甘酸っぱいだけじゃない！恋に奥手な大学生がマッチングアプリで運命の相手を探すビジュアルノベル『MATCH APP!』先行プレイレポ

本稿は事前にレビューキーをご提供いただき、執筆しています。

突然だが、マッチングアプリで恋に落ちたことはあるだろうか。

アプリを使ったことがある方も、実際に運命の相手と出会った方も、まだ使ったことはないけれど興味がある方も——そんな全ての方におすすめしたいビジュアルノベルゲームがある。それは、2025年8月15日に発売される『MATCH APP!』だ。

『MATCH APP!』は、現代のマッチングアプリ文化を背景に、大学生が織りなす恋愛が描かれたビジュアルノベルだ。開発は、本作が初作品となる日本のゲーム開発チームTEAM DTOXが手掛ける。

今回、先行してプレイする機会をいただいたので、ストーリーの結末などの重大なネタバレは避けつつ、複数のエンディングを体験して見えた本作の魅力をご紹介しよう。

マッチングアプリで運命の相手を見つけよう！

物語の主人公は、大学4年生のまさやん。奥手の彼は、友人ひろしに背中を押され、マッチングアプリを始めることに。そこでマッチングしたのは、明るく人なつっこい雰囲気の女性くもこだった。メッセージのやりとりからはじまった関係は、やがて複雑な物語を紡いでいくことになる。

まさやん - 本作の主人公。恋愛経験は少なく、友人ひろしの勧めでマッチングアプリを始める。プレイヤーの選択によって、さまざまな結末を迎えることに。
ひろし - まさやんの大学の友人。まさやんと一緒に寮で暮らしている。恋愛に積極的で、恋に奥手なまさやんの背中を押す存在。ときにツッコミ役でもあり、彼とのやりとりは本作のほっこりパートとなっている。
くもこ（はっしー）- まさやんがマッチングアプリで出会う女性。明るくて親しみやすい性格で、積極的にまさやんをリードする。本名はくもこで、マッチングアプリでの登録名ははっしー。物語が進むにつれ、その人となりが明らかになる。

本作のゲームプレイは、マッチングアプリのチャットを模した画面から始まる。プレイヤーは、基本的にキャラ同士の会話や、マッチングアプリのメッセージを読みながらゲームを進めていく。途中に現れる選択肢を選ぶことで物語が分岐するマルチエンディング仕様となっている。

また、複数のエンディングを見ると、エキストラというコンテンツが解放される。ここでは、くもこ視点で物語を追体験でき、主人公視点だけでは見えなかった真実、くもこの裏事情が明らかとなる。視点が変わることで、同じ出来事の印象がガラリと変わるのも面白い仕掛けだ。

本作には、現代のマッチングアプリをリアルに追体験できる演出が満載だ。たとえば、既読・未読の反応や返事のタイミングなど、アプリ恋愛特有の微妙な心理が表現されている。いいねを押した後の胸のドキドキや、既読がついてから返事を待つ夜など、現代の恋愛のリアルを細部で感じることができる。

令和の大学生のリアルが詰まった会話と心理描写

本作でまず印象に残ったのは、会話のリアリティと読みやすさだ。「とりま」などの令和の大学生らしい口語表現が多く登場するが、読みづらさは感じられずテンポよく進んでいく。全編フルボイスで展開されているところも、物語のわかりやすさに一役買っている。

加えて、まさやんの恋愛心理描写の細やかさも光る。2回目のデートの待ち合わせ場所で、まさやんが遠くにいるくもこを見つけるシーンがある。きらめく瞳と、つやつやな髪をなびかせながら駆け寄ってくるくもこを見て、まさやんは自覚する——「自分が思っていたよりも彼女のことを好きになっていた」ということに。恋愛経験の少ないまさやんが恋に落ちる姿が丁寧に表現されていた。

また、まさやんとひろしの2人の友情も見どころだ。プロフィール写真を撮ってくれたり、カラオケデートの前に一緒に歌の特訓をしたりと、からかい合いながらも支え合っている。そんな関係性が作品全体を親しみやすいものにしている。この2人のやりとりがあることで、プレイヤーは恋愛パートだけでなく、日常の人間関係にも共感できるだろう。

甘いだけじゃない、マッチングアプリの現実

本作の最大の強みは、マッチングアプリという現代的な出会いの場を甘い部分だけでなく厳しい現実まで踏み込んで描いているところだ。ここでは多くを語らないが、軽い恋愛体験だけでは済まない物語が待っている。プレイ後の感触として、「オンラインの出会いって、こういう側面もある」と考えさせられる部分があるのは間違いない。

『MATCH APP!』は、マッチングアプリでの出会いの光と影を丁寧に描いた作品だ。プレイ時間は1〜2時間程度と想定されており、筆者の場合は2時間弱で全てのエンディングを見ることができた。既読スキップ機能により周回プレイも快適で、まさやんとくもこ両方の視点を楽しめるため、全エンディングの体験をおすすめする。

かわいいだけの恋愛ゲームでは物足りない方、マッチングアプリに興味がある方、現代の大学生の恋愛事情に共感したい方には、ぜひプレイしてもらいたい。