2024年10月27日に、東京・浜松町にて開催された「東京ゲームダンジョン6」の出展作品より、筆者が注目する魅力的なタイトルをピックアップしてご紹介しよう。
なお、基本的には今後リリース予定の開発中のタイトルや、ローンチから間もないタイトル、早期アクセス中のタイトルを対象としている。


暗がりに潜む和の恐怖感
『Lull: Rest After Crying』は、赤ん坊を背負った少女が、不気味な謎の施設を探索していく2.5Dのホラーアクション・アドベンチャーゲームだ。ご夫婦で制作されているという、日本のゲーム開発スタジオ"Tonkobitta"が手掛ける。
東京ゲームダンジョン6の紹介ページには、本作について「山で目覚めた少女は不気味な施設で赤子を助け出す。」とだけ語られていて詳しいストーリーは不明なのだが、それもそのはず。今回は本格的な制作を前にしたプロトタイプ版を用いた初出展となる。

今回、東京ゲームダンジョン6の出展ブースの試遊では、この世界観と操作感を体験できる7~10分ほどのステージが用意されていた。
少女が取れるアクションは、移動・ジャンプ・しゃがむ・モノを掴む程度とシンプル。部屋同士や通路など、内部を隔てる襖(ふすま)や引き戸を開けたり、高い位置に登るための足場として箱を動かしたりと、インタラクティブなアクションを駆使しながら先へと進んでいく形だ。

今作で目を引くのはやはりそのビジュアル。赤ん坊を背負った主人公の少女が進むのは、薄暗い謎の施設。和風テイストが多めの和洋折衷といった様相で、昔ながらの頼りなさ気な裸電球が灯され、照らしきれない暗がりに何かが潜んでいそうで言葉にはしづらい気味悪さが感じられる。
さらには開いた扉の中や、部屋の隅に立って少女をジッと見つめてくる謎の人物がいて、これはもう直接的に気持ちが悪い。幸いなことに彼らが襲いかかってくることはなかったが、近づけば何かしてきそうなところがたまらない。

こうした空気感や、雰囲気はただ素材を組み合わせただけでは生まれないので、この画作りのセンスこそが本作の特徴ではないかと感じるところだ。
今回のステージ自体は一本道で短いものだったが、ラストには遠く彼方まで無作為に連なる構造物の広がりが見て取れ、この先に少女と赤ん坊を待ち受ける運命がどのようなものになるのか、期待を感じせる内容となっていた。

名作からのインスパイア
今回会場では、本作を手掛ける西口雅幸氏にお話を伺うことができた。
先述のとおり、今回出展されたものはコンセプトを形に起こしたプロトタイプ版で、雰囲気と操作感を体験してもらう意図とのこと。お気づきの方もいらっしゃると思うが、本作は『LIMBO』や『INSIDE』、『Little Nightmares』にインスパイアされていて、それに加えて好みの和風に寄ったデザインとなったそうだ。

基本的にはそれら影響を受けた作品と同様に、進行を妨げるパズル要素を解きながらリニアに進んでいくタイプのアクションゲームとなるが、まだまだ模索中とのこと。
差別化の要素として「赤ん坊」の存在があり、その存在がストーリーに関わってくることとなるそうだが、例えば赤ん坊の泣き声がゲームプレイに関わるメカニクスとして作用するのも面白いかもしれない。

技術的な巧みさではより優れた作品が数多くあるが、西口氏は本業として映像関係やゲームの背景を手掛けているため、その強みを活かした作品にしたいとの思いを伺うことができた。その意味では、筆者が感じたようにプロトタイプ版でも既にビジュアルに表れているのではないかと思うところだ。
これから本格的に制作に入っていくため、リリース時期はまだまだ未定。しかし、エピソード方式で段階的に配信していく形を取れば、1年程度で最初のエピソードを出せるかもしれないとのこと。その進捗を楽しみに待ちたい。
基本情報 | Lull: Rest After Crying |
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開発 | Tonkobitta |
販売 | Tonkobitta |
配信日 | 未定 / 日本語有り |
定価 | 未定(Steam)※ストアページ未公開 |