実写映像とパズルが境界なく融合する世界。兄弟が手掛けるフルモーションビデオのホラーパズルゲーム『The Void Between』ブースレポート【BitSummit PUNCH】

ばんじーよこすか

2026年6月22日

2026年5月22日~24日に、京都府・京都市勧業館 みやこめっせにて開催された「BitSummit PUNCH(以下、BitSummit)」の出展タイトルから、筆者が注目する魅力的なタイトルをピックアップして紹介しよう。

なお、基本的には今後リリース予定の開発中のタイトルや、ローンチから間もないタイトル、早期アクセス中のタイトルを対象としている。

BitSummit | 毎年京都で開催している日本最大級のインディーゲームの祭典 です / Japan’s Industry-Leading Independent Game Development Festival in Kyoto
毎年京都で開催している日本最大級のインディーゲームの祭典 です / Japan’s Industry-Leading Independent Game Development Festival in Kyoto

現実と夢の境界が曖昧になる、不思議なホテルからの脱出

The Void Between』は、実写映像とパズルが組み合わされた超自然的な世界で、ある男が悪夢からの脱出を試みるフルモーションビデオのサイコロジカルホラーパズルゲームだ。開発は、イギリスのKey Compassが手掛ける。

本作の主人公は、毎日同じ不思議な夢を見ていた。そこで休暇を取り、自分自身を取り戻すための旅で訪れたのは、パズルや謎の仕掛けが散りばめられた不気味なホテルだった。そんなホテルから抜け出すのが本作の目的となる。

Steam:The Void Between
When one man’s dream holiday turns into a nightmare, it’s up to you to save him from himself…

本作は、開発者の1人であるBen Fox氏が主人公を演じるフルモーションビデオと、ポイント&クリック形式のパズルゲームプレイを組み合わせたタイトルだ。実写映像で物語が進行し、その合間にプレイヤーが画面内の気になる場所を調べたり、手掛かりをもとにパズルを解いたりしていく。

最初のパズルは、主人公が休暇先に訪れたホテル「シックス・キーズ」の玄関にあったもので、9枚のパネルをクリックして絵を完成させるパズルだ。パズルを完成させ、主人公はホテルの中に入る。

▲毎夜主人公が見る謎の夢
▲パズルを解くと、ホテル「シックス・キーズ」の中に入れるようになった。

ホテルの中は、摩訶不思議なオブジェクトにあふれていた。壁には無数の肖像画が掛けられており、フロントには誰もいない。スタッフルームのほうへ向かって「すみません、誰かいませんか?」と尋ねてみても返事はなかった。そこで、フロントにあるオブジェクトを一つ一つクリックしていく。

▲ホテルのフロント

すると、宿泊客に宛てられた手紙を見つけた。そこには、客人を歓迎するメッセージに加え、「滞在を終える頃には帰りたくないと思ってくださるよう願っています。ここはもうあなたの家なのですから」という、ちょっと不気味な一文が書かれていた。さらに、利用規約に同意する署名欄もある。歓迎の手紙でありながら、契約書のようにも見えるのが奇妙だ。「ここはもうあなたの家」という言葉からは、帰る場所はここ以外にないと言われているような圧迫感もあった。

そんな不気味な手紙を読み終えて元に戻そうとすると、なぜか手をケガし、血が出てしまった。その血が手紙の上にしたたり落ち、次第に文字を描いた。だが、次の瞬間血は跡形もなく消え、傷ついたはずの主人公の手も元通りになっていた。何が現実で何が幻想なのだろうか……。

▲落ちた血が次第に文字のように見えてきて、やがてすべて消えてしまった

その後は、主人公の泊まる部屋に向かうが、扉の前にはまた別のパズルだ。今回は、大きさの違う円形のプレートが重ねられたパズルで、プレートを回して正しい位置を探す。しばらく考えたが、行き詰まってしまった筆者は、画面左上に表示されていた「?」をクリックしてみた。

すると、「あの目のマークは他の場所でも見かけた」というヒントが表示された。そして、もう一度「目のマーク」を見つけるべく周囲を調べ、なんとかパズルを解くと、主人公はほっとした表情を浮かべて部屋の中へと入った。

▲周りのオブジェクトを手掛かりにパズルを解く

部屋の中にあったベッドで横になると、頭に無数の鍵が思い浮かんた次の瞬間、主人公は異次元の空間へと迷い込んでいた。主人公の周りを囲むように、無数の星や石、扉が浮かぶ不思議な空間が広がっている。目の前にいつのまにか出来ていた足場を進むと、大きな鏡が現れ、その中には主人公とまったく同じ姿をした、主人公ではない何者かが映っていた。

鏡の中の男いわく、ここは現実の世界と夢の間で、すべてが見た目通りじゃない場所なのだという。最終的に、目の前に現れた7つの扉のうち1つを開けたところで試遊版は終了した。

▲異次元に迷い込んだ主人公
▲鏡の中の男

試遊を終えてまず感じたのは、実写映像とポイント&クリック式のパズルがほとんど違和感なくつながっていることだった。映像を見ているつもりが、いつの間にか画面内のオブジェクトを調べ、パズルを解く手掛かりを探している。逆に、パズルを解くと、そのまま主人公の演技へとつながっていく。この流れが自然なため、映画を見ている感覚とゲームを操作している感覚が混ざり、気づけばこの作品の世界に没入していた。

また、全体的に「鍵」をテーマにしたアーティスティックな世界観も印象的だった。ホテルの名前、UI、無数に現れる扉など、あらゆる場所に鍵のモチーフが散りばめられており、リアルな実写映像でありながら、どこか現実離れした独特の雰囲気を演出していた。

試遊後、ヘッドホンを外して立ち上がると、主人公を演じていたBen氏が右隣に立っていた。「わあ!」と思わず声を上げてしまった。本作では現実の世界と夢の世界の境界が曖昧になっていくが、この瞬間、筆者にとってはゲームの中と現実の境界まで少し揺らいだように感じられた。

▲この7つの扉はどこにつながるのか

映画制作を手掛ける兄弟が生み出す「ゲームを超える」体験

試遊後、本作を手掛けたKey CompassのBen Fox氏とChris Fox氏にお話を伺った。2人は実の兄弟で、兄のChris氏がプログラミングや撮影、アニメーション制作を、弟のBen氏が出演などを担当している。

2人はこれまで映画制作を行ってきたが、ゲームも好きだったことから、ゲーム開発にも乗り出したという。その経緯は、本作のコンセプトに直結している。実際に試遊してみても、実写映像の中で俳優が自然な演技を見せる映画的な体験と、プレイヤーがパズルを解くゲーム的な体験が、明確な境界線のないまま融合していた。

試遊を終えた筆者が、2人に「これは、beyond the gameだね」と感想を口にすると、2人は「beyond!いいね」と目を輝かせた。映画制作を手掛けてきた兄弟がゲームという形で生み出した本作を表すには、ぴったりの言葉かもしれない。

The Void Between』は2026年内の発売を目指して鋭意開発中。プレイ時間は、2~3時間を想定しているとのこと。現実と夢の境界が曖昧になる世界観が気になる方や、パズルゲームが好きな方は、今すぐSteamのウィッシュリストに登録しておこう。


基本情報 The Void Between
開発 Key Compass
販売 Key Compass
配信日 2026年内
言語 日本語有り
価格 未定(Steam

ライター:ばんじーよこすか 編集:LayerQ

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