傷付いた世界で描かれる光と闇の物語。名作アクションRPGへのリスペクト息づくアクションアドベンチャー『Last Moon』ブースレポート&メールインタビュー【BitSummit PUNCH】

しわしわ

2026年6月8日

2026年5月22日から24日の3日間にわたり、京都府・京都市勧業館 みやこめっせにて「BitSummit PUNCH(以下、BitSummit)」が開催された。本稿では、その出展タイトルから、筆者が注目する魅力的なタイトルをピックアップして紹介しよう。

なお、基本的には今後リリース予定の開発中のタイトルや、ローンチから間もないタイトル、早期アクセス中のタイトルを対象としている。

BitSummit | 毎年京都で開催している日本最大級のインディーゲームの祭典 です / Japan’s Industry-Leading Independent Game Development Festival in Kyoto
毎年京都で開催している日本最大級のインディーゲームの祭典 です / Japan’s Industry-Leading Independent Game Development Festival in Kyoto

本稿でご紹介するのは、90年代名作アクションRPGへのリスペクトが込められた、正統派ファンタジーのアクションアドベンチャー『Last Moon』だ。滑らかなアクションと探索しがいのある広大なマップ、随所に仕掛けられたマップギミックなどが特徴。開発をSköll Studio、パブリッシングはSköll Studio, Justdan International Co., Ltd.が共同で手掛けている。

会場でも試遊させていただいたが、筆者は以前より本作に注目しており、PC(Steam)にて公開中の体験版をプレイしたこともある。本稿ではそれらで感じた本作の特徴・魅力をお伝えするとともに、BitSummit後に実施した開発者メールインタビューの内容もご紹介しよう。

Steam:Last Moon
終末の月(Last Moon)は、90年代の名作アクションRPGの空気感を受け継ぐ、懐かしくも新しい冒険譚。 広大で美しくも荒廃した世界を旅し、穢れに染まった魔物たちに立ち向かいながら、自らの力を高めて平和を取り戻せ。 崩壊しつつある月―― あなたの手で、この世界に再び調和をもたらせるだろうか?

高揚感と懐かしさを呼び起こす冒険の幕開け

まず圧倒されたのは、ゲーム開始後のオープニングムービーだ。赤いクリスタルの中で眠っていた少年が目を覚まし、それを中から砕いて飛び出してくる。少年の前には一本の道が続いていて、プレイヤーはさっそく彼を操作して北へと向かってみる。すると左右にぽつりぽつりと浮かぶようにクレジットが流れだし、写実的なグラフィックでなくとも、“映画をプレイしている”ような高揚感がじわじわと湧き上がってくる。しばらく進むと崖に辿り着いて視界が開け、そこから見えたものは、割れた赤い月とヒビの入った大樹、黒ずんだ世界だ

思わず息を呑んでしまうほど、世界観にグッと引きこまれた。幼い日、初めて起動したタイトルのオープニングムービーが流れ出す前の、小さなブラウン管の黒い画面を見つめて正座してしまうような、あの期待感さえ思い出された。懐かしさを感じさせる素朴な雰囲気の2Dグラフィックながら、だからこそ洗練された美学がびしびしと伝わってくる。

本作の主人公はルナナイトと呼ばれる小さな少年だ。プレイヤーは彼を操作して穢れに染まった魔物と戦い、世界の平和を取り戻すため奮闘する。アクションの操作内容は非常にシンプルで、基本は攻撃とローリング・ガードを使い分けるだけ。スタミナは存在せず、すべてのアクションを自由におこなえるのがストレスフリーだ。モーションも滑らかで心地よい。

戦闘難易度は決して低いわけではない。敵は一度に複数現れ、遠距離から攻撃してくる個体もいるので、きちんと状況を見て適切に回避・ガードすることが大事になってくる。しかし、プレイヤーのスキルに完全に依存するデザインではなく、戦闘の過程で武器の習熟度が上がったり、スキルツリーやレリックも存在したりするなど、アドベンチャーらしい腕前での勝負とカスタマイズできるキャラクターの強化がうまく両立されているバランスだ。

また、試遊版の範囲でもマップにはボリュームがあり、メトロイドヴァニア風の楽しさにも期待が持てそうだと感じた。リトライ地点となる焚き火はマップ上にぽつぽつと設置されており、ゲームオーバー後、「次はまだ行っていないほうを探索してみよう」といった動きがしぜんと起きるようになっている。その先で新たなアイテムを見つけたり、武器の習熟度が上がったりと、探索と強化が並行するお馴染みの感覚も味わうことができた。

マップ上には岩を押して道を開けるパズルや、噴射される炎をダッシュで掻い潜る“アスレチック”など、知恵とスキルを試すさまざまな仕掛けが設置されていた。木の剣と盾を携えて戦い、大きな岩を押し運ぶ姿にも、どこか懐かしさが呼び起こされる。名作へのリスペクトを感じさせつつ、現代らしい快適さとカスタマイズ性、そして独自のアートで作りこんだ世界観は、本作ならではの個性と魅力をしっかりと築きあげていた。

滅びゆく世界の光と闇を描く冒険――開発者メールインタビュー

ここからは開発者のVincent Metallo(ヴィンセント・メタロ)氏にお聞きしたインタビューの内容をお伝えしていこう。なんと本作はVincent氏によりほとんどソロで開発されていて、音楽とオーディオ面に関して作曲家・サウンドデザイナーの方と協力している以外、すべてを個人で手掛けているという。

――本作を制作することになったきっかけについてお聞きしたいです。

Vincent:私は昔からクラシックなアドベンチャーゲームやアクションRPG、特に「探索」「戦闘」「謎解き」が強く結びついている作品が大好きでした。古いゲームをプレイしていた頃に感じていたあの冒険の感覚を、より現代的な操作のなめらかさ、レスポンスの良さ、そして雰囲気とともに蘇らせるようなゲームを作りたいと考えたのです。

『Last Moon』の最初のひらめきは、「砕け散った月の下、滅びゆく世界を旅する小さな英雄」という、一つのビジュアルイメージでした。そのアイデアを中心に、光を失いつつある世界、探索を待つ古代の場所、奇妙な生き物たち、そして壊れてしまった何かを修復するための旅といったように、ゆっくりと世界観が広がっていきました。

また、手作り感のあるゲームにしたいとも考えていました。すべてのモンスター、アニメーション、エリア、そして細かなディテールにいたるまで、多大な愛情を込めて作っています。それこそが、何年にもわたる開発期間を経てもなお、私がモチベーションを維持し続けられている理由なのだと思います。

――アクションがなめらかでとても操作感が良い印象でした。アクション面でこだわった点や、苦労されたところはありますか?

Vincent:ありがとうございます、そう言っていただけると本当に励みになります! 「操作している感覚・コントロール感」は、私にとってこのゲームの最も重要な要素の一つです。

私が最も重視しているのは、戦闘の「レスポンスの良さ・手応え」と「視認性の高さ」です。プレイヤーがダメージを受けたり、回避したり、防御や攻撃をしたりする際、それはゲーム側が不明瞭で不公平だからではなく、「自分自身のタイミングと位置取りによるものだと納得できるようにしたいと考えています。

最大の挑戦の一つは、「親しみやすさ」と「奥深さ」のバランスを取ることです。操作方法を複雑にしすぎたくはありませんが、プレイヤーには興味深い選択肢(異なる武器、ルーン、スキル、パリィ、回避、そして戦闘へのアプローチを変えるアビリティなど)を提供したいと思っています。

また、アニメーション、ヒットフィードバック、画面の揺れ、エフェクト、タイミングの調整にも多くの時間を費やしています。ちょっとしたディテールが、攻撃を決めた時の気持ちよさを完全に変えてしまうからです。これらは目に見えない多くの作業ですが、すべてがカチッと噛み合ったとき、ゲーム体験に非常に大きな違いを生み出してくれます。

――昔ながらのファンタジーな世界観とキャラクターが魅力的で、特にオープニングで非常にわくわくしました。世界観やストーリーについて、特に力を入れたところはどこでしょうか?

Vincent:世界観の構築においては、プレイヤーがこの地に足を踏み入れる前から、その世界が「太古から存在し、謎に満ち、すでに傷ついている」と感じられるようにすることに、多くの力を注ぎました。『Last Moon』の物語は、かつて月が守護的な役割を果たしていた世界「Eterna(エテルナ)」を舞台にしています。しかし、世界からあまりにも多くの闇、恐怖、そして穢れ(堕落)を吸収した結果、月は砕け散ってしまいました。プレイヤーは、この出来事によって深く変貌してしまった世界で目を覚ますことになります。

私は、物語の背景をあまり直接的に説明しすぎたくはありません。プレイヤーが周囲の環境、古代の石碑、遺跡、キャラクター、些細なディテールを通じて自ら伝承を発見していくスタイルを好んでいます。ゲームが始まる前から、この世界には長い歴史があったのだと感じてもらうことがゴールです。

また、「光と闇のコントラストにも細心の注意を払いました。視覚的な面だけでなく、テーマ、物語の面でも同様です。『Last Moon』が描いているのは、衰退記憶希望に加えて、「滅びゆく世界であっても、何かを再び燃え上がらせることができる」というメッセージです。

――戦闘の難易度は決して低くはないと感じましたが、そういった部分も含めて、本作でユーザーに楽しんでほしい・期待してほしいところをお聞きしたいです。

Vincent:プレイヤーの皆様には、何よりも「冒険の感覚」を楽しんでいただきたいと思っています。『Last Moon』は、ただ敵と戦うだけのゲームではありません。世界を探索し、秘密を見つけ、新しい道を切り開いていきます。そして、キャラクターを強化し、新しい能力を発見しながら、エテルナの地に何が起こったのかを少しずつ理解していくゲームです。

さまざまな地域やボス、武器、ルーン、パズル、移動用のアビリティの多様性に期待していただきたいです。本作は『ゼルダの伝説』シリーズやメトロイドヴァニアの精神を取り入れて設計されているため、新しいアビリティを手に入れることで新たな道が開かれ、世界を探索する方法が変わっていきます。

難易度に関しては、プレイヤーの興味を惹きつけ続けるためのものであり、理不尽に難しくしているわけではありません。挑戦しがいがあり、納得感があり、かつ公平な難易度を目指しています。プレイヤーが困難な戦闘を乗り越えたとき、あるいはついに隠された道を発見したとき、確かな「達成感」を感じてほしいのです。何よりも、プレイヤーの皆様が『Last Moon』の世界、その雰囲気、謎、そして憂いを帯びた美しさに深く没入していただけることを願っています。

――ありがとうございました。

物悲しくも美しい世界をどのように旅し、なにを見つけ、どう感じていくのか。そんな奥深い“冒険”の予感に、あらためて本作への期待が高められる。

本作は2026年の完成を目指し制作中で、PC(Steam)のほかコンソール版も配信予定とのこと。現在Steamでは体験版が配信されているので、気になった方はぜひともチェックしてみてほしい。


基本情報 Last Moon
開発 Sköll Studio
販売 Sköll Studio, Justdan International Co., Ltd.
配信日 未定
言語 日本語有り
価格 未定(Steam

ライター:しわしわ 編集:LayerQ

関連ゲーム

Last Moon

アクション

アドベンチャー

インディー

RPG

日本語対応