剣と魔法にも胸躍るが、松明片手に自分の足音だけが反響する洞窟内を進んでいくような冒険もまた、浪漫あふれる魅力がある。そんなことを思い出させてくれる『オウリディア:地下に眠る黄金の都市』は、2025年9月22日に発売された2Dプラットフォームアクションゲームだ。さまざまなエリアからなるマップをシームレスに冒険していく探索重視な作品で、戦闘要素はほとんどないことが特徴。Norseboar Gamesが個人で開発し、TrueColor Gamesと共同でパブリッシングを務めている。
本稿では筆者が実際にプレイしてみた感触を交え、本作の魅力や特徴をお伝えしていこう。

祖父が遺した手がかりを追って遺跡探索
主人公であるプレイヤーは、冒険家だった祖父の後を追い、古代の都市アウリディアを目指す(翻訳の過程で生じた表記ゆれと思われる。本稿ではゲーム内の表記に従って、タイトル以外は「アウリディア」と記載する)。そこに祖父の死の真実は遺されているのか、アウリディアとは何なのか、一本の松明を手に大きな秘密を紐解いていくというストーリーだ。

本作に戦闘的な手段はほぼなく、プレイヤーはジャンプを始めとするさまざまな探索アクションを駆使して遺跡を巡っていく。アイテムを取得することで壁登りやフックスイングなど新たな機能が解放され、少しずつ探索範囲が広がっていくという流れだ。また、主人公にレベルやステータスなどは存在せず、強化できるのはアクション使用時に消費する「スタミナ」のみ。装備などもないので、その組み合わせ次第で難易度が上下するといったことも起きない仕様だ。システムは非常にシンプルであり、道を切り開くのはプレイヤー自身の練度と閃きとなる。
また、アウリディアにまつわる遺物を渡すことで新たな情報・アイテムを入手できる歴史家の「スノッリ」をはじめとした、さまざまなキャラクターも登場。地下に佇む長寿の大きな亀「ウルズ」はスタミナの強化をおこなってくれ、祭壇から聞こえてくる謎の声は――内容が少々不穏だが――探索のヒントをくれる。彼らとのやりとりは助けになるだけでなく、物語への没入感をも高めてくれた。

人物の位置や重要な手がかりは地図に自動でマークされるし、もちろんプレイヤーが手動でマーカーを追加することもできる。そうして手段を増やし、歴史の断片を見つけ、プレイヤー自身がアウリディアの成り立ちと衰退の謎に迫っていく……本作には、そんな浪漫あふれる冒険が待っている。
わくわくが途切れない味わい深い冒険
プラットフォームアクションというと高難易度なイメージもあるかもしれないが、本作の難易度は「アスレチックを楽しむ」ラインに抑えられていると感じた。何より、死亡時には直前の安全な足場からすぐにリトライできる点が、快適かつスピーディーなプレイフィールを提供してくれる。巻き戻し作業が必要なくデスペナルティもないので、気軽に挑戦・調節を繰り返すことができ、比較的サクサクと踏破できるのだ。

滞りなくゲームが進行し、新たなアイテムやバイオームに次々出会えることは、わくわく感やモチベーションの持続に繋がる。テンポ良く進行するからこそ黙々と前に進む探求の旅という体験に没頭でき、世界観の魅力が真っ直ぐに伝わってくるのだ。戦闘のない静けさもそれらを際立たせている。
この「冒険らしい新鮮な発見とわくわく」は、そういったプレイフィールのほか、ゲーム内のあらゆるテキスト群からも補強されていた。ゲームブック風の独特の語り口が味わい深く、さらなる没入を促してくれる。


探索やプラットフォームアクションが好きな人はもちろん、この雰囲気に惹かれたのならどんなプレイヤーにもおすすめしやすい本作。ストアページによると3〜6時間ほどでクリア可能なボリュームとのことで、小粒ながら刺さる人には堪らない魅力がギュッと詰まった濃密な作品だ。アウリディア人とは何者だったのか? アウリディアはなぜ封じられたのか? ぜひこの地を踏んで、あらゆる手がかりを辿り、自身の手で確かめてほしい。
『オウリディア:地下に眠る黄金の都市』は2025年9月22日よりPC(Steam)にて発売中。対応言語は英語、日本語、中国語(簡体字/繁体字)、韓国語となっており、10月7日まで15%オフのセール中だ。
基本情報 | オウリディア:地下に眠る黄金の都市 |
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開発 | Norseboar Games |
販売 | Norseboar Games, TrueColor Games |
配信日 | 2025年9月22日 |
言語 | 日本語有り |
価格 | 1,200円(Steam) |
ライター:しわしわ
編集:LayerQ