スマホが再び結んだ2人の絆。かつての親友との交流を描くビジュアルノベル『まちあわせ』ブースレポート【Pixel Art Park 8】

レイリー

2025/08/25

2025年8月3日に、横浜・大さん橋ホールにて開催された「Pixel Art Park 8」で試遊できたタイトルから、筆者が注目する魅力的なタイトルをピックアップして紹介しよう。

なお、基本的には今後リリース予定の開発中のタイトルや、ローンチから間もないタイトル、早期アクセス中のタイトルを対象としている。

Pixel Art Park 8 - 日本最大級のドット絵の祭典
年に1回のドット絵の祭典「Pixel Art Park(ピクセルアートパーク)」。国内外からドット絵にまつわるクリエイターや企業が集結。ドット絵の魅力を世界中へ発信します!

疎遠になっていた親友と再会

まちあわせ』は、疎遠になっていた親友と再会し、優しくも懐かしい日々を過ごすビジュアルノベル。和風ADV『虹の降る海』を手がけた「ぱおちゃんず」の志麻ひぬこ氏と、ピクセルアーティストの点々氏が開発している。楽曲は、テキストADV『ナツノカナタ』などのサウンドトラックも担当したruichiro氏だ。

今回のデモ版では、冒頭の5分から10分程度をプレイできたので、その内容についてご紹介しよう。

プレイヤーは、主人公の「律花」となって、かつて親友だった「桜子」との物語を追体験していくことになる。ある日律花が買ったばかりのスマホに、「友だちかも?」というよくある機能から、学生時代の親友である桜子の名前を見つける。心の距離を再び近づけていく2人を見守っていこう。

本作はビジュアルノベル形式で、基本的には文章を読み進めていき、ときおり出てくる選択肢を選ぶというもの。デモ版時点では、選択肢によって物語が分岐したり、バッドエンドへ行ってしまったり……という要素はなさそうだった。プレイヤーの心情により合った選択肢を選んでいくという形になりそうだ。

ただテキストを読むだけではなく、特定場面では律花のスマホを操作して物語を進めていく。スマホはメッセージのやり取りやコーヒーの注文など、日常生活と同じように物語の各所で使われる。スマホの操作というインタラクティブな要素によって、プレイヤー自身が物語へさらに引き込まれるような作りとなっていた。

スマホという現代的なアイテムが話の主軸となるが、本作の雰囲気はそれとは対照的にどこか懐かしさを思わせる。久々に再会する友人との絶妙な空気感が、それぞれの会話でうまく表現されており、ドット絵で表現されたグラフィックや、温かみのあるBGMがそれを引き立てている。

昔のように仲良くしたいながらも、久々の再会ゆえに互いに距離感を探りながらぎこちなくなる2人。傍観する立場としてはもどかしくもあるが、こっそり見守るように応援したくもなる。短いプレイ時間ではあったが、2人へしっかり感情移入できる内容となっており、本編への期待が高まる内容となっていた。

ドット絵と楽曲の相互作用

本作を手がけた志麻ひぬこ氏にお話を伺うことができたので、最後にそちらもご紹介しよう。

2024年の終わりごろから開発は進められており、ドット絵部分を点々氏が、プログラミング面を志麻ひぬこ氏が手がける形となっている。開発のきっかけは、Unityを用いて一週間でゲーム制作を行うunityroom主催のイベント「Unity1週間ゲームジャム」で共同制作を行ったことからだったそうだ。

元々ビジュアルノベルを作りたいと構想していたところに、ふとスマホをゲーム内で用いるというアイデアが降りてきたことで、本作の構想が仕上がっていったとのことだ。

ブースでは点々氏が描いた本作の背景ドット絵のポストカードも販売されていたが、そのいずれも繊細なタッチで本作の柔らかな雰囲気を感じられた。こういったアートワークを最大限活かせる題材として、ビジュアルノベルを選んだのもうなずける。

また、前回披露されたデモ版と比較すると、ストーリーの流れやドット絵のタッチなども変わっていた。このあたりは、楽曲やアートワークの仕上がりを見てからシナリオをいじったり、逆にシナリオに合わせてアートワークを再調整してもらったりと、相互作用的に変わった部分があるとのことだった。どちらかを先に決めて進めるという形ではなく、あくまで並行して作業していく中で互いに影響され合っているようだ。

まちあわせ』は、PC(Steam)でのリリースを目指して現在鋭意開発中。まだ完成までは遠いとのことだったが、今後律花と桜子の間でどのような物語が紡がれていくのか期待が高まる。

Steam:まちあわせ
買ったばかりの律花のスマホに表示された「友だちかも?」の文字。学生時代の親友・桜子への連絡をきっかけに、金曜から日曜まで毎日まちあわせを重ねる、やさしくて懐かしい物語。
基本情報 まちあわせ
開発 Paochanz, Tenten
販売 Paochanz
配信日 未定
言語 日本語有り
価格 未定(Steam

ライター:レイリー 編集:nawa

この記事で紹介されているゲーム

虹の降る海

インディー

アドベンチャー

シミュレーション

日本語対応

まちあわせ

アドベンチャー

カジュアル

インディー

日本語対応

ナツノカナタ

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シングルプレイヤー
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ナツノカナタ

──終わってしまった世界の夏、少女はあてのない旅をする。 「ナツノカナタ」は、終末を迎えた世界を旅する少女たちを描いた、テキストアドベンチャーゲームです。 どういうわけか別の世界を生きる少女と通話を繋げてしまったあなたは、彼女たちの旅に巻き込まれていきます。 生き抜くために荒廃した町を探索し、銃を握って動く死体に立ち向かう少女たちを、あなたは通話越しにサポートします。 少女たちとの通話を通して、彼女たちのことを知り、そして世界の謎に迫っていく──

「ナツノカナタ beyond」発売!


新作出ました!


ゲームについて

──終わってしまった世界の夏、少女はあてのない旅をする。

「ナツノカナタ」は
終末を迎えた世界を旅する少女たちを描いた、テキストアドベンチャーゲームです。

あなたは、偶然見つけた古いコンピュータに導かれて、出会ったことのない少女と通話をします。
彼女はナツノ。パンデミックによって崩壊した世界で、一人、行くあてのない旅をしているといいます。
けれどもあなたの知る世界では、パンデミックも社会の崩壊も起こっていない。
彼女のいる世界はどこなのか、どうして通話が繋がるのか──
ナツノの話し相手になって旅を見守るうちに、あなたは終末を迎えた世界の謎に迫っていきます。

ゲームプレイ配信について

ゲームプレイの配信については、ゲーム全編において、自由に行っていただいて構いません。
企業所属の場合や配信収益化等も問題ありません。
詳しくは、公式webページをご確認ください。

STORY

故郷の東京を離れ、北を目指して一人旅を続ける少女、ナツノ。
高校の同級生とは、東京を出るときに離れ離れになった。
両親とはどこかの駅ではぐれた。
電車が動かなくなってからは、一人で歩いて旅を続けた。
旅に行くあてはなく、帰るところはどこにもなかった。

世界は、半年前に終わりを迎えていた。
未曾有のパンデミックは、ほんのわずかな時間で、社会を崩壊させた。
感染すると、人は理性を失い、物言わぬ怪物となって人を襲う。
原因となるウイルスも細菌も、ついに明らかにならなかった。
わかっていることは何もない。
それでも目の前にあるものはただただ現実で、
町を歩いても誰にも出会わず、たった一人、旅を続けるしかない。


あなたが偶然話をしたのは、そんな世界を旅する少女だった。
亡くなった祖母の遺品整理で古いコンピュータを見つけたのが、すべてのはじまり。
祖母との思い出を探して、あなたはコンピュータのデータを開いた。
けれどコンピュータから聞こえたのは、知らない少女の声──
ナツノと名乗る少女と、どういうわけか通話が繋がっていた。

もちろん、あなたの住む世界ではパンデミックなんて起きていない。
高校生は誰もいない町なんかを放浪したりせず、夏休みを満喫している。
それでも確かに、ナツノと通話は繋がっていて。
彼女はいったいどこにいるのか。
どうして通話が繋がるのか。
わからないことだらけだったけれど、
彼女はただ「話し相手になってよ」と、そう言った。


終わってしまった世界を生きる、別の少女たちとの出会いを重ねながら、
あなたは少しずつ、真実に迫っていく──

CHARACTER

ナツノ
「ね。あなたも、一緒に来てくれるでしょ?」
高校二年生の少女。
故郷の東京を離れ、一人で旅をしている。
たった一人で生き延びるたくましさをもっているけれど、
どんなことにも慣れてしまう自分のことがあまり好きではない。

アカネ
「もー。そんな泣かないでよ、ナツノちゃん」
マイペースでつかみどころのない女性。
世界の崩壊前にある理由で集められた人々とともに暮らしている。
この世界を崩壊させたパンデミックについて、
何か思うところがあるようだけれど...

キコ
「わ! ごめんなさい! 違いますっ!」
はぐれてしまった飼い犬を探して、一人旅をする優しい少女。
臆病で引っ込み思案だけれど、
飼い犬のために一人で旅を続ける意志の強さをもっている。

シノ
「こんな状況でもないと、一人旅なんてなかなかできないじゃん?」
偶然見つけた写真の場所を探して旅をする少女。
誰が撮ったのかさえわからない写真に写っている場所を、遊び半分で探している。
明るい笑顔が印象的だけれど、その奥に秘めた思いがあるようで──

STAFF

企画・制作・シナリオ : Kazuhide Oka
キャラクターデザイン : Chiji
オリジナルサウンドトラック : ruichiro

プレイ時間

6~10時間 (NORMALモード)