2025年11月9日に、東京・浜松町にて開催の「東京ゲームダンジョン10」の出展タイトルから、筆者が注目する魅力的なタイトルをピックアップして紹介しよう。
なお、基本的には今後リリース予定の開発中のタイトルや、ローンチから間もないタイトル、早期アクセス中のタイトルを対象としている。


本稿では、今回試遊・取材させていただいた『鬼ヶ谷いんくらいん』をご紹介しよう。タイトルに用いられている“インクライン”とは、主に山岳地帯で荷物を運搬するため建設された傾斜鉄道のことである。
求道庵氏がサウンド以外のすべてを個人で手がけた本作は、敵を倒すのではなく、攻撃を避けることに専念するという新感覚のアクションゲームだ。ストーリーや探索要素が含まれるソロプレイ用のアドベンチャーモードと、2人で協力して次々ステージをクリアしていく共闘サドンデスモードが用意されている。試遊ではアドベンチャーモードを体験させていただいた。


プレイヤースキルで勝負! 自分のペースで上達していく楽しさ
明治後期を舞台とする本作は、主人公の祓い屋が鬼と戦うための武器を奪われ、丸腰となってしまうところからスタートする。村を襲う鬼を封印するため、インクラインに鬼を投げ入れ、狭い荷台の中で攻撃を掻い潜りながら方陣のある村の最上段を目指すという内容だ。

鬼に対しておこなえるアクションは「回避」と「担ぐ」のみ。鬼の色によって攻撃方法が異なり、対処法もそれぞれに用意されている。赤鬼は追い回してくるので距離を置く、黄鬼は腕を横に回すのでしゃがむ、青鬼が吐くブレスはジャンプでかわす、といった具合だ。鬼は一度に4体までインクラインに積み込むことができ、数を増やせばもちろん難易度は上がるが、そのぶん封印時の報酬やスコアが上がるというハイリスク・ハイリターンな仕組みである。
コツを掴むまでは忙しくあっさり被弾してしまうものの、慣れれば着実に対応できるようになっていく気持ちよさが好感触だった。マゾヒスティック・アクションと銘打たれているとおり受動的な戦闘システムではあるものの、鬼の数を調整したり自分が対応しやすい鬼を選んで積んだりと、プレイヤーが自身に合わせてプレイ内容をカスタマイズできる幅がある点も魅力的である。

鬼の封印時に獲得できる報酬「火魂(ひだま)」にはさまざまな使い道があるそうで、具体的には新たなエリアの解放などに使用できるとのこと。高難易度に挑戦し高効率を目指すプレイにも、きっちりとやりがいが設けられている。
“インクライン”から着想を得て制作された本作の魅力
会場にて開発者の求道庵氏が取材に応じてくださったので、なぜこういった戦闘システムになったのか伺ってみた。何でも本作は、タイトルにもある“インクライン”を軸としてアイデアが練られていったという。求道庵氏の地元近くにはインクラインの跡地が残っており、幼いころからそれを見るのが好きで、上手く組み込んだゲームを作れないかと昔から考えていたそうだ。
その結果として、「荷物ではなく敵を運んでみる」ことを思いつき、「鬼を倒さずにインクラインの荷台で攻撃を避け続ける」という本作独自のシステムが構築されていったとのこと。

また、トライアルアンドエラーによる上達を実感できるよう意識して制作している、とのお話も伺えた。先述のとおり、こちらは筆者もプレイしながら体感できた部分である。鬼も主人公も比較的ゆったりした動きをするため、焦らずにひとつずつ判断していくことで、難しいと感じていた状況もさほど忙しくはないことに気付き、少しずつ捌けるようになっていくのだ。上達の実感とはゲームをしていて何より嬉しい瞬間である。余裕が生まれれば苦手な鬼にも挑戦したくなるなど、プレイヤーのテンポで成長していけそうなゆとりのある設計だと感じた。
筆者は今回アドベンチャーモードをプレイしたが、試遊待機中に2人プレイの様子も見学することができた。そちらは封印までの流れを10回連続で繰り返してハイスコアを狙うという内容で、家族や友人と声を掛け合いながらワチャワチャと遊べるパーティゲームのような印象だ。それぞれの異なる楽しさに期待が持てる。試遊時点ですでにローカルマルチプレイが可能となっているが、SteamのRemote Play Togetherにも対応したいと考えているそう。気軽に友人を誘えるのはありがたい。

製品版ではマルチプレイはもちろん、アドベンチャーモードでのストーリー展開がどうなっていくかにも注目したいところ。2026年の公開を目標に鋭意製作中とのことで、気になった方はぜひウィッシュリストに追加してみてはいかがだろう。
| 基本情報 | 鬼ヶ谷いんくらいん |
|---|---|
| 開発 | 求道庵(gudouan) |
| 販売 | 求道庵(gudouan) |
| 配信日 | 2026年予定 |
| 言語 | 日本語有り |
| 価格 | 未定(Steam) |
ライター:しわしわ 編集:LayerQ














