2025年11月9日に、東京・浜松町にて開催の「東京ゲームダンジョン10」の出展タイトルから、筆者が注目する魅力的なタイトルをピックアップして紹介しよう。
なお、基本的には今後リリース予定の開発中のタイトルや、ローンチから間もないタイトル、早期アクセス中のタイトルを対象としている。


「人格移植」で他者に憑依して謎を解き明かす
「この人相手だったら素直に話せる」という人が身近にいると頼りになるものだ。そんな風に信用されている人に成りすますことができれば、日常のちょっとした疑問にも、はたまた事件の真相にも、倫理観はともかくとしてすぐに近づけるかもしれない。そんな“禁断の近道”を堂々と使ってしまうのが、本作『ナカノ人格移植研究所』だ。
『ナカノ人格移植研究所』は、容疑者の身体に人格ごと乗り移って事件の真相に迫っていく推理アドベンチャーゲーム。ビジュアルノベル型の推理アドベンチャーゲーム『アイアイ喫茶店』を手掛けた、インディーゲーム開発サークル『麺屋すぱいす 東京支店』によって開発が行われている。
プレイヤーは若き研究者「間宮鴎」として、船の中に作られた研究所「ナカノ人格移植研究所」にひょんなことから乗り込むことになる。船内には個性豊かな研究員たちが乗船しており、彼らの間で色々な事件が起こる。そこでカギを握るのが、彼らが研究している技術「人格移植」。人格移植で容疑者となる6人の研究員に乗り移りながら、事件の真相に迫っていこう。
今回の体験版では、物語の冒頭を遊ぶことができたので、その内容についてご紹介しよう。

体験版では、物語を読み進めていくノベルパート、横スクロール形式でキャラクターを操作して証拠を集めていく探索パート、集めた手がかりを用いて容疑者と論戦を行う会議パートの3つに分かれていた。システムのつくりは王道の推理アドベンチャーとなっており、とっつきやすい形式だ。

物語は、脳科学を研究していた主人公「間宮鴎」が、同じく脳科学を研究する「星平遥」と偶然出会うところから始まる。家のカギを忘れてしまった鴎は、遥の研究室に泊めてもらうという提案を受け、船内に作られた研究所「ナカノ人格移植研究所」へ訪れる。
その後、甲板で出会った研究員「柿池」が何故かずぶぬれで発見されるという状況に疑問を持った遥は、鴎に「人格移植」を用いた真相究明をお願いするという形で、本作の物語は幕を開ける。今回の体験版では、この柿池がずぶ濡れで甲板にいた理由を探っていくことになる。

この時点で、遥の言動が何故か挙動不審だったり、船で出会う最初の研究員がどういうわけか板前風の人物「寿司坂」だったりと、ツッコむべきかもしれないポイントがいくつもあり、『アイアイ喫茶店』と同じくユーモラスな雰囲気を感じられる。
特徴的な点は、タイトルにもなっている「人格移植」。簡単に説明すると、装置を用いると相手に気づかれることなく、人格ごと憑依できるというもの。憑依すると自由に他者を操ることができてしまうという、倫理的にはやや恐ろしい技術となっている。
鴎はこれを用いて、他の研究員に憑依していくことになる……と書くと犯人側として悪用もできてしまいそうだが、少なくとも体験版ではちゃんと解決する側なのでご安心いただきたい。

今回は梅小路と瑠璃村の2人に憑依することができたが、そうすることで、探索パートで鴎のままでは手に入れられなかった手がかりを集めることができる。わかりやすい例だと、鴎は男性なので男湯にしか入れなかったが、憑依先の2人は女性なので女湯で情報収集をすることができるようになる。
このほか、憑依先の人物が親しい間柄の人物が、情報を話してくれるということもあったので、憑依先によって得られる手がかりが大きく異なっていた。

そうして手がかりを集めたら、会議パートに入る。ここでは、提示される疑問に対して適切な手がかりを提示していき、議論を進めていくことになる。集めた手がかりが不十分だったときは、戻って再び探索することもできるようだ。
今回の体験版では、提示する証拠を間違えても特にペナルティはなかった。最悪総当たりでも進行できるので、推理系に自信がないという方でも安心して遊べるだろう。



体験版は柿池がずぶ濡れだった理由が判明するところで終わったが、製品版では同僚「星平遥」の失踪事件が中心となるようだ。また、製品版では誰に憑依するか、憑依して何をするかでエンディングが分岐していくとのこと。
探索できる範囲や、景色の見え方なども憑依先によって変わってくるようで、どこで誰に憑依して手がかりを探すか、周回しながら探っていく楽しさも味わえそうだ。
ボリュームは1周15分程度で、総プレイ時間としては5~6時間程度を想定しているという。体験版では登場しなかった残り3人の研究員や、遥が失踪してしまった経緯などまだまだ気になる点も多く、期待が高まる内容となっていた。
目指すところは平和なミステリー
本作のシナリオ等を手掛けるびんれん氏と、2Dイラスト等を担当する木野まざる氏にお話を伺うことができたので、最後にそちらもご紹介しよう。

前作『アイアイ喫茶店』は、ゲーム制作を志していた木野氏が偶然びんれん氏と意気投合したことで開発が始まったそう。元々イラストを書くことが趣味だった木野氏がキャラクターデザイン等のイラスト面を、本格推理ものを書きたかったびんれん氏がシナリオを担当する形で、お二人をコアメンバーとして開発が進んでいった。本作『ナカノ人格移植研究所』も同様の体制で開発中だそうだ。
『ナカノ人格移植研究所』の開発は、『アイアイ喫茶店』の制作終盤から進められていたとのこと。『アイアイ喫茶店』は選択方式のビジュアルノベルというシンプルな形式だったが、そこでは詰め込めなかったいろいろな要素を本作で詰め込みたいとのことだった。
たとえば、よりゲーム性をプラスする形で横スクロール型のアドベンチャー要素を導入している。また、本格的な推理ものへと進化させるため、シナリオは群像劇的な構成へと変わっているなど、さまざまな点で変化している。

前作『アイアイ喫茶店』の「なんでも合言葉になってしまう喫茶店」というテーマや、本作の「人格移植」というテーマなどなかなか奇抜なシナリオも「麺屋すぱいす 東京支店」作品の特徴と言えるだろう。
この点を伺うと、元々びんれん氏がミステリー物は好きだが、ホラー系やグロテスクなジャンルが苦手なこともあり、ユーモアを掛け合わせた平和なミステリーを作りたいと考えたそう。また、びんれん氏はお笑い芸人としてのキャリアもあるとのことで、ユーモアセンスに関してはまさに得意分野だったと言えるかもしれない。

このほか、木野氏へキャラクターデザインについても伺ったが、こちらは推理ゲームにおいて誰が誰かの判別はプレイヤーがつかないといけないため、個性付けはかなり強めにしているとのこと。喜怒哀楽の感情表現差分にもこだわっているようで、キャラクターたちが表情を豊かに変えていくさまは、シナリオのユーモアさをより引き立てる形となっていた。
また、名前も推理ゲームという都合上プレイヤーが覚える必要があるため、50音順のもじりで名前を付けており記憶に残りやすくしているそう。
体験版で登場したキャラクターで見ると、「間宮鷗」は「まみや かもめ」でま行のもじり、「星平遥」は「ほしひらはるか」では行のもじり……と、五十音順で覚えられるような形となっている。それぞれパーソナルカラーや憑依時の専用BGMも割り当てられており、強烈な個性とともに覚えられそうだ。

『ナカノ人格移植研究所』は、PC(Steam)で2026年のリリースを目指して鋭意開発中。人格移植という強烈なテーマがどのように事件と結びついていくのか、シナリオへの期待が広がる。
| 基本情報 | ナカノ人格移植研究所 |
|---|---|
| 開発 | 麺屋すぱいす 東京支店 |
| 販売 | 麺屋すぱいす 東京支店 |
| 配信日 | 2026年 |
| 言語 | 日本語有り |
| 価格 | 未定(Steam) |
ライター:レイリー 編集:LayerQ


