本稿は事前にレビューキーをご提供いただき、執筆しています。
『超探偵シャーロックちゃん ~掟破りのミスディレクション~』は、ミステリ作品の代名詞とも言える「吹雪の山荘」を舞台とした謎解きミステリ系のビジュアルノベルだ。日本の個人ゲーム開発スタジオ"おんねんちゃんねる"こと、恐怖院怨念氏が手掛ける。
『逆転裁判』シリーズや『金田一少年の事件簿』のエッセンスを感じさせるミステリ作品を目指した本作では、主人公・今井沙羅子(シャーロックちゃん)が、雪に閉ざされた山荘で巻き起こる殺人事件へと挑むこととなる。


山荘で巻き起こる殺人事件を解決に導け!
本作のゲームシステムは、シーンを描いた静止画や動画を背景に、キャラクターの立ち絵や音楽、ゲームならではの画面効果などを組み合わせて、テキストベースで物語を読み進めるビジュアルノベル、または、ノベルゲームと呼ばれるもの。
そこに主軸となる「謎解きミステリ要素」が組み込まれ、探偵役の主人公・今井沙羅子(シャーロックちゃん)が、助手役の幼馴染・和十村潤(ワトソンくん)と共に訪れた山荘を舞台に巻き起こる殺人事件へと挑む。持ち前の洞察力と推理力、そしてある種の特殊能力を発揮して、真犯人を突き止めようとするストーリーが描かれていく。

本作は大まかに「事件編」「推理編(読者への挑戦状)」「真相編」で構成されていて、ゲームらしい多少現実離れしたメカニクスは備えているものの、その展開は正しく王道というべきものだ。
主要な登場人物は、シャーロックちゃんとワトソンくんの2人に加えて、山荘の看板娘と宿泊客の3人。天候悪化によって山荘は外界から隔絶された環境というシチュエーションとなり、必然的に事件の容疑者は絞られてくることとなる。

これがコミックや小説であれば、順当に読み進めるだけで主人公の華麗なる推理を目にすることができるが、本作はあくまでゲーム作品。
一定のフラグを立てることで到達する先述の「推理編(読者への挑戦状)」では、読者=プレイヤーに問いかけられた質問に答える形で、それまでに目にしてきた事件現場に残されたヒントや、登場人物たちのアリバイ・動機・関係性を洗い出して、真相に到達しなければならない。
とは言え、筆者の主観では謎解き難易度は身構えるほどではない。小気味よく進んでいくテキストと演出のおかげか、全体的なボリューム感は程良い印象。ミスリードを誘うような部分もあるが、シーンに散りばめられたヒントをしっかりと拾い集めていくことで達成感を持って真相へと至ることができるだろう。

『超探偵シャーロックちゃん ~掟破りのミスディレクション~』は、PC(Steam)にて2025年7月11日より配信中。
なお、Steamでは体験版が配信されており、本作における「事件編」が収録されているとのこと。ミステリ作品の構成としてちょうど引きの良いところまでを体験することができるので、まずは体験版をプレイしてみてはいかがだろうか。

本作では登場人物たちにキャラクターボイスがあてられ、没入感を高めるポイントとして一役買っているが、3名の容疑者役には一般公募から選抜された方々が担当(キャスト陣はSteamに掲載中)。その倍率は100~200倍にも上ったとのことで、その選ばれし演技力にも注目だ。

▲体験版のストアページはこちらから
新作『箍の外れたビスクドール 一滅外道ノ章』ストアページも公開中
同スタジオが現在開発中の新作『箍の外れたビスクドール 一滅外道ノ章』のSteamストアページが、2025年7月4日より公開されている。
本作は、謎の症状により町の住人たちが凶暴化するという事態に巻き込まれた高校生たちの姿を描くスプラッターホラー・ビジュアルノベルゲームの続編。どのような選択肢を取ろうとも必ずバッドエンドになってしまうという否応のない展開が訪れる作品で、そのプロローグとなる『箍の外れたビスクドール』は2024年12月12日より配信中だ。


弊誌でもローンチの際にプレイレポートを掲載しているので併せてご覧いただければと思うが、連作形式で段階的に物語がリリースされていくというスタイルが取られており、今作『箍の外れたビスクドール 一滅外道ノ章』はその続編ということになる。
前作では何ひとつ謎が明かされることなくバッドエンドを迎えており、既プレイヤーにとってはかなり気になる状態でお預けされていたため、この惨劇渦巻く世界の次なる展開に期待したい。
▲プロローグ編のプレイレポートはこちらから
基本情報 | 超探偵シャーロックちゃん ~掟破りのミスディレクション~ |
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開発 | おんねんちゃんねる |
販売 | おんねんちゃんねる |
配信日 | 2025年7月11日 |
言語 | 日本語有り |
定価 | 980円(Steam) |