2026年2月8日に、東京都・浜松町の東京都立産業貿易センター浜松町館にて開催された「東京ゲームダンジョン11」の出展タイトルから、筆者が注目する魅力的なタイトルをピックアップして紹介しよう。
なお、基本的には今後リリース予定の開発中のタイトルや、ローンチから間もないタイトル、早期アクセス中のタイトルを対象としている。


80年代の魂を現代に呼び覚ます、人類の命運を懸けた戦い
『Zenvader』は、80年代のアーケードシーンを彷彿とさせるスーパーレトロなグラフィックに、現代的なローグライト要素をミックスした全方位弾幕シューティングゲームだ。日本の個人ゲーム開発スタジオ"RyiSnow"こと、伊東龍氏が手掛ける。
プレイヤーは人類最後の希望を託された「バトルユニット」の操縦者となり、襲い来るエイリアンの軍勢、そしてその頂点に君臨する王の撃退を目指していく。会場ブースではメインとなるキャンペーンモードが試遊可能となっており、ウェーブを突破しながらの自機強化や、その先に待ち受けるボス戦など一連の流れを体験することができた。


名作へのリスペクトと本作ならではの進化
本稿をご覧になっている読者のみなさんは『スペースインベーダー』をご存じだろうか。かつて喫茶店やゲームセンターの片隅に置かれた、あの重厚なテーブル型筐体。モノクロの画面の中で、整列して迫りくるエイリアンを左右移動の砲台で迎え撃つ――。1970年代末、日本中に衝撃を与えたあのストイックな光景は、ビデオゲームの原点のひとつだ。
『Zenvader』は、そのアーケード黄金時代の佇まいにインスパイアされた現代的なエッセンスを注ぎ込み、まったく新しい戦闘体験へと昇華させた作品となっている。

物語の舞台は20XX年。突如現れたエイリアンの大軍勢を前に、地球は滅亡の危機に瀕していた。しかし、撃墜されたエイリアンの構成物から兵器を造り出す技術が生み出されたことで、反撃の火蓋が切って落とされる。プレイヤーは、その技術の結晶であるバトルユニット第一号「FIGHTER」の操縦士に選ばれ、人類滅亡の危機を回避するために過酷な戦場へと身を投じることになる。
主なゲーム内容は、戦場を進軍してくるエイリアンの弾幕をかわしつつ、敵を撃破していくというものだ。戦場全体を一画面の中で見渡せるスタイルが特徴で、編隊を組んだエイリアンは最初から見えているものがすべて。その数は55体がスタンダードで(ウェーブによっては異なる)、左右に動きながら自陣へとじわじわと進軍してくる。これらが陣地に到達する前に、いかに効率よく殲滅できるかがクリアの鍵を握る。

基本的には、自機ユニットは単発のショットと左右移動のみを駆使してエイリアンを相手にしていく。自動砲台を備えた遮蔽物(ウォール)を盾として活用しながら、数が減るごとに速度を増していくエイリアンへ的確に弾を当てなければならない。
自機の弾速と敵の移動速度を見極め、標的の少し先を狙って撃つ「偏差射撃」は攻略に不可欠なテクニックだ。しかし、狙いを定めることに集中しすぎれば、自らが被弾するリスクも高まる。そこには、シンプルだからこそ一瞬の判断が命取りになる奥深さが宿っている。
――と、ここまでは『スペースインベーダー』を忠実に踏襲した要素だ。しかし、本作が単なる焼き直しに留まらないのは、そこにモダンなゲームシステムを巧みに融合させているからに他ならない。


本作を特徴づける独自の要素が、4種類のバトルユニットと強化システムだ。プレイヤーは性能の異なる4タイプから自機を選択し、戦闘中に特定のエイリアンがドロップする「オーブ」を拾って戦いながら性能を引き上げていく。
それだけではなく、拠点「スペースハンガー」では、戦いの中で獲得した「エイリアンマテリア」と引き換えにユニットの基本能力を強化したり、特殊なウェポンを獲得したりすることで有利な条件での再挑戦を可能とするローグライトな仕組みをも兼ね備えている。強化が進んだその姿は、あなたの知る『スペースインベーダー』とはまったく異なるものとなるだろう。
キャンペーンモードを完了した後は、各ユニットでのクリアタイムを競うのも良いし、エンドレスモードで己の限界に挑戦するのも良い。これこそが往年の名作にモダンさをミックスした本作の醍醐味だ。
開発者インタビュー:翻訳者が描くレトロシューティングの深淵
すでにお気づきの読者もいらっしゃると思うが、本作の開発を手掛ける伊東龍氏は、英日ゲーム翻訳者として数々の作品を担当されている。
そのごく一部を紹介すると『Salt and Sanctuary』『Dead Cells』『The Cosmic Wheel Sisterhood』『Hollow Knight: Silksong』といった名作インディータイトルから、『Days Gone』『Horizon Forbidden West』『Wizardry: Proving Grounds of the Mad Overlord』など多岐に及ぶ。
さまざまな作品の「言葉」を紡いできた伊東氏が、なぜ今、自身の手でゲームを、それも極めてレトロなシューティングを開発するに至ったのか。その背景と今後の展望について会場でお話を伺った。

習作が「作品」へと変わった瞬間
実は本作、当初からリリースを目的として開発されたものではなかったという。プログラミングを趣味としていた伊東氏が、数年前から制作を続けているダンジョン探索RPGプロジェクトの合間に、習作として「シューティングの基本を」とインスパイアされたのが『スペースインベーダー』だった。
「とりあえずインベーダーっぽいものを作ってみよう」という好奇心から始まった開発は、パワーアップ要素や強化システムの追加を経て、知人の翻訳者仲間である柴田泰正氏から「これ、すごい面白いですよ」と称賛を受けたことで、本格的なリリースへと舵を切ることになった。長年取り組んでいる本命のプロジェクトを差し置いて、先に「成行き」で完成してしまったのが、この『Zenvader』なのだという。

制作体制の再編とブラッシュアップの契機
伊東氏が本作のアップデートに注力している背景には、本命であるダンジョン探索RPGプロジェクトの進行状況も影響している。一時は制作が進んでいたものの、諸般の事情により制作体制を再編することとなり、その仕切り直しの期間を本作のブラッシュアップに充てることができた。
こうした背景もあり、現在は本作の完成度を高めることに力が注がれている。

日本のプレイヤーが支える熱量と、その先の展望
本作のプレイヤー層についても興味深いデータがある。海外での需要を予想していた伊東氏の期待に反し、実際には全プレイヤーの約7割以上が日本国内からのアクセスだという。日本におけるレトロシューティングへの根強い支持が本作を支えていることが垣間見えるが、今後は、アジア圏へのローカライズにも注力していくとのこと。
また、エンドレスモードの難易度再構築も進めていく予定だ。現在の仕様では、熟練プレイヤーであればウェーブ100付近まで際限なく続けられてしまい、その分だけ長丁場になってしまい1時間半~2時間近くを要する「耐久レース」のような状態に陥っているという。

こうした「終わりの見えない長期戦」という課題を解消するため、今後はウェーブ50程度を目標値に据え、キャンペーンモードを極めたプレイヤーが挑む高難易度モードとしての再構築を目指している。これらが一段落した後に、ダンジョン探索RPGの開発を本格的に再開するという。
そちらの進捗も楽しみにしつつ、翻訳者としてだけではなく、ゲーム開発者としての伊東氏にも注目していきたい。『Zenvader』は、PC(Steam)にて配信中だ。
| 基本情報 | Zenvader |
|---|---|
| 開発 | RyiSnow |
| 販売 | RyiSnow |
| 配信日 | 2025年7月24日 |
| 言語 | 日本語有り |
| 価格 | 300円(Steam) |
ライター:朝比奈 編集:LayerQ






















