色彩豊かな異世界を旅しながら、自分自身と向き合っていくメトロイドヴァニア『Constance』プレイレポート

朝比奈 / Asahina

2025/12/02

本稿は事前にレビューキーをご提供いただき、執筆しています。

Constance』は、あるアーティストの受容と再生を描く2Dアクションアドベンチャーゲームだ。ドイツのケルンとベルリンに拠点を置くゲーム開発スタジオ"Blue Backpack"が手掛ける。

主人公のコンスタンスはアーティストとして暮らしているものの、自分の求める創作とはかけ離れた仕事に日々追われ、心身は限界に近づいていた。

異変が訪れたのは、ある夜のこと。突然、強いパニック発作に襲われた彼女は、気がつくと見知らぬ場所に立っていた。そこで出会った、神秘的な存在フリーダから託された不思議な「絵筆」を手に、コンスタンスは現実世界へ戻る手段を求めて旅するなかで、さまざまな出会いと出来事を通して自分自身と向き合っていくことになる。

Steamで10% OFF:Constance
《Constance》は、手描きアートで制作されたアクションアドベンチャー。絵筆をあやつる主人公は、自らの病んだ心が生み出した、カラフルながらも退廃的な精神世界から逃れ出るべく奔走する。

※ゲーム開始時にも掲示されるが、本作には燃え尽き症候群・家族関係の対立・不安・トラウマなど、メンタルヘルスに関する描写が登場する。こうした要素が負担になる可能性がある方は、プレイ前に留意しておいてほしい。

アートが息づく世界で積み上げるアクションと発見

本作は、水平方向の視点(サイドビュー)で展開する探索型アクションで、いわゆるメトロイドヴァニア形式を採用している。広大なマップには、訪れた当初は進めない場所や仕掛けが多く存在するが、旅の途中で新たな能力を得ることで行動範囲が少しずつ広がっていく。

この能力は、探索中に放置された白紙のキャンバスを発見することで、内なるインスピレーションに触れるかのように習得する「ブラシテクニック」と呼ばれるもの。例えば「ダイブダッシュ」は、体を絵の具に変化させて障害物をすり抜けたり、途切れた足場を越えたりできる。

ブラシテクニックは戦いにも不可欠なアクションだが、何より、こうして行動範囲が広がっていく過程こそ、メトロイドヴァニアならではの魅力だろう。

こうした探索の魅力を支えているのが、イラスト調の色彩豊かなアート表現だ。コンスタンスの本質を映し出したかのようなビジュアルは優しいタッチで統一され、背景の揺らぎや光の表現も落ち着いた雰囲気を醸し出している。キャラクターも細やかなアニメーションで動き、丁寧に描かれた世界が息づいているかのような気配が伝わってくる。

キャラクター同士の会話シーンでは、コンスタンス自身は言葉を発しないものの、感情を読み取れる身振りや表情が描かれており、彼女の人となりを豊かに表してくれている。なお、本作の日本語翻訳は英日ゲーム翻訳者のGeorge Inagaki氏が担当しており、作品のトーンに寄り添った自然なローカライズが施されている印象だ。

この世界は中央に位置する「がらくたジャンクション」という街から、放射状に複数のエリアが広がっており、赤・青・緑などそれぞれ異なるカラーテーマと雰囲気が与えられている。

Hollow Knight』などの代表的なメトロイドヴァニアと比べると、マップの広さはやや控えめに感じるが、程よいボリューム感でプレイを進めていくことができるだろう。

旅の始まりを彩る序盤エリアの魅力と挑戦

ここからは、チュートリアルを終えて拠点となる街「がらくたジャンクション」にたどり着き、最初の目的地となるエリア「百花のファウンドリ」を訪れるまでをレポートしよう。

がらくたジャンクションには、外の世界へとつながる列車が置かれているものの、今は何者かによってロープで縛られて動かせない状態にある。街で出会う市長によれば、そのロープを断ち切るにはメンターと呼ばれる存在が持つキーアイテム「」が必要なのだという。ここで大きな目的が提示され、プレイヤーは最初のエリアである百花のファウンドリへ向かうことになる。

百花のファウンドリは黄色を基調としたエリアで、華やかさの裏側にどこか不穏な空気が漂っている。反乱を起こしたロボットたちが徘徊し、強力なボスも待ち受けているが、全体としては戦闘一辺倒ではなく、アスレチック寄りの構成という印象だ。

ジャンプや回避、習得した能力を組み合わせて危険な足場やトラップを乗り越えていくのが基本となるが、丁寧に探索を続けることで、思わぬルートを発見したり、隠された能力やアイテムに出会えたりする。メトロイドヴァニアらしい"気づき"と"発見"が程よいサイクルで続いていくのが心地よい。

▲いつでも表示/非表示可能なミニマップ。探索では非常に助かる機能だが、意外とメトロイドヴァニアでは少数派。この流れが広がってほしい

エリアの奥で待ち受けるボスも手強く、周囲のギミックや動きの特徴を見極めて挑む必要がある。アスレチック寄りの構成とはいえ、バトルが薄まりすぎるわけではなく、しっかりとした緊張感と達成感が味わえるだろう。

難易度についても補足しておきたい。メトロイドヴァニアは"硬派で高難易度"というイメージを持たれがちだが、本作ではアクセシビリティ設定が充実しており、敵やトラップから受けるダメージを半減、あるいは無効化することも可能だ。ストーリーを追いたいがアクションは苦手、という方にも手に取りやすい作品になっている。

そして、各地を探索する中で、現実のコンスタンスの辛く、苦しい日々が垣間見える瞬間がある。物語の軸として"自分自身と向き合うこと"が据えられているが、それでも彼女は本当に現実へ戻るべきなのだろうか。異世界で見せるどこか柔らかい表情を見ていると、ふとそんなことを思いやってしまう。

――その答えは、まだ物語の途中にある。次なるエリアへ踏み出す旅の先で、コンスタンスがどんな答えを見つけるのか。静かで力強いこの物語に、ぜひ触れてみてほしい。

Constance』は、PC(Steam)にて、2025年11月25日より配信中だ。


基本情報 Constance
開発 Blue Backpack
販売 Blue Backpack, ByteRockers' Games, PARCO GAMES
配信日 2025年11月25日
言語 日本語有り
価格 2,300円(Steam

ライター:朝比奈 編集:LayerQ

この記事で紹介されているゲーム

Hollow Knight

アクション

アドベンチャー

インディー

日本語対応
¥1,700

Constance

インディー

アドベンチャー

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Constance

《Constance》は、手描きアートで制作されたアクションアドベンチャー。絵筆をあやつる主人公は、自らの病んだ心が生み出した、カラフルながらも退廃的な精神世界から逃れ出るべく奔走する。

絵の具に変身

絵の具をモチーフとしたシステムをうまく使い、絵描き筆躍る連続アクションに挑め。地面や壁に潜り込み、空中を飛び交い敵を撃破!

絵筆をあやつれ

絵筆を使ったワザをアンロックして強くなる。行く手を阻む敵、きわどい通り道、歯応えある謎解きも、覚えたワザで突破だ。

自分探しの旅

《Constance》の世界は、自由度が高く各要素につながりがある。数多くの秘密、アビリティ、アップグレード、キャラクター、サイドクエスト、そして心を揺さぶるストーリーが待ち受けているぞ。

描きすぎにご用心

絵筆ワザを使うと絵の具がニゴっていく。完全にニゴってしまうと不利な状態になってしまうため注意が必要だ!

ヒラメキを探して

道中で見つけたヒラメキを使用して手帳にスケッチ。スケッチはコンスタンスの能力を強化・カスタマイズできる。素材を集めれば、スケッチにアップグレードしてさらに強力な作品に仕上げることができる。

やられても選べる復活

やられてしまっても、旅の続きはアナタしだい。犠牲を払って挑戦を続けてもいいし、一度戻ってまだ行ってない別の道へ行ってもだいじょうぶ。

創造性ゆたかな世界観

本作の精神世界は、コンスタンスの精神の旅と深く結びついている。色彩豊かなゾーンの数々やゾーン内の特色ある敵やキャラクターたちは、それぞれコンスタンスの精神世界と経験してきた過去のいろいろな側面の表れだ。

インタラクティブな背景物語

コンスタンスが抱いている苦悩、創造性、ワークライフバランス、自らを見い出す目的意識。これらのフラッシュバックを追体験し、コンスタンスの過去を照らし出そう!