“掃除機”で地底に眠るお宝を掘り当てろ! 愉快でカジュアルな穴掘りゲー『One Man´s Trash』プレイレポ

しわしわ

2025/08/26

シンプルな反復作業ゆえに時間を忘れて没頭してしまう――そんな魅力で人々を惹きつけ、『A Game About Digging A Hole』や『ほりほりドリル』などのヒットにより、昨今ブームになりつつある「穴掘りゲー」。

今回紹介する『One Man´s Trash』は、穴掘りゲームとしての基本を踏襲しつつ、なんと「掃除機を手に土を吸い込むことで穴を掘る」というかたちをとったユーモラスな作品だ。開発・パブリッシングともにJony Pazu Gamesが務め、2025年7月23日より正式リリースされている。

本作には「ほっこりモード」「クラシック」「アビス」と3つの難易度が用意されており、筆者は敵が出現しない低難易度「ほっこりモード」にてプレイ。本稿ではプレイレポのかたちで『One Man´s Trash』の魅力を紹介していこう。

Steam:One Man´s Trash
数百万ドルの価値がある 失われたハードドライブ を求めて、巨大なゴミの穴 を掃除機で進め。吸って、売って、強化して、この 危険なほど中毒性がある 風刺的ディグゲームで、奇妙なアイテム、ポップカルチャーの遺物、不穏な秘密を発見しよう。

ユーモアに富んだフランクな作風

イギリスの「8000ビットコインを失った男」についてご存知だろうか? 2013年、1300億円以上に相当するとされる8000ビットコインが入ったハードディスクを誤って廃棄してしまった男性は、それを取り戻すため、埋立処理場を購入して掘削するという計画を立てた。残念ながら当計画は断念されたそうだが、この実話から着想を得て開発されたのが『One Man´s Trash』である。プレイヤーは約1億ドル相当の仮想通貨が入ったハードディスクを取り戻すため、買い取った埋立地でひたすらに穴を掘り進めていくことになる――掃除機で。

発掘したアイテムを収集・換金してツールをアップグレードし、さらなる深みを目指す。そんな中毒性ある基本的な流れは押さえつつ、ツールを「掃除機」とすることで操作感に特徴をもたせた本作は、上記のような経緯もあって全体的に軽妙かつ愉快なトーンでまとまっている。「なぜ掃除機を使うのか」という理由について説明もなく唐突に始まるシュールさと、それを際立たせるようにゲーム内のラジオから流れてくる軽快なBGM。この空気感はクリアまで損なわれることがなく、終始気楽な姿勢で発掘に臨めるのは本作の大きな魅力のひとつだった。

地中からはジャンク品のほか、高額で売れる一点物のレアアイテムも入手できる。これらはコンプリート要素として収集欲を促すだけでなく、皮肉や風刺の効いたフレーバーテキストが添えられている点も魅力的だ。元ネタが分かる人はもちろん、分からない人でも単純に面白おかしく思えるような内容が多く、本作のフランクなプレイ感を強調する役割を果たしている。

黙々と土を吸い込みながら地中を進み、ふとした瞬間に見つかるレアアイテムでくすりと笑い、また黙々と土を吸う。より深くへと降りるために、ロープもアップグレードでコツコツと伸ばしていく。コミカルでどこか気の抜けるような空気感が漂う本作の「ほっこりモード」は、ちょっとした息抜きがしたい平日の夜や週末の気晴らしなどにぴったりな印象だ。

シンプルに「掘ること」を突き詰めた楽しさ

本作の特徴である掃除機の使用感だが、『ASTRONEER』の掘削に近い、と言えばプレイ済みの方には伝わるだろう。ゴリゴリと土が抉れていく感触には独特の気持ち良さがあり、マウスを押しっぱなしにしたままでアイテムも回収できるシームレスさもストレスフリーだ。アップグレードした掃除機でないと進めない地層も出現するが、その近くには大量のジャンク品が埋まっているうえ、掃除機の強化にかかる金額も高すぎることはない。このように、プレイが滞らないよう設計されていると感じるポイントが随所に見受けられた。

また、本作にはアスレチック的な構造をした地層も存在する。開けた場所ではライトの光が届ききらず全貌の把握が難しいため、落下しないよう足元に注意しながら探索していくという内容の変化があり、ここではアクション的な操作も多少必要になった。

しかし、「ほっこりモード」では何かに追われるプレッシャーがかかったり、タイミングを読むなど反射神経が求められたりといったことはなく、あくまで作品全体として「発掘・採掘から軸足がブレない範囲のもの。筆者は壁沿いの土を下り坂になるよう掘り進めたが、手前の地層でお金を稼いでロープを長くしておくことでも危険を減らせるだろう。該当地層の滞在時間もプレイ全体で見ると決して長いものでなく、味変として非常に程よい塩梅だった。

ちなみに、何もない空間に向かってひたすら掃除機を使い続けるとオーバーヒートを起こしてダメージを食らうので、万が一落下してロープに戻れなくなった際にも「死に戻りで地上に復帰できる」ということは念のため付記しておこう。死亡時にインベントリ内のジャンク品やアイテムが消失してしまう点には注意。

『One Man´s Trash』をプレイしていて好感触だったのは、そういった「ノイズや試練の少なさ」によって、掘る作業に没頭できるようシンプルにまとめられていた点だ。ただただ無心で掘りたいユーザーの掘削欲を心地よく満たしてくれ、目立った隙のない良質な仕上がりになっている。

Steamでのレビューを見るかぎり、「クラシック」以上の難易度では敵の出現によって一気にプレイフィールが変化するようで、さまざまなニーズへの対応とそれぞれの奥行きがきちんと両立されているという完成度の高さも窺える。筆者が一周クリアまでにかかった時間はSteam上で5.8時間、かつ難易度変更によるリプレイ性が十分にあることを考えれば、そのボリュームは値段以上に感じた。

「クラシック」や「アビス」ではどんな世界と体験が待ち受けているのだろうか? ハードディスクを追う男の物語、その顛末とあわせて、気になった方にはぜひ手に取ってプレイしてみてほしい。

『One Man´s Trash』は2025年7月23日よりPC(Steam)にて販売中。日本語や英語をはじめ14の言語に対応しているとのこと。


基本情報 One Man´s Trash
開発 Jony Pazu Games
販売 Jony Pazu Games
配信日 2025年7月23日
言語 日本語有り
価格 784円(Steam

ライター:しわしわ 編集:nawa, LayerQ

この記事で紹介されているゲーム

One Man´s Trash

カジュアル

インディー

アドベンチャー

シミュレーション

日本語対応

ほりほりドリル

アドベンチャー

インディー

カジュアル

日本語対応
¥470

ASTRONEER

アドベンチャー

インディー

日本語対応
¥3,500

A Game About Digging A Hole

アドベンチャー

インディー

日本語対応
¥580
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発売日2016年12月16日
ジャンル
アドベンチャー
インディー

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現在の開発状況

Astroneerは2016年にSteamで早期アクセスタイトルとしてスタートし、2019年に1.0に到達しました。コミュニティーからのサポートやフィードバック、アイデアの提案がなければ、ここまで来ることは不可能でした。この旅を続けるなかで、今後も基礎の上に構築を続けて、Astroneerに無料のコンテンツアップデートを提供し続けるという誓いを新たにします。