心のつながりと絆を描くシリーズの原点。はるか地球を探して銀河を巡る旅に出よう『OPUS 地球計画』【傑作選】

朝比奈 / Asahina

2025/04/14

あるゲームジャンルにおいて、ユーザーから高く評価され、その作品抜きには語れないとされるもの。そのビジュアルやゲームシステムが多くのリスペクトを集めるもの。本稿では、そんな"傑作"と称されるインディータイトルを取り上げてご紹介しよう。

OPUS 地球計画』は、星々の彼方に埋もれた地球を探して宇宙を巡る、ストーリーベースのナラティブなSFアドベンチャーゲームだ。台湾のゲーム開発スタジオ"SIGONO"が手掛ける。

人類が宇宙に進出してから幾星霜。いつしか行き過ぎた遺伝子操作によって、人類は存亡の危機に瀕していた。そこで、人類の起源となる遺伝子を求め、かつての母なる「地球」を探して2人の研究者と1体のロボットを乗せた宇宙船オプス号は、広大な星の海へと飛び立つのだった。

Steam:OPUS 地球計画
映画の様な音楽と世界に没頭間違いなし。惑星を探す冒険が今始まる!宇宙船に乗り、望遠鏡で彼方を覗き謎を解こう。ほっこり型ロボットをお供に銀河の果ての地球を探す旅へ。癒し系時空探索物語の始まりです。

まだ見ぬ地球を求めてオプス号は飛ぶ

本作のゲームシステムは、ゲーム画面を水平方向から見た視点(サイドビュー)の2Dアドベンチャー。地球探査船オプス号を舞台に、今ではその位置座標が不明となってしまった、人類にとっての母星である「地球」の位置を発見することが目的となる。

物語に登場するのは、この地球探査プロジェクトのために搭乗した2人の研究者"リサ・アダムズ博士"と"竹内マコト博士"。そして、リサ博士によって制作された汎用船外活動ロボットOP1414型こと、通称"エム"。物語はこのエムの視点で描かれていく。

だが、この広大な宇宙から正確な座標もわからない地球を探し出そうという探査プロジェクトは、あまりにも壮大すぎるものだった。地球を発見できることを信じるリサ博士と、どこか懐疑的なマコト博士を載せてオプス号は進むが、ある時突然の停電がオプス号を襲う。

やがて部分的に電力が復旧し、自身も再起動したエムだったが、2人の姿はどこにも見当たらない。代わりに姿を現したオプス号のAIが作り出したホログラムの"リサ"と共に、想いを継ぐかのようにエムは地球探査を続けていくのだが――

ゲームの流れとしては、主に「地球探査パート」と「宇宙船内部のパート」で構成されている。

地球探査パートでは、オプス号に備え付けられた宇宙望遠鏡を操作して、地球が存在する可能性がある星域に点のように散らばる星々を1つ1つ探査していく。

探査を試みた星には、半径・温度・質量・水の4つのパラメータがあり、記録上の地球のデータと照らし合わされることで、それが地球であるかどうかを判別する。その過程において、さまざまな恒星・惑星・衛星を発見していくこととなるが、なかなか地球は見つからない。

そうして長い長い時間をかけて、エムは地球を見つけるために銀河を巡っていくのだ。

一方、宇宙船内部パートでは徐々に電力が復旧していくオプス号の中で、過去と現在の時間軸が交錯し、オプス号で起こった出来事が少しずつ明らかになっていく。

本作の魅力となるのがこのストーリー描写で、2人の研究者が直面する人間らしい心の機微や葛藤。ロボットでありながらその心を理解するかのように行動するエムと、言葉を紡ぐAI。その移ろいがドラマチックに描かれる。

現在はPC(Steam)とコンソール(Nintendo Switch)にも配信されているが、もともとはモバイル端末向けに制作された本作。それもあってか2時間程度で結末に至れるようなミニマムな作りとなっているのだが、そこには物語が凝縮されて詰め込まれている。

丁寧に描かれていく物語は、佳境を迎えた瞬間から一気に加速しながらさまざまな真相を明らかにしていき、プレイヤーの感情を一瞬置き去りにするが、やがて追いつくのを待つかのように結末に向かって収束していく。

これは体験なので明確な説明は難しいところだが、緩急の付け方が絶妙なバランス感で成り立っていて、それも踏まえたストーリーテリングの巧みさこそが本作を形作り、プレイヤーの感動を呼び起こす。

本作が描くテーマは「心のつながり・絆」。漫画や小説など媒体を問わず、一篇の物語というものは、それが短編であっても如何にそのテーマを伝えきれるかによって真価が問われるものだが、それが秀逸なレベルで成立しているところが本作が名作として支持される所以なのだろう。

一貫したテーマで描く『OPUS』シリーズ

SIGONOが手掛ける『OPUS』はシリーズ化されており、これまでに『OPUS 魂の架け橋』『Rocket of Whispers: Prologue(『OPUS 魂の架け橋』の前日譚)』『OPUS 星歌の響き』がリリースされている。

基本的にはストーリー上の繋がりはなく時間軸も異なるが、世界観は共通しており、いずれも一貫して「心のつながり・絆」がテーマとなっている。

▲『OPUS 魂の架け橋』より
Steam:OPUS 魂の架け橋
終末の世界、そこが広大で美麗なる冒険の舞台。教会の祭壇、工業地区の爆発跡、隔離された都市などを訪れ、巫女とロケット技師が求める材料を探し出そう。「宇宙葬」を通して犠牲者の霊魂を生命の始まりの地——銀河へと送る為に。
Steam:Rocket of Whispers: Prologue
「OPUS」シリーズがお好きな方に、間違いなくお勧めできる前日譚。極寒の終末世界の中冬眠から目覚めた巫女リン=フェイ。ゲームの中であなたは孤独な世界と直面する。装置を動かしながら教会の地下室の崩壊した廊下を抜け出して孤独と静寂を体感しよう。

シリーズ第2弾の『OPUS 魂の架け橋』と『Rocket of Whispers: Prologue』では、今や荒廃した惑星を舞台に、人々の魂をロケットに乗せて宇宙(そら)へと送る役目を担う最後の巫女リン=フェイと、ロケット技師の青年ヨハンの2人の物語が綴られた。

そして、続く第3弾『OPUS 星歌の響き』では、未知なる惑星「龍脈」に眠る膨大なエネルギーの謎と秘密を巡る、龍脈に連なる巫女と呼ばれた少女エイダと青年リバクの永きにわたる宇宙の旅路が描かれている。

▲『OPUS 星歌の響き』より
Steam:OPUS 星歌の響き -Full Bloom Edition-
宇宙探索、冒険、そして謎解きの物語。未知なる惑星「龍脈」に眠る膨大なエネルギーを巡り勃発する大国同士の争い。龍脈を探す歌声を持つ少女—エイダは、同じく龍脈を探す少年と出会い、太古からの神話の謎を紐解いて行く…

2作目以降はリードプラットフォームがモバイル端末からPC(Steam)となったことで、それに応じるかのようにグラフィックや演出が強化され、ストーリーのボリュームも増しているなどプレイフィールの変化は感じられるが、そのテーマは10年近く変わることなく連綿と続いている。

OPUSシリーズ最新作は2025年秋の配信予定

現在、SIGONOはシリーズ最新作となる『OPUS: Prism Peak(原題『OPUS 写心吾山』)』の開発を進めている。

都会からの帰郷をきっかけに、幻想と現実が交錯する不思議な世界へと迷い込んだ主人公。そこで出会った記憶を失った少女と共に、記憶のかけらを求めて旅をしていく。古びたカメラのファインダー越しに覗く風景は世界の真実を映し出し、消えゆく運命にある世界を記憶するかのように収めていくのだという。

Steam:OPUS: Prism Peak
『OPUS: Prism Peak』は、心揺さぶるナラティブなアドベンチャーゲーム。不意に幻想の領域に迷い込んでしまった主人公は、古いカメラを手に、レンズを通して儚くも美しい世界を彷徨いながら、失われた記憶のかけらを一つずつ集め、本当の「帰り道」を探す。その旅の結末に待つものは…

今作は集英社ゲームズがパブリッシングしており、2025年4月11日に配信されたインディーゲームの最新情報を届けるオンラインイベント「The Triple-i Initiative 2025」内において、ゲームプレイ映像を納めた最新のトレーラーと共に、配信時期が2025年秋となることがアナウンスされたばかり。

まだ物語の全貌は見えていないが、そのテーマ性は変わることなく引き継がれているようで、ある種の約束された物語として再びその感動に出会わせてくれることを期待してやまないのだ。

OPUS: Prism Peak-『OPUS: Prism Peak 』最新トレーラーを公開! 発売時期が2025年秋に決定!-Steamニュース
『OPUS: Prism Peak』の最新トレーラーを公開しました。 最新トレーラーでは、カメラを使用したゲームプレイに関する新たなシーンに加え、 本トレーラーで初お披露目となるキャラクターの姿もご覧いただけます。 また、トレーラーの公開に合わせて、本作の発売時期を2025年秋と発表しました。 この先も様々な情報を公開していきますので、引き続き『OPUS: Prism Peak』にご注目ください! SIGONO公式X: 集英社ゲームズ公式X:

基本情報 OPUS 地球計画
開発 SIGONO INC.
販売 SIGONO INC.
言語 日本語有り
配信日 2015年10月22日 / iOS
2015年10月22日 / Android(配信終了)
2016年4月21日 / Steam
2017年11月30日 / Nintendo Switch
定価 無料~アプリ内課金(iOS
1,700円(Steam
500円(Nintendo Switch

この記事で紹介されているゲーム

OPUS 星歌の響き -Full Bloom Edition-

インディー

アドベンチャー

日本語対応
¥2,750

OPUS 魂の架け橋

アドベンチャー

インディー

日本語対応
¥1,700

OPUS: Prism Peak

インディー

アドベンチャー

日本語対応

Rocket of Whispers: Prologue

アドベンチャー

インディー

日本語対応

OPUS 地球計画

インディー

アドベンチャー

日本語対応
¥1,700
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発売日2018年2月8日
ジャンル
アドベンチャー
インディー

カテゴリ
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OPUS 魂の架け橋

終末の世界、そこが広大で美麗なる冒険の舞台。教会の祭壇、工業地区の爆発跡、隔離された都市などを訪れ、巫女とロケット技師が求める材料を探し出そう。「宇宙葬」を通して犠牲者の霊魂を生命の始まりの地——銀河へと送る為に。

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ゲームについて


“ロケットを通して、魂を天へと送り届ける”

終末の世界、忘れ去られた宇宙葬はいつ再開されるのか。人々の希望は叶うのか?

東京ゲームショウ2016「センス・オブ・ワンダーナイト」ベスト8選考作品であり、Nintendo Switchでも大人気を博した「OPUS 地球計画」を産んだ台湾のインディーズゲームスタジオ「SIGONO」が全身全霊の力で放つ冒険譚第2弾!


積もった白雪を踏みしめ、荒涼とした大地を越え、彼らは願う。いつの日か、星まで届くロケットを作れるようにと。——これは目の前で繰り広げられる、長く孤独な旅のお話。

「ロケットの発射が成功したら、奴らがもう見えなくなるんだよな?」と困った顔でヨハンが聞けば、

「もちろんよ!私達の目標は、彼らを銀河へ送る事でしょ!」とフェイが自信満々で答える。

世界は一度終わった。最悪の疫病によるパンデミック後の世界、廃墟と化した街のいたる所で彷徨う霊魂達。この世界でたった2人生き残った「巫女」のフェイと、「ロケット技師」のヨハン。

ゲームの中であなたは2人の代わりにこの荒唐無稽な夢を実現させる事になる。魂を載せるロケットを製作し、銀河の果てを目指して打ち上げよう。そして霊魂を「宇宙葬」を通じて、全ての生命の起源―――宇宙へ連れて帰ろう。

▼終末後の世界を探索

雪に覆われた大地、町の廃墟、遺跡…荒廃した険しい世界を探検するには状況に合わせた装備が必要です。唐突に襲い掛かるトラブルにも知恵を絞って対応し、目的のロケットの材料を収集しよう。

▼繊細で暖かい物語

暖かさと寂しさを経験し、主人公と一緒に成長しよう。その過程で、心の奥底に眠る記憶が呼び覚まされます。廃墟の瓦礫の下に眠る数々のストーリー。そこにはあの終末の真相が隠されている…。

▼目指せロケットマスター

世界各地に散らばる材料を集め、宇宙を目指すためのロケットを製作しましょう。この冒険を進めるためにはスノーブーツ、サーチライト、猟銃等の探索ツールも開発しなければなりません。

▼濃厚なゲーム体験をお約束

空を舞う雪、昼夜で変化する光、退廃的な遺跡…全てが終焉の世界ならではの美しさを表しています。シーンに合わせて用意された音楽は30曲以上、更に各状況にあわせて特別に作り出された音響効果が、あなたをゲームの世界へと引きずり込みます。

ゲームに温度を感じた事が有りますか?台湾のスタジオを発ち、世界中100万人を超えるユーザーに好評を得た「OPUS 地球計画」の精神を継承し、全身全霊で作成した本作も、きっと皆様に感動をお届けできる事でしょう。

我々は信じています。ゲームの存在は人々を幸せにする事であると。