2026年3月20日~21日に、東京都・高円寺の未来をつくる杉並サイエンスラボ IMAGINUSにて開催された「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT 2026(以下、TIGS2026)」の出展タイトルから、筆者が注目する魅力的なタイトルをピックアップして紹介しよう。
なお、基本的には今後リリース予定の開発中のタイトルや、ローンチから間もないタイトル、早期アクセス中のタイトルを対象としている。


タイタンの背を目指す旅。Sand Vehicleが描く共生の物語
『TITANCLIMB』は、巨大生物「Titan(以下、タイタン)」とヒューマノイドが共生する惑星を舞台に、傷ついたタイタンを救うためその巨体を登る、探索とサバイバル要素を融合したアドベンチャーゲームだ。個人ゲーム開発スタジオ"Sand Vehicle(サンドヴィークル)"が手掛ける。
プレイヤーは寄生体に侵され機能不全に陥ったタイタンを癒やすため、特別な道具を手にその背へと挑む。不思議な生態系や過酷な天候を乗り越え、タイタンを蝕む寄生体を破壊しながら、生命と絆を巡る壮大な物語の秘密を解き明かしていく。


巨体へと挑む登頂体験。リソース管理とルート選びの魅力
本作の目的は、この世界に点在する巨大生物「タイタン」を救うことだ。広大なフィールドを探索し、そのあまりにも巨大な生命体の体へと取り付き、登頂に挑む没入感のある体験が得られるというコンセプトが本作の魅力だ。
遠目には「巨人」として映るタイタンだが、近づくにつれてその見え方は変わっていく。いざ間近に迫れば、眼前に広がるのは山や崖といった自然物そのものだ。遠景で捉えていた光景と、実際に直面した際の圧倒的なスケール感の違いも、本作の魅力のひとつといえる。

舞台となるのはタイタンの体の上で、そこには不思議な生態系が息づいている。現実には見ることのできない自然を楽しめる一方で、道中には険しいルートや天候の変化、そして行く手を阻む原生生物などのハードルが用意されている。
また、主人公には空腹とスタミナの概念があり、時間経過や行動によってこれらは刻々と減少していく。一定値を下回ると足取りが重くなるため、プレイヤーは食料を摂り、休息を挟みながらマイペースに歩みを進めていくことになる。
その歩みのなかでも、タイタンの体へと取り付くクライミング中は、スタミナゲージの管理が特に重要となる。一気に登りきるか、あるいは途中の岩棚で息を整えるか。ルート選びの判断が重要となる。以前の体験版では目的地までの指標が見て取れたが、現在はよりフリースタイルに、プレイヤー自身でルートを考えながら挑む形が想定されているようだ。

今回の試遊では確認できなかったものの、以前に別のイベントで体験版をプレイした際は、座って食事や休息をとる際、周囲の雄大な景色をゆったりと見渡すカメラ演出を確認することができた。『Sable』からインスパイアされたというパステルカラーのアートワークは、遠くの風景までを淡く鮮やかに描き出しており、ひと休みして周囲を眺めるという実際の登山にも通ずる情緒をプレイヤーに与えてくれる。
先述のとおり、タイタンは謎の寄生体に侵されており、それを特別な道具で除去し、癒やすことが最終的な目標となる。今回の試遊では「足から煙を出して動けなくなっているタイタン」を救う流れが示されたが、試遊時間の制限により寄生体の破壊というプロセス自体は確認できなかった。しかし、回復が進むにつれてタイタンの活動が活発になり、プレイヤーとの絆が深まっていくという生命同士の交流こそが、本作を象徴する特徴といえるだろう。
プロトタイプ版からの作り直し。開発者が語る仕様と展望
今回の展示では、2023年の「デジゲー博」で試遊したプロトタイプ版から、ほぼすべてを作り直すという大きな決断が下されていた。開発を手掛けた"Sand Vehicle(サンドヴィークル)"にお話を伺ったところ、以前のビジュアルやシステムをアップデートする必要に迫られたため、刷新を図ったという。
以前の出展時はアイデアを形にした段階だったが、現在はコンセプトがおおよそ固まり、完成に向けた明確な仕様が定まっているようだ。作り直しには多大な時間を要したものの、シェーダーのアップデートなどを経て表現力は大幅に向上しており、結果的には非常にポジティブな影響をもたらしたという。

本作の特徴のひとつであるサバイバル要素についても、詳細な仕様が明かされた。体力、飲み水、食料、薬といった各ゲージは、単に独立しているのではなく互いに連動している。例えば、飲み水のゲージ上限は現在の食料値によって制限を受ける仕組みだ。
最終的にはこれらすべての数値が、登頂に不可欠なスタミナの上限に影響を与えるという。リソースをどのように管理し、キープしながら登るかという戦略性が、本作の魅力を支えている。また、目的地ではタイタンの機能を回復させるために、パズル的なギミックを解いてロックを解除していくといった遊びも想定されている。

ストーリー面では、タイタンを蝕む原因を排除し、癒やしていく過程が主軸となるが、今後はサブキャラクターの登場やドラマ性の導入も予定されている。また、タイタンを単なる移動オブジェクトではなく、コミュニティが存在する「土地」として描く構想もあり、タイタンごとに異なる文化や住人の物語、さらには別のタイタンへと移り住む人々の描写なども追加される予定だ。
現在は作り直しを経て全体の20%ほどの進捗であり、完成までは最長で2年ほどを見込んでいるという。『Cairn』をはじめ、登山やクライミングをテーマにしたインディーゲームの成功例が増え、プレイヤーがこのジャンルを受け入れやすい土壌が整いつつあることも、開発を後押しする要素となっているようだ。生命と絆を巡るタイタンの物語がどのような完成を迎えるのか、今後の進捗に期待したい。
『TITANCLIMB』は、PC(Steam)でのリリースに向けて鋭意開発中だ。
| 基本情報 | TITANCLIMB |
|---|---|
| 開発 | Sand Vehicle |
| 販売 | Sand Vehicle |
| 配信日 | 未定 |
| 言語 | 日本語有り |
| 価格 | 未定(Steam) |
ライター:朝比奈 編集:LayerQ









