Indie Gemは、リリースを控える期待の作品群から、明日を煌めく原石のようなタイトルを発掘し、体験版を元に紹介していくコーナー!
『Baby Steps』は、無職で何の取り柄もない主人公ネイトが、異世界を舞台に一歩ずつ歩みを進めていく姿を描いた物理演算ベースのウォーキングシミュレーターだ。『APE OUT』や『Getting Over It』で知られるGabe Cuzzillo氏、Maxi Boch氏、Bennett Foddy氏が共同で手掛ける。
35歳無職。無気力に自室に引きこもっていたネイトは、ある日、突如として見知らぬ異世界へと飛ばされてしまう。わけもわからぬまま立ち上がった彼はその瞬間、自分でも知らなかった力を発見する――それは「片方の足を、もう片方の足の前に出す」という驚くべき能力だった。


一歩ずつ地面を踏みしめて前進しよう
本作のゲームシステムは、三人称視点で主人公ネイトを操作し、オープンワールドの世界を探索しつつ、自分なりのルートを選んで歩みを進めていくウォーキングシミュレーターだ。
プレイヤーが操作可能なメインのアクションは「左右の足を動かす」ことなのだが、シンプルでありながらこれがとても難しい。

コントローラーでの操作が推奨されているので「Xboxワイヤレスコントローラー」をベースに説明すると、左サムスティックの傾きによって姿勢を保ちつつ体重移動させながら、左足はLT(左トリガー)、右足はRT(右トリガー)を交互に押して踏み出していく。
前進するためには前方に体重をかけつつ、テンポよく左右の足を踏み出していかねばならないが、前に傾きすぎてもバランスを失って倒れてしまうし、LR/RTを押し込んでいる時間が長い分だけ足を大きく上げるので、力を込めすぎても足並みが揃わずこれまた倒れてしまう。


ネイトが飛ばされた異世界は、頭上はるかに高く山がそびえるどこかの山道と思しき場所。道は平坦なだけではなく、自然の段差や人工的な階段、ゴツゴツとした岩石や倒木も転がっているので、姿勢の保ち方も足の踏み出し方も毎回違ってくるのだ。
ちょっとうまく歩けたなと思った次の瞬間には地面を舐めているし、地面が泥でぬかるんでいれば当然滑るので、そんな場所で足を踏み外せば一気に下まで滑り落ちてしまうなんてことも。
小太りの体型にジャストフィットしたワンピースパジャマに、足は裸足のまま。転べば転ぶほどに全身泥まみれになっていく姿に痛ましさすら感じるが、しかし、彼は黙々と歩みを進め、山を登っていく。
これだけ何度も転んだら立ち上がる気力もなくなりそうなものだが、こう見えて意外と不屈の精神を持ち合わせているように思える。

そんな彼だが、実は孤独ではない。この世界にも人がいて、脈絡もなく登場してはことあるごとに話しかけてくる。謎めいた奇妙な人物ばかりだが、彼らの口ぶりからどうやらネイトを助けてくれようとしているようだ。
ところが、引きこもって家族以外に他人と接して来なかった主人公にとって、早く会話を終わらせてその場を切り抜けたいがばかりに、適当な言い訳をして差し伸べられた手も振り払い、靴や地図を提供してくれようとしたのにすべて断ってしまう。
本作は、自分の殻に閉じこもっていた主人公が外の世界へと導かれ、自分自身の力で踏み出していく深いテーマ性が感じられる(たぶん)のだが、製品版では彼の成長した姿が見られるのだろうか。


『Baby Steps』は、2025年9月8日にコンソール(PlayStation 5)でのリリースに続き、9月9日にPC(Steam)にて配信予定。
今回、2025年6月9日に開催された「PC Gaming Show 2025」に合わせて公開された体験版では物語のチャプター1をプレイ可能。キャンプと思しき場所にたどり着くことでクリアとなるが、その後も周辺を自由に探索可能なので、隅々まで見て回ると思わぬ発見があるかもしれない。

▲体験版のSteamストアページはこちら
基本情報 | Baby Steps |
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開発 | Gabe Cuzzillo Maxi Boch Bennett Foddy |
販売 | Devolver Digital |
配信日 | 2025年9月8日 / PlayStation 5 |
2025年9月9日 / Steam | |
言語 | 日本語有り |
定価 | 未定(PlayStation 5) |
未定(Steam) |