『Penguin Lifter』は、文明圏から遠く離れた極寒の雪原を舞台に、倒れて自力で起き上がれなくなったペンギンたちを起こして回るシミュレーター要素を含んだサバイバルスリラーゲームだ。インディーゲーム開発スタジオの"Peace_Studio"と"DonCorsaire"が手掛ける。
物語の舞台は、南極近くに位置する雪に覆われた孤独な島だ。経済的に厳しい状況の中で「ペンギンリフター」という奇妙な仕事を得た主人公が、輸送ヘリでこの地に降り立ち、可愛らしい生き物たちに囲まれながら日々の業務に就く。しかし、ただ雪とペンギンしか存在しないはずの島で、次第に奇妙な事態へと巻き込まれていく。


ヘリで降り立った極寒の地で課される、一見シンプルな「奇妙な仕事」
作中で目にする求人チラシには「仕事をお探しですか? ベンギンリフター! 宿舎およびスケジュール管理された業務を提供します。」と書かれている。経済的な困難に直面していた主人公は、輸送ヘリで南極近くの雪で覆われた孤島へと送られることとなる。
任される仕事自体は至って単純。自力では起き上がれなくなってしまったペンギンを見つけ出し、助け起こしてあげることだ。

しかし、この地に長く滞在するにつれて、次第に多くの疑問や不穏な出来事が浮かび上がってくる。
業務の合間、パソコンのチャットを通じて指示を出してくるプロジェクト担当者の存在がその1つだ。周囲に点在するセクターの様子を見に行くよう命じられた際、遠出の危険性を訴えても「選択の余地があるとでも? 島での物資供給を誰が担っているか忘れないでください。」と暗に脅され、強い圧迫感とともに業務外の任務をこなすことを余儀なくされる。


さらに、自分だけしかいないはずの島で、指定されたセクターの周辺を巡るとドラム缶に火が焚べられているのを発見する。チャットで報告しつつ追求してみても質問はかわされ、別の話題へとすり替えられてしまうのが不気味だ。
極めつきは、不意に響く基地のドアを叩く音だ。外の様子を確かめてみると、そこには「GO AWAY(出ていけ)」と文字ブロックで並べられたメッセージが残されている。静寂な雪原の中で少しずつ忍び寄ってくるような不穏さこそが、本作を引き立てる醍醐味だ。

寒さと戦いながらペンギンを助け、自腹で備品を揃えるサバイバル
ゲームは、拠点となる小さな基地を中心に展開していく。プレイヤーは基地から周囲の群れの様子を窺い、倒れているペンギンを助け起こす。救助の様子は衛星を通じて観測されており、1匹助けるごとに100ドルが得られるという、実にシンプルな完全出来高制だ。
本作には食事や睡眠といった概念はないものの、極寒の地らしく「体温」の概念が存在する。屋外はもとより、室内でも暖房がない環境に長居すると体温が徐々に下がり続け、限界を迎えると命を落としてしまう。体温は暖房の効いた基地の中や焚き火の近くに居ることで回復するため、ペンギンの様子を見に行く際は基地に戻るタイミングも計らなければならない。

拠点となる小さな基地には、主に暖房システムとパソコンが設置されている。パソコンからは「ショップ」と、先述の担当者とやり取りする「チャット」へアクセス可能だ。
ショップでは、暖房システムに必須となる「燃料」のほか、体温低下を緩やかにする「防寒着」や、雪上での移動に適した「ブーツ」といったアイテムを揃えられる。また、基地を彩るインテリアもある。業務上の必需品が自己負担というのは腑に落ちないが、ペンギンを助けて得たお金でアイテムを購入し、過酷な環境での業務を効率化していくサイクルが組み上げられている。
また、ストーリーを進めると、徒歩で遠出するには危険な島を効率よく移動する手段としてスノーモービルも利用できる。ピクセル化されたグラフィックで描かれた雪原は冷たく寂しいが、夜にはオーロラが見られるなど、過酷な環境をいっとき忘れられる雄大な光景があなたを待っている。

都市伝説からインスパイアされた「ペンギンリフター」の背景とキングペンギンの造形
ところで、本作のタイトルとなっている「ペンギンリフター」という不思議な職業だが、これは有名な都市伝説からインスパイアされたものだ。
その起源は1982年のフォークランド紛争時代にまで遡る。当時、現地にいたイギリス空軍のパイロットたちの間で「東フォークランド諸島の上空を飛行機やヘリコプターが通過すると、ペンギンが見上げて仰向けにひっくり返ってしまい、自力では起き上がれなくなる」という噂話が広がった。そこから派生して「ひっくり返ったペンギンを助けて元に戻す専用の職業がある」という都市伝説が誕生した経緯がある。

しかし、後にイギリスの南極観測隊が調査を行った結果「ペンギンが飛行機を目で追ってひっくり返ることはなく、仮に転んだとしても自力で問題なく起き上がれる」ことが実証された。
ちなみに、作中に登場するペンギンは都市伝説の舞台となった東フォークランド諸島に生息する「キングペンギン(別名・オウサマペンギン)」がモデルとなっている。側頭部にある鮮やかなオレンジの波紋が、首元や胸元に向かって綺麗に黄色く広がる特徴的な模様がしっかりと描かれているところからもわかるだろう。
プレイ時の注意点とミニマムなボリューム
プレイするうえで注意しておきたい点として、本作にはセーブ機能が用意されていない。
体温を失って死亡した場合は即座にリスポーンが可能で、それまでに獲得したアイテムがリセットされることはないが(手持ちのお金は消失する)、ゲームそのものを終了してしまうと毎回ニューゲームとなってしまう。

プレイ時間の目安はSteamストア表記で60〜90分、実際のプレイフィールとしては長くとも2時間程度というミニマムなボリュームとなっている。途中で中断せずに、余暇を使って一気にプレイしてしまうのがおすすめだ。
なお、作中には動物の死骸や事故死といった表現が含まれている点には留意してほしい。『Penguin Lifter』は、PC(Steam)にて2026年7月14日より配信中だ。
| 基本情報 | Penguin Lifter |
|---|---|
| 開発 | Peace_Studio, DonCorsaire |
| 販売 | Peace_Studio |
| 配信日 | 2026年7月14日 |
| 言語 | 日本語有り |
| 価格 | 655円(Steam) |
