2025年11月9日に、東京・浜松町にて開催の「東京ゲームダンジョン10」の出展タイトルから、筆者が注目する魅力的なタイトルをピックアップして紹介しよう。
なお、基本的には今後リリース予定の開発中のタイトルや、ローンチから間もないタイトル、早期アクセス中のタイトルを対象としている。


パズルとローグライトの要素が融合
「1人で黙々と熱中してしまうもの」というと、いろいろなものが思い浮かぶ。たとえば、ジグソーパズルなどは延々とやってしまうし、1プレイごとにプレイ体験が変わる「ローグライト」のジャンルも無限にやりこんでしまう。そんな2つを大胆にミックスした作品があったとすれば……どんな時間泥棒になってしまうのだろうか。
『ジグソーローグ』は、ジグソーパズルのピースを組み合わせて4×4の盤面に配置し、敵と戦っていくターン制デッキ構築型ローグライト。個人ゲーム開発者のnito氏によって制作が進められている。
本作は、敵との戦闘フェーズと、ピースの獲得や強化をするデッキ構築フェーズを繰り返していき、最後に待ち受けるボスを倒すことを目指すという一般的なデッキ構築型ローグライトのシステムをとっている。敵との戦闘も、こちらの攻撃ターンと敵の攻撃ターンを繰り返して進んでいくオーソドックスなターン制だ。
特徴的なのは、ジグソーパズルのピースでデッキを構築していく点。ピースは攻撃や防御、ドロー効果などさまざまな効果を持っているが、1枚では効果を発揮できない。
ピースの凸凹をそろえて、他のピースとピッタリはめることで初めて効果を発揮する。4×4の盤面にピースをどのように配置するかが試される、戦略性の高い作品となっている。
今回の体験版では、本作の冒頭を遊ぶことができたので、その内容についてご紹介しよう。


まず、本作の戦闘はターン制となっており、自分のターンが来ると、ピースを盤面に配置するところから始まる。ピースを1枚配置したら、ピース同士の凸凹がかみ合うように2枚目以降を配置する。ピースはマウスのドラッグ&ドロップで配置することができ、右クリックで回転させることも可能。マウスだけでプレイできるので、操作性はシンプルだ。
ピースの配置が完了したら、「プレイ」をすることで盤上のピースが効果を発揮する。ピースはそれぞれ攻撃力、攻撃回数、ドロー効果、バフ効果などを持っている。これらを組み合わせて、相手のHPを削りきって倒すことが目標となる。
自分のフェーズでは3回までプレイすることができ、プレイ回数が上限に行くか、パスすることで相手のターンとなる。相手ターンでは自分のHPが削られるので、0になる前に相手を倒しきる必要がある。

そして、本作の戦闘をより面白くしている点が、凸凹が盤面のピースとかみ合うのであれば、ピースはフェーズ内に何枚でも配置可能なこと。
同時に配置できるということは、ピースそれぞれの効果も全て発生するため、さまざまなコンボを生み出すことができる。たとえば、体験版では攻撃効果を持つピースとバフ効果を持つピースを組み合わせて、一気にダメージを稼ぐといったコンボを行えた。
また、フェーズ内に3回までプレイすることができるという仕様も見逃せない。応用すれば、最初のプレイでドロー効果のあるピースのみを配置して手札を整え、2回目以降のプレイで手札のピースを一気に配置してトドメを刺す……といったことも可能だ。
戦闘に勝利するとランダムに選ばれた3枚から新たなピースを1枚加えられるので、そのピース次第で新たなコンボが開拓できるだろう。

もちろん、ピースの凸凹が合わなければ配置することはできないので、ピースの配置場所もしっかり考える必要がある。
たとえば、ピースの凸凹が多ければ他のピースと組み合わせやすくなるが、他のピースの配置を阻害する可能性も高まる……といった具合にジグソーパズル的なメリット・デメリットも存在する。こうしたジレンマも、本作のデッキ構築をいっそう奥深いものにしている。
敵との戦闘が終わると次のマスへと進んでいく。マップには、戦闘マス以外に「凸凹を追加する」マスが存在していることがある。
このマスでは、既にデッキ内に存在するピースに凸凹を追加できる。凸凹の追加方法は、自分でピースを1枚選んで凸か凹のどちらかを追加する方法と、ランダムな2枚に凸凹を追加する方法から選べる。
凸凹が多いほどピースを組み合わせやすく、コンボもしやすくなるのは前述のとおり。かといって、無計画に開けていってしまうと、4つの方向全てが凹のピースが誕生してしまい、デッキ内のピースと組み合わせにくい……といったことも起きうる。
このように最終的なパズルのはめ方を想像しつつ、コンボルートを考えていくというプレイ体験は新感覚だった。
体験版でボスにたどり着いて倒すまでの1プレイは約10分ほど。全体的なプレイボリュームに関しては調整中とのことだったが、1回のプレイは10分からは大きく変動しないとのことだった。
手軽に遊べる構成となっていたが、そのプレイ体験は戦略性に富んでおり非常に濃厚。パズル的な思考と、ローグライトらしいその場で戦略性を考えていくプレイ体験が上手く融合しており、体験版ながらすぐにリプレイしたくなるほどだった。
製品版ではさらなるピース効果や敵の追加も予告されており、ずっとこの作品をやりこんでしまいそうな魅力にあふれた作品だ。
「夜更かししてこっそり遊ぶ」雰囲気に
本作を手掛けるnito氏にお話を伺うことができたので、最後にそちらもご紹介しよう。
元々nito氏が『Slay the Spire』に代表されるデッキ構築型ローグライクのジャンルが好きだったこともあり、これに何かを組み合わせて自作のゲームを作りたいと思ったことがきっかけだったそう。
ローグライトの"カード同士を組み合わせる"という面白さを直感的に表現できるものは何かを考え、当初はサイコロなどいろいろなものを試していた。そこで「ジグソーパズル」という形式が一番しっくり来たので、これに決定したという経緯だったようだ。
グラフィックやプログラミングなど、本作の開発は全てnito氏個人で進めているとのこと。グラフィック面について伺ってみたところ、色使いなどは特にこだわっており、落ち着いた色合いにしつつ「夜更かししてこっそり遊ぶ」ような世界観をイメージしたそうだ。ローグライトというジャンルも相まって、夜更けまで遊んでしまいそうな本作にバッチリはまったイメージだろう。
また、ゲームの案内人役となるキービジュアルの"少女"については、長毛の猫をモチーフにしたそう。また、気まぐれさを強調したデザインでもあるとのこと。いつの間にか引き込まれてしまいそうな魔性の魅力は、この辺りから来ていそうだ。
このほか、開発面の苦労を伺ったところ、カードと比べて、ピースだとテキストを入れるスペースが限られる点で特に苦労していたとのこと。ジャンル的にある程度の説明を乗せることは不可欠なので、いかに視覚的にわかりやすく見せるかはかなり調整しているそうだ。本作をプレイしていても、数字やアイコンなどで直感的に効果が分かりやすく、お話どおりUI面のこだわりを感じた。
『ジグソーローグ』は、PC(Steam)でリリースを目指して鋭意開発中。本作に加わる新たなピースがどのようなものとなるのか、期待が広がる。
| 基本情報 | ジグソーローグ |
|---|---|
| 開発 | nito |
| 販売 | nito |
| 配信日 | 未定 |
| 言語 | 日本語有り |
| 価格 | 未定(Steam) |
ライター:レイリー 編集:LayerQ







