イベント会場でしか味わえない特別な体験! 筐体に手を差し込む一人称STG『ANRI』ブースレポート【TGS2026】

朝比奈 / Asahina朝比奈 / Asahina··更新 2026/09/24
シューティングイベント

2026年9月17日〜20日に、千葉県・幕張メッセにて開催された「東京ゲームショウ2026(以下、TGS2026)」の出展タイトルから、筆者が注目する魅力的なタイトルをピックアップして紹介しよう。

なお、基本的には今後リリース予定の開発中のタイトルや、ローンチから間もないタイトル、早期アクセス中のタイトルを対象としている。

TOKYO GAME SHOW 2026|東京ゲームショウ2026
幕張メッセにて9/17(木)-21(月・祝)にて開催!30周年を迎えるTGSの今年のテーマは「史上最長、遊びづくしの5日間」。遊びの量も、熱量もスケールアップして、ゲームを遊びつくすSHOWがはじまります。

BitSummitからTGS2026へ。ラスボス実装で迎えた「完成度8割」の現在地

『ANRI』は、専用の箱型筐体に差し込んだ片手をコントローラーとしてプレイする、一人称視点のシューティングゲームだ。日本のゲーム開発スタジオ"チームゲハナシ"のシロ氏が手がける。

Steamなどのプラットフォーム経由でプレイするのではなく、その場に実在する筐体上のみで動作する本作は、イベント来場者だけが楽しめる特別な体験となっている。直近では今年5月に京都で開催された日本最大級のインディーゲームの祭典「BitSummit PUNCH(以下、BitSummit)」にも出展され、当時は中ボスまでが実装された状態となっていた。

それから、約4ヶ月を経た今回のTGS2026では「SELECTED INDIE 80」の一角に選出され、ついにラスボスが実装されたことで物語の結末を見ることができた形だ。しかし、これで完成というわけではなく現状では8割程度の完成度。シロ氏によれば、今回のイベントで「残り2割を探しに来た」のだという。

生身の腕を差し込む独自筐体。直感的な操作とデバイスの狙い

本稿は前回のBitSummitブースレポートのフォローアップとなるが、あらためて説明すると――ブースのテーブル上に置かれているのは、プレイヤーに覆いかぶさる程度の高さの黒い箱型筐体。椅子に座って正面を向くと、内部にはモニタが備え付けられている。

開発者のシロ氏から消しゴムサイズの長方形の「デバイス」を手渡され、それをモニタの前に差し出すことでプレイ開始。上部からの光にトラッキングされた手の動きによって、ゲームをコントロールしていく仕組みだ。具体的には、光に手をかざして上向きに開き続けることでエネルギーチャージと敵のバリア破壊ができ、握ることでエネルギーを放って攻撃。敵の攻撃の予兆が最大になるタイミングで手を握ればカウンターも可能だ。

ところでこのデバイス、一見して何らかのセンサーが内蔵されているように思えるが、実は何の機能も持たない金属の塊。それを持たせる狙いとは――自然と手が上向きに固定され、適度な重みを感じることで素早く動かしすぎることがなくなる。そして、デバイスを手にしているという感覚が、自分がコントロールしているという自然な没入感をもたらしてくれるのだ。

本作のストーリーは、文明が滅んだ後の世界を舞台に、本来なら戦争を終わらせるはずだったデバイス「ANRI」を用い、機械兵の頭脳である管理者を止めに行くというものだ。プレイ中には字幕テキスト・ボイスでプレイヤーに語りかけてくれるが、クリアまでの5分程度のプレイ時間ではその全貌を掴むことはできない。

実のところ、詳細なバックストーリーや世界観が深く作り込まれているそうなのだが、それに裏打ちされているからこそ短いプレイ時間でも不思議と惹き込まれる魅力を感じさせてくれるのだろう。

▲こちらは前回のBitSummit出展時の動画だが、ブースや実機プレイの様子をつかむ参考にしてほしい

ラスボス実装とデバイスの刷新。シロ氏が語る進化と残り2割への模索

今年5月のBitSummitから約4ヶ月。前回の展示を体験した方にとっては待望のラスボス戦であり、今回が初プレイとなる来場者にとってもユニークな体験となったはずだ。では、前回の出展を経て今回のTGSに至るまで、本作はどのような進化を遂げてきたのだろうか。会場ブースにて、開発者のシロ氏に開発過程での変化や現在の思いを伺った。

まず、前回の展示からの大きな変化として挙げられるのが、手元のデバイス自体のグレードアップだ。以前の3Dプリンター製から一新され、ステンレスの切り出しとレジン加工の装飾によってよりデバイスらしい姿形となっている。金属ならではの重みと確かな手触りが両立され、操作するうえでの説得力と没入感が一段と高められた印象だ。

また、プレイ中の快適さを支える要素として、日本語ボイスの有用性にも注目。本作は画面と手の動きに集中するため文字を読む暇がないが、音声ナビが状況をアナウンスすることで、流れを止めずに情報を伝えてくれる。さらに詰まり具合に応じてウェーブ数を減らすなど難易度の自然なスケーリングが施され、誰もが5〜6分で完結できるよう工夫されている点も面白い。

今回実装されたラスボス戦では、画面の指示に「抗えるか」が結末を左右する。言われたとおりに従うとゲームオーバーになってしまう仕掛けで、理不尽に立ち向かう人間の意志が試される演出だ。結末へと至る物語にはより深いバックボーンが存在するのだが、いつか小説のような形で披露できる機会があるかもしれないとのことだ。

サウンド面にも実に実験的な試みが採り入れられている。手を開くアクションに連動し、AIによる歌声とメロディがその場で自動生成される仕組みだ。シロ氏が演奏した約400小節のアドリブをAIに学習させ、コラージュして出力している。固定のテーマ曲を持たず、手を開くたびに毎回違った旋律が響く設計は、なんともユニークで面白い仕掛けだ。

8割まで形になった本作だが、シロ氏はシステムをいかに直感的に理解してもらうかという課題に向き合っている。残る2割を埋めるため、演出で補うのかUIを工夫するのか、現場での反応を見つめながら検討を重ねている最中だ。実際に触れられる機会はイベント会場に限られてはいるものの、さらなる完成度を目指す『ANRI』の今後の展開に、引き続き注目していきたい。


基本情報 ANRI
開発 チームゲハナシ
販売 チームゲハナシ
配信日 イベント出展のみ
言語 日本語有り
価格 販売予定無し

ライター:朝比奈 編集:レイリー

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