2025年8月3日に、横浜・大さん橋ホールにて開催された「Pixel Art Park 8」で試遊できたタイトルから、筆者が注目する魅力的なタイトルをピックアップして紹介しよう。
なお、基本的には今後リリース予定の開発中のタイトルや、ローンチから間もないタイトル、早期アクセス中のタイトルを対象としている。


疎遠になっていた親友と再会
『まちあわせ』は、疎遠になっていた親友と再会し、優しくも懐かしい日々を過ごすビジュアルノベル。和風ADV『虹の降る海』を手がけた「ぱおちゃんず」の志麻ひぬこ氏と、ピクセルアーティストの点々氏が開発している。楽曲は、テキストADV『ナツノカナタ』などのサウンドトラックも担当したruichiro氏だ。
今回のデモ版では、冒頭の5分から10分程度をプレイできたので、その内容についてご紹介しよう。

プレイヤーは、主人公の「律花」となって、かつて親友だった「桜子」との物語を追体験していくことになる。ある日律花が買ったばかりのスマホに、「友だちかも?」というよくある機能から、学生時代の親友である桜子の名前を見つける。心の距離を再び近づけていく2人を見守っていこう。
本作はビジュアルノベル形式で、基本的には文章を読み進めていき、ときおり出てくる選択肢を選ぶというもの。デモ版時点では、選択肢によって物語が分岐したり、バッドエンドへ行ってしまったり……という要素はなさそうだった。プレイヤーの心情により合った選択肢を選んでいくという形になりそうだ。

ただテキストを読むだけではなく、特定場面では律花のスマホを操作して物語を進めていく。スマホはメッセージのやり取りやコーヒーの注文など、日常生活と同じように物語の各所で使われる。スマホの操作というインタラクティブな要素によって、プレイヤー自身が物語へさらに引き込まれるような作りとなっていた。
スマホという現代的なアイテムが話の主軸となるが、本作の雰囲気はそれとは対照的にどこか懐かしさを思わせる。久々に再会する友人との絶妙な空気感が、それぞれの会話でうまく表現されており、ドット絵で表現されたグラフィックや、温かみのあるBGMがそれを引き立てている。
昔のように仲良くしたいながらも、久々の再会ゆえに互いに距離感を探りながらぎこちなくなる2人。傍観する立場としてはもどかしくもあるが、こっそり見守るように応援したくもなる。短いプレイ時間ではあったが、2人へしっかり感情移入できる内容となっており、本編への期待が高まる内容となっていた。

ドット絵と楽曲の相互作用
本作を手がけた志麻ひぬこ氏にお話を伺うことができたので、最後にそちらもご紹介しよう。
2024年の終わりごろから開発は進められており、ドット絵部分を点々氏が、プログラミング面を志麻ひぬこ氏が手がける形となっている。開発のきっかけは、Unityを用いて一週間でゲーム制作を行うunityroom主催のイベント「Unity1週間ゲームジャム」で共同制作を行ったことからだったそうだ。
元々ビジュアルノベルを作りたいと構想していたところに、ふとスマホをゲーム内で用いるというアイデアが降りてきたことで、本作の構想が仕上がっていったとのことだ。
ブースでは点々氏が描いた本作の背景ドット絵のポストカードも販売されていたが、そのいずれも繊細なタッチで本作の柔らかな雰囲気を感じられた。こういったアートワークを最大限活かせる題材として、ビジュアルノベルを選んだのもうなずける。

また、前回披露されたデモ版と比較すると、ストーリーの流れやドット絵のタッチなども変わっていた。このあたりは、楽曲やアートワークの仕上がりを見てからシナリオをいじったり、逆にシナリオに合わせてアートワークを再調整してもらったりと、相互作用的に変わった部分があるとのことだった。どちらかを先に決めて進めるという形ではなく、あくまで並行して作業していく中で互いに影響され合っているようだ。
『まちあわせ』は、PC(Steam)でのリリースを目指して現在鋭意開発中。まだ完成までは遠いとのことだったが、今後律花と桜子の間でどのような物語が紡がれていくのか期待が高まる。

基本情報 | まちあわせ |
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開発 | Paochanz, Tenten |
販売 | Paochanz |
配信日 | 未定 |
言語 | 日本語有り |
価格 | 未定(Steam) |
ライター:レイリー
編集:nawa