ボールペンで描かれた暗闇の世界。少女と謎の生物が旅する2Dダークファンタジー『HINO』ブースレポート【BitSummit PUNCH】

ばんじーよこすか

2026年6月9日

2026年5月22日~24日に、京都府・京都市勧業館 みやこめっせにて開催された「BitSummit PUNCH(以下、BitSummit)」の出展タイトルから、筆者が注目する魅力的なタイトルをピックアップして紹介しよう。

なお、基本的には今後リリース予定の開発中のタイトルや、ローンチから間もないタイトル、早期アクセス中のタイトルを対象としている。

BitSummit | 毎年京都で開催している日本最大級のインディーゲームの祭典 です / Japan’s Industry-Leading Independent Game Development Festival in Kyoto
毎年京都で開催している日本最大級のインディーゲームの祭典 です / Japan’s Industry-Leading Independent Game Development Festival in Kyoto

暗闇の世界を豆電球で切り開こう

HINO』は、少女が謎の相棒と一緒に暗闇の世界を旅する2Dダークファンタジーゲームだ。開発は、UnGloomStudioが手掛け、パブリッシングを東映ゲームズが務める。

舞台は、ボールペンで手書きされたグラフィックが印象的な暗闇の世界。赤いリボンが印象的な少女ヒノを操作し、謎の相棒とともに道を切り開き、その世界で何が起こったのかを明らかにするのが本作の目的である。

Steam:HINO
赤いリボンの「ヒノ」と白い「もにもにスケルトン」が暗闇世界を旅する2Dダークファンタジー

物語は、主人公ヒノが暗闇の中、ボロボロの建物で目を覚ますシーンで始まった。近くにあった豆電球付きの杖を手に取り、周りを照らしながら先に進む。

道中で発見した「保育士の日記」には、1か月以上の外出禁止令が出ていたことや、園児たちが次々と姿を消し、やがて建物が妙な植物に覆われたことなどが綴られていた。ここはかつて、子どもたちが集まる保育所のような場所だったようだ。

▲豆電球の付いた杖
▲過去に何があったのだろう

さらに進むと手斧を発見した。行く手をふさぐ障害物を手斧で破壊したが、その先で奇妙な怪物に遭遇。怪物は長細い木の枝を腕のように伸ばし、こちらに襲いかかってきた。手斧で応戦しようとしたものの、手に入れたはずの手斧がない。どうやら武器は1回使うと消えてしまうようだ! 必死で逆方向に向かって走って逃げる。何度も怪物につかまりながら、なんとかやり過ごすことができた。

その先には、謎の生物・もにもにスケルトン(通称:もにスケ)がいた。もにスケは、お腹に骨のようなものが見える正体不明の白い生物だ。理由は定かではないが、もにスケは暗闇の世界をヒノとともに探索していく相棒となった。そして、暗闇の世界における貴重な食料らしい「カフェオレ缶」を手に入れて、さらに進む。

▲怪物から逃げよう!
▲ヒノと相棒・もにスケ。近くにはカフェオレ缶の自販機も

もにスケと一緒に先に進むと、黒ずくめの帽子の男に出会った。その男いわく、機械基地を越えると、かつてショッピングモールがあった場所があり、そこに行けばカフェオレ缶を開ける缶切りを手に入れられるとのこと。その流れで、電力装置が使えるか確認してきてほしいと頼まれた。怪物がいる暗闇の世界で、幼い少女を守る素振りを一切見せず、さらにはお使いまで頼んでくるこの男はいったい何者なのか…。疑問は残るが、ひとまず言われたとおりに機械基地へと向かう。

終盤では、頭から触覚が5本ほど伸び、細長い4本の腕を振りかざす巨大な怪物が現れた。攻撃をタイミング良くかわしながら、落ちてくる武器で胴体から伸びる3本の管のようなものを破壊していく。筆者は何度も倒されてしまったが、すぐにリトライできる仕様になっていたこともあり、諦めず挑戦することができた。

▲謎の帽子男
▲リーチが長いボス

原作の世界観をゲームならではの体験へ

試遊後、本作を手掛けたUnGloomStudioのディレクターのAury氏、プログラマーのMenchi氏、デザイナーのやたら氏にお話を伺った。開発チームは6人構成で、インタビューした3人のほかにエフェクトデザイナーの稲人氏、ミュージックデザイナーの庄子智一氏、サウンドデザイナーのくわぽん氏が参加している。

本作は、やたら氏の原作をもとにAury氏とやたら氏が共同でシナリオを制作した。原作そのものは公開されていないが、やたら氏のXではイラストやマンガが公開されている。ゲームではマンガと登場人物の一部が共通する世界観が展開され、ゲームでしか味わえないオリジナルストーリーとして組み立てられている。

ゲームプレイ面では、『Little Nightmares』をリスペクトしつつも、拾ったアイテムを駆使して道を切り開く点や、ボス戦などの難しいポイントを作る点で、カジュアルすぎないゲームバランスを目指しているという。今回の試遊版では、武器を手に入れても安心できない緊張感が印象的であった。

ビジュアル面で特に印象的だったのは、ヒノの赤いリボンと赤いケープだ。本作に登場する怪物は、長く伸びる枝のような手足、奇妙な触覚など、シルエットだけでも強烈な存在感を放っている。

黒を基調とした手書きの世界で、ヒノの赤色は異形の怪物に埋もれない力を持つ。怪物たちは造形や動きの不気味さでプレイヤーを引きつけつつ、ヒノの赤色がプレイヤーの視線を引き戻す目印として機能している。恐怖の対象である怪物と、守るべき存在である少女ヒノ。その対比を色と造形の両面から成立させている点も、本作の大きな魅力の1つだと感じた。

一方で、筆者が最初に遭遇した怪物は、ヒノと同じ赤いケープのようなものを身に着けているようにも見える。今回試遊した範囲ではその意味まで明かされなかったが、主人公を象徴する赤色が怪物にも使われていることに若干の不穏な引っかかりを覚えた。

▲よく見ると、リボンのようなものも確認できる

筆者は以前、本作のディレクターであるAury氏が開発中の『RaidKids』を試遊させていただいた。『RaidKids』では、暗闇に包まれたディストピアを舞台に、素材を集めて道具を作り、謎を解きながら先へ進んでいく体験が印象的だった。一方、今回試遊した『HINO』では、豆電球付きの杖や手斧、カフェオレ缶など、その場で手に入るものを頼りに、暗闇の世界を少しずつ切り開いていく。

どちらの作品にも共通しているのは、プレイヤーが強大な力を得て敵をねじ伏せるのではなく、限られた手段を使って不気味な世界を進んでいく点だ。かわいらしいキャラクター造形を入口にしながら、その背後にある不穏な物語や異形の存在へとプレイヤーを引き込む点には、Aury氏が関わる作品に通じる作家性が感じられた。

HINO』は2026年内発売を目指して鋭意開発中。プレイ時間の目安は約3時間で、エンディングの数は「内緒」とのこと。気になる方は、今すぐウィッシュリストに登録しておこう。ダークファンタジーが好きな方や、歯ごたえのある2Dアクションゲームが好きな方は、ぜひ注目してほしい。


基本情報 HINO
開発 UnGloomStudio
販売 TOEI GAMES
配信日 2026年内
言語 日本語有り
価格 未定(Steam

ライター:ばんじーよこすか 編集:レイリー

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