいたほうが良さそうだ。もし、住人ではない人物が訪れた場合は、来客リストにフルネームを記入してもらう。
訪問者が現れない時間は、監視カメラを観て異変が起きていないか確認する。この監視カメラの解像度が少し低めで、その映像の粗さが非常に不気味だった。筆者がプレイ中には、部屋の前になにやら砕け散ったガラスかゴミのようなものが散乱していた。各フロアに設置されている監視カメラを次々と切り替えてチェックしていくのだが、変なものが映っていたらどうしようと思うと、マウスを持つ手にも自然と力が入った。
なお、監視カメラで異変を見つけたときと、毎日15時になったときには、必ず建物内を巡回しなければならない。ちなみに、ゲーム内の1時間は、現実時間の30秒に相当する。その点を踏まえれば、15時を逃さずに巡回に行ける…はずだ。
このような不気味な柘榴団地に住む住人も個性豊かで、イタズラ好きの子どもやクセが強い若い男性などさまざまな住人との交流も楽しめそうだ。現在Steamで公開中のデモ版では、霊媒師を自称する男・斎条宗司が登場。彼は、この地域の心霊現象はすべて自分が解決すると豪語するが、背中に何かの影が見えている。いや、見なかったことにしておこう。
「ストーリー性とゲーム性にこだわりたい」開発者インタビュー
柘榴団地での日勤警備員としての仕事を1日終えたところで、開発者であるきじなご氏にお話を伺った。本作『柘榴団地』は、音楽以外はほぼ全てきじなご氏が担当している。ゲーム開発は、『閏月事件』に続く2作目となる。

本作のゲーム開発を始めたのが2024年1月。とあるVTuberの方がインディーゲームを実況しているのを観ていたときのこと。なんと、そのインディーゲームは、きじなご氏の大学の先輩が手掛けたものだったそうだ。同じ大学出身という共通点のある人の作品がそうやって世に出ている様子を見て、自分もゲームを作ろうと奮起したとのこと。
残酷描写があり、15歳以上の方のプレイ推奨のホラーADVである前作『閏月事件』に引き続き、今回もホラーゲームを開発されたということで、きじなご氏はきっとホラーゲームが好きなのだろうと思い、好みのホラーゲームについて伺ってみた。すると、ホラーゲーム自体は大好きだが、例えば零シリーズやSIRENシリーズなどの本格ホラーゲームは、実況を観たり資料集を購入したりして楽しむタイプなのだそうだ。本作については、怖がりの人が「ああ、怖い…!」と感じられるような恐怖を意識して開発されている。
次に、ゲームのキャラデザインについて伺った。前作と本作では、ゲームを通して使用されている色の種類が限られており、キービジュアルでも使用されている赤色が非常に印象的だ。これに関して、きじなご氏は使う色をあえて絞っているとのこと。スポットで使用している赤色は、ただの赤色ではなく、血が乾いたような少し紫がかった蘇芳色(すおういろ)という色なのだそう。本作は、黒色と白色、そして蘇芳色のコントラストが恐ろしくも心を惹きつける、見た人の記憶に残りやすいデザインとなっている。また、きじなご氏は大学の芸術学部デザイン学科を卒業されているとのことだ。
【固定用】
— きじなご@柘榴団地クラファン実施中 (@kzng1445) April 7, 2025
「Error Code:013(通称:エラー)」と呼ばれる、人の世の理から外れた異常存在とそれに関わる人々を描く作品を制作しています。
創作を通して生きづらさを抱える人が自分なりの答えを見つけるためのヒントになればと考えています。 pic.twitter.com/eDJEnXaCmF
加えて、警備会社の先輩社員や夜勤警備員、団地の住人や来客との交流を楽しんでほしいとのこと。きじなご氏自身が、配信者がゲームに没入して実況する姿を観るのが好きなので、ストーリー性の高いゲームを作りたいと考えているそうだ。ゲームをプレイしたり、実況を観たりと多様なゲーム体験をしてきたきじなご氏ならではのこだわりと言えるだろう。
ゲーム性に関しては、団地内の巡回を重ねることで新たな発見がある仕組みになっており、住人への挨拶をする・しないなどでもストーリーは分岐していく。『That's not my Neighbor』のような住人とのやりとりを楽しんでほしいとのこと。他の警備員との友好度も今後実装される予定だ。
『柘榴団地』は、2025年秋の発売を目指して鋭意開発中。キービジュアルに惹かれた方や、前作をプレイされた方はもちろん、静かなホラーゲームが好きな方は、ぜひウィッシュリストに登録しておこう。また、デモ版では製品版の1日目がプレイできるので、併せてチェックしてほしい。

基本情報 | 柘榴団地 |
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開発 | Korekoreshikazika |
販売 | Korekoreshikazika |
配信日 | 2025年10月31日(予定) |
言語 | 日本語有り |
定価 | 未定(Steam) |