2026年6月20日〜21日に、東京都・パルテノン多摩 市民ギャラリーにて「TAMAインディーゲーム展覧会 Dissonance #1 不穏」が開催された。本イベントは、不穏をテーマにしたインディーゲームを集めた展覧会だ。
会場には全15タイトルがプレイアブル展示され、ホラーやサスペンスといったわかりやすい恐怖だけでなく、日常の中に潜む違和感、説明しきれない不安、どこか落ち着かない空気などをまとった作品が並んでいた。
弊誌では以前、本イベントの主催者インタビューを掲載した。イベントの開催経緯や不穏というテーマに込められた意図については、そちらの記事もあわせてチェックしてほしい。
本稿では、出展タイトルの中から筆者が注目した『Re:Re:Re:Respawn』をピックアップし、試遊レポートと開発者インタビューをお届けしよう。



死んだ自分を踏み台にして、謎の建造物「BOX」を脱出せよ
『Re:Re:Re:Respawn』(リリリ・リスポーン)は、死ぬたびにその場に残る自分の死体を足場や遮蔽物として活用しながら、謎の建造物からの脱出を目指す3Dアクションゲームだ。開発は、Studio非が手掛ける。
本作の主人公である「男」がいるのは、危険な仕掛けが張り巡らされた巨大な建造物「BOX」の中だ。仕掛けによって命を落とすと、その場に死体が残る。プレイヤーは残された死体を利用しながら、BOXの奥へと進んでいく。

今回の試遊版で最初に現れたのは、地面に設置された黄色い丸が描かれたマークだ。これはリスポーン地点で、触れると有効化され、以降は死亡時にこの地点から再開するようになり、基本的に仕掛けの前に1つ設置されるものだ。

少し進むと、1つ目の仕掛けが現れた。下のスクリーンショットをご覧いただきたい。黄色く光っているレーザーに当たると主人公は死んでしまう。死んだ身体はその場に残り、主人公は先ほど有効化したリスポーン地点から復活する。
画面中央上に表示されている黒いピクトグラムは、この仕掛けを突破するためのヒントで、ここでは死体によじ登れば進めるということがわかる。実際にこのまま前に進んでレーザーに当たってみると、レーザーをさえぎるように死体が残った。その死体によじ登ると、この壁を越えて先に進むことができた。



次に現れたのは、垂直方向に伸びるレーザーと高い柱だ。これも先ほどと同様に、自分の死体を足場にすれば高いところまで進めそうだ。どのあたりに足場を置くか、つまりどこで死ねばいいかを予測して、レーザーに突っ込んでみる。狙い通りの位置で死んだら、その死体を足場にしてもう一度ジャンプすると、高い柱の上まで来ることができた。どのように死ねばいいのかを考えるなんて、今まで体験したことのなかった感覚だ。


さらに先へ進むと、壁にある手描きのスマイルマークを発見した。近づいてみると、そこには誰かの死体が洗濯物のようにフェンスの上に掛けられていた。高電圧注意の看板があったので、感電死したのかもしれない。
しばらく眺めていると、その死体が消えて「1 UP」という文字が表示され、リスポーンしたときにその場に残る死体の数が1つ増えて計2つとなった。つまり、ここから先は2つの死体を駆使して先に進むことになる。


ここからは、死体の使い道がさらに広がり、足場だけではなく、重しや遮蔽物としても使えるようになる。例えば、地面のボタンの上で命を落とせば、その死体がボタンを押し続けてくれるし、動くレーザーや飛び出す壁の前に死体を残せば、壁やレーザーを止める障害物になってくれる。
一般的なアクションゲームなら、どう避けるか、どう生き残るかを考える場面だ。しかし本作では、どこで、どの向きで、何のために死ぬべきかを考えることになる。まるで死体を使った脳トレのようで、「ふむ、ふむ。なるほど!」と独り言をつぶやきながら先へ進んでいった。

さらに、空中で死んだあとに死体が落下するレーザーも登場した。ここまで来ると、必要なのは足場なのか、重しなのか、遮蔽物なのか、あるいは落下位置まで含めて死体をどう配置するべきなのかと、思考の流れが自然と整理されていく。死体の使い道が増えるたびに、「次は何をさせられるのだろう」と気づけば前のめりになっていた。


いくつか仕掛けを突破した先に、先ほどと同じような手描きのスマイルマークが現れた。そこには燃え盛る乗用車の中で、誰かが死んでいた。現実で目にしたことはないが、ドラマや小説などでは見覚えのあるような死。さっきまで「どこで、どう死ねば先に進めるのか」と前のめりに考えていた自分が、ふと立ち止まらされる。

試遊版を最後まで遊んだあと、隣で解説してくださっていたStudio非の高橋氏をはじめチームの方々に「これはもう、楽しすぎますね!」と興奮気味に伝えてしまった。
まず印象的だったのは、死体を活用する3Dパズルとしての新鮮さだ。一般的なゲームでは、「どう死なないようにするか」を考えながら遊ぶことが多い。しかし、本作で問われるのは、「どう死ねば先に進めるのか」だ。ステージをさまざまな角度から観察し、死体をどこに、どの向きで、どの用途で残すべきかを考える。少し難易度が高めだからこそ、仕掛けを攻略できたときの「そういうことか!」という手応えも大きかった。
難しさの中心は、キャラクター操作というより、死体をどこに残せば仕掛けが成立するのかを読み解く空間の把握と発想にあると感じた。また、冒頭で紹介したリスポーン地点がこまめに用意されているため、リスポーンのテンポもよく、失敗してもすぐにリトライできるようになっている。死ぬこと自体がストレスというより、解法を探すための手順として機能している。
一方で、本作の魅力は死体を使うパズルゲームという枠に留まらない。足場、重し、遮蔽物として扱っていた死体が、1 UPの場面では急に「誰かの死」としてプレイヤーの目の前に現れる。リスポーンはゲームの中では当たり前のように受け入れられている仕組みだが、その前提には必ず死がある。本作は、3Dパズルとしての楽しさの中に、その異様さを巧みに忍ばせている。

手段としての「リスポーン」と目の前に現れる「死」
試遊後、本作を手掛けたStudio非の高橋氏にお話を伺った。Studio非は、共にメディアアーティストである高橋氏と石原氏の2人のチームであり、弊誌でも以前取材させていただいた『幽限会社わらし不動産』をはじめ『親切()な駅』など日常の中に忍び込む違和感や恐怖をテーマにした作品を開発してきた。
今回はパブリッシングにRe³(リリリ)を迎えての初協業となるが、Studio非の作品を追ってきた身としては、Re³との協業によって、本作はStudio非らしい不穏さを保ちながらも、より遊びやすく、届きやすい形になっているように感じた。死体活用パズルゲームとして間口が広く、ピクトグラムによるノンバーバルなヒント設計もその一因だ。その奥には、死を利用して進むおかしさと、死そのものを見せられる不穏さが同居している。
Studio非の作品の特徴として、ゲーム配信を意識した設計が挙げられる。Studio非ではゲーム実況をひとつの映像作品として捉えており、配信者と視聴者のあいだでどのような相互作用が生まれるかも重視して開発を進めているという。
本作でも、その考え方は変わらない。難易度を少し高めに設定しているのは、配信者が「これはどうする?」と悩み、視聴者も一緒に考えられるようにするためだ。また、死体が積み上がっていく光景には、配信画面で見たときにゲームのバグを思わせるような不穏さも狙いとして込められているという。さらに、過去の自分の死体がその場に残ることで、「さっきはあんな死に方をした」と、失敗そのものを面白おかしく振り返れる設計にもなっている。

本作の舞台となるBOXは、装飾を抑えた空間として構成されており、プレイヤーの意識を死体に向けるための意図的な設計とのこと。背景をシンプルにしつつ、無機質になりすぎないよう調整することで、残される死体の存在感が際立つようにしているという。まさに、死体を中心に据えたゲームデザインだ。なお、BOXとは何なのか、主人公は何者なのかといった要素は、ゲームを進めることで明らかになるとのこと。
タイトルに含まれる「Re:Re:Re:」には、音の響きとしての「リリリ」という感覚と、かつてメールの件名に自動で付与されていた「Re:」のイメージが重ねられている。返信が重なるように、本作では死と再生もまた繰り返されていく。『Re:Re:Re:Respawn』というタイトルは、ゲーム全体の構造を軽やかに、しかしどこか不気味に表している。

自分の死体を使って道を切り開く本作では、失敗の痕跡がそのまま攻略の手段になる。笑ってしまうほどゲーム的な仕組みでありながら、その先にふと生々しい死の気配が顔を出す。その落差こそが、本作の不穏さであり、ゲームならではのおかしさと奇妙な納得感が同居する理由なのかもしれない。
『Re:Re:Re:Respawn』は、2026年内にSteamで配信予定。3Dパズルゲームが好きな方はもちろん、リスポーンを普段とは違う角度から体験してみたい方は、今すぐウィッシュリストに登録しておこう。
| 基本情報 | Re:Re:Re:Respawn |
|---|---|
| 開発 | Studio非 |
| 販売 | Re³ |
| 配信日 | 2026年 |
| 言語 | 日本語有り |
| 価格 | 未定(Steam) |
ライター:ばんじーよこすか 編集:LayerQ


