猫による重税に耐えながらネズミの都市を建設していくコロニーシミュレーション『Whiskerwood ウィスカーウッド』体験版プレイレポ

しわしわ

2025/10/25

Whiskerwood ウィスカーウッド』は、猫の圧政のもとネズミたちが働いて税を納めるという、ユニークな自動化コロニーシミュレーションだ。プレイヤーは代理人としてネズミを働かせ、少しずつコロニーを発展させながら納税ノルマをこなしていく。開発はMinakata Dynamicsがおこない、パブリッシングをHooded Horseが務める。2025年11月6日よりPCにて発売予定だ。

現在公開中の体験版をプレイしてみたので、本稿では実際のプレイフィールを交えつつ本作の魅力を紹介していこう。なお、本作の特徴のひとつである自動化関連の建設物は体験版では未解放のため、自動化手前までの内容が中心となることをご了承いただきたい。

Steam:Whiskerwood ウィスカーウッド
圧政を敷く猫たちの下、働くネズミたちの住処を築こう。複雑なシミュレーション、緻密な生産網の管理、そして猫とネズミの長年の対立を描く町作りゲーム。

働くネズミたちと厳しい重税

Whiskerwood ウィスカーウッド』におけるプレイヤーの役割は、「髭の民」と呼ばれるネズミたちの代理人。ネズミたちに採集・伐採・採掘など仕事を割り振り、定期的な徴収のために資源を蓄えておくことが目的だ。働き手であるネズミを住まわせる島をひとつ貰い受け、移民を受け入れながら少しずつ発展させていく。税金として要求される資源は建設にも使用するので、そちらでうっかり使い果たすと納税額を満たせなくなることも。常に余裕を持ったリソース管理が重要だ。

また、ネズミたちは労働環境に対して不満を持つことがあり、これは代理人への「賛同」というポイントに表れるようになっている。体験版時点では「低いとストライキされる」といったことは起きなかったが、賛同数は新たな住民を受け入れる際に使用するため、侮っていると「ネズミからの賛同がないので人口を増やせない」という問題が起きるのだ。働き手が足りないと発展も滞ってしまうので、賛同を保つための環境づくりも重要なタスクとなる。ネズミたちの不満内容は一日の終わりに確認できるので、必ず目を通しておこう。

▲一度得た賛同も、翌日の不満が大きいと失われてしまう。維持が大切だ。

具体的には寝床や食事処、水浴び場の建設などが必要だ。これらを建てれば不満は一旦落ち着き、「仕事終わりにレストランに寄って食事をし、水浴びして帰る」という何とも労働者らしいルーチンが見られるようになる。とはいえ、これらも貴重な資源と労働力を割いて建設するわけなので、納税を控える代理人としては厳しい懐事情が続くだろう。現状維持からむずかしく、考えることの多い、非常にやりごたえある作品だ。

厳しい冬を越すための備えを

ただでさえカツカツな状態でのやりくりが続くが、冬に入るとさらに状況は厳しくなる。寒さへの対策を怠るとネズミたちは病気に罹り、医療施設がなければやがて死亡してしまうのだ。

焚き火の設置で部分的に寒さを和らげることはできるものの、その範囲は決して広くはないので、ある程度点々と複数配置する必要がある。もちろん焚き火は木材を消費するし、日数が経過すると燃え尽きて消失してしまう。冬までにきちんと木材の確保手段を確立し、ある程度の数を蓄えておかなければ、死者を出さずに冬を越すのは難しそうだ。序盤においては、この自動化とは程遠い一年目の冬をどうにか越えることがひとまずの目標と言えるだろう。

▲病に罹り這うように移動するネズミ。心も痛むため早めに対処したい。ちなみに本作では「墓」も建てられる。

また、ネズミが働く島は小さく、高低差もあり手狭だ。採集・伐採などを終えた資源は消失したきり復活しないので、蓄えにもすぐに限界が見えてくる。特に木材は納税の際も高レート、かつ建設での要求数も多いため、消費には慎重になってしまうだろう。

しかし、本作では「採掘」が完了したマスが消失することを利用した整地が可能。そこを農地に設定して減ってしまった木々を植えたり、納税しやすい亜麻などを育てたりして、継続的な資源の確保を目指せるかたちだ。先述のとおり体験版では自動化要素がロックされているものの、いずれは地形を操作しつつうまく生産ラインを組む工夫が楽しめそうだと感じた。

▲採掘によって平地の面積を増やせる。有効活用しよう。

チュートリアルには少々不足があるように感じられるが、プレイヤー自身の経験や試行錯誤で現状をやりくりする面白さが味わえる本作。慣れてきた頃合いを見計らうように新たな困難が次々と顔を出す、骨太な作品という印象だ。苦労して寝床を人数分揃えたものの、仕事場が遠いネズミたちの帰宅が間に合わず野宿され、賛同数がごっそり落ちるといった問題に直面した際は頭を抱えてしまった。ずっと目先に課題があるのでつい黙々と没頭してしまう魔力がある。

そんな本作だが、ニューゲームの際には細かく難易度を調整できる仕様。やりごたえを求めるベテランプレイヤーはもちろん、興味はあるがコロニーシムにあまり触れたことがないというライトなプレイヤーも、ひとまず体験版で感触を確かめてみることをお勧めしたい。

筆者は自転車操業ながら真面目に納税するプレイをしていたが、徴収船を無視したり部分的な納税でやり過ごすことも可能で、そういったことを繰り返すと猫の王国から敵視されるようになる。シミュレーションらしいプレイ内容による展開の違いも楽しめそうだと感じた。製品版のボリュームにも期待したい。

『Whiskerwood ウィスカーウッド』は2025年11月6日に発売予定で、配信プラットフォームはPC(Steam, GOG, Epic Games Store, Microsoft Store, PC Game Pass)とのこと。英語や日本語をはじめ17言語に対応予定だ。


基本情報 Whiskerwood ウィスカーウッド
開発 Minakata Dynamics
販売 Hooded Horse
配信日 2025年11月6日
言語 日本語有り
価格 未定(Steam
未定(GOG
未定(Epic Games Store
未定(Microsoft Store

ライター:しわしわ 編集:LayerQ

この記事で紹介されているゲーム

Whiskerwood ウィスカーウッド

ストラテジー

シミュレーション

日本語対応
Loading...
Loading...
発売日Coming soon
ジャンル
ストラテジー
シミュレーション

カテゴリ
シングルプレイヤー
Steam実績
フルコントローラサポート
Steamクラウド
ファミリーシェアリング
Steamトレーディングカード
カメラの快適性
カスタム音量調整
難易度の調整
ステレオサウンド
マウスのみのオプション
時間制限付き入力なしでプレイ可能
いつでもセーブ可能
テキストサイズの調整
ストアページリンク

Whiskerwood ウィスカーウッド

圧政を敷く猫たちの下、働くネズミたちの住処を築こう。複雑なシミュレーション、緻密な生産網の管理、そして猫とネズミの長年の対立を描く町作りゲーム。

山を切り開き、海を越え、未知の土地を探索しながら、壮大な都市を築き上げましょう。謙虚なネズミたちの知恵と工夫が随所に見られる本作、『Whiskerwood』。複雑な生産網を効率的に稼動させる自動化システムの構築や、主の猫たちから与えられる厳しい要求など、その対応には目を見張るものがあるでしょう。

猫による支配が海を越えて拡大する中、故郷を離れ、危険な旅に送り出されることとなったネズミたち。船で辿り着いたのは、豊富な資源が眠る未開の島。ネズミたちはすぐにコロニーを築き、急増する主からの要求に応えなければなりません。

  • 本作の都市は、複数の島々に建てられています。その規模は様々で、常に限られたスペースで発展させなければなりません。ネズミたちの勤勉さを活かし、空を突き抜けるほどの高層建築を行うか、地下や崖、山の中を深く掘り進むなど、限られたスペースを最大限に活用しましょう。本作は「垂直方向での発展」が鍵となっています。これが大きなチャンスと同時に、多くの課題をもたらすのです。

  • 島に到着すると、ネズミの群れとともに初期資源が手に入ります。持続的な成長と繁栄を得るため、中核となる基本構造や必要不可欠なサービス、生産体制を迅速に確立する必要があります。廃棄物処理施設や医療施設の設置、暖房による施設の温度管理、ネズミたちによる木の伐採、山の採掘、畑や魚の管理など、例を挙げれば枚挙に暇がありません。猫たちの要求に応えながら、市民の日常的なニーズを満たしましょう。そうしなければ、ネズミたちはコロニーを離れてしまいます。ネズミと猫、両者のニーズをバランスよく調整することが求められます。

  • 入植者たちは各々独自の属性を持っており、それが作業効率に何らかの影響を及ぼします。またギルドによる影響も大きく、好みや強み、弱みは所属したギルドによって左右される部分もあります。個々の特性にも注意を払いつつ、適切な仕事を割り振り分けましょう。地下や孤独を好む者もいれば、汚染を気にせず工業地帯であっても喜んで暮らす者もいます。

  • 港で船を建造し、島の外へと探索させましょう。探検家に周囲の海や島々の地図を作るよう命じるのです。中には、海賊が潜む危険な海域もあります。この海域を渡る勇敢な者には、地平線の彼方で特別なチャンスに恵まれます。ネズミにとって海での戦いは危険ですが、きっとその危険に見合った報酬を得られることでしょう。

開拓者の生活は決して楽なものではありません。慣れ親しんだ快適な環境から遠く離れた地で、自然による力を耐え、それをうまく利用する術を学びましょう。あなたはコロニーでの生活を支えつつ、ネズミたちの様々なニーズや要望に応えなければなりません。

  • 地形を整え、山中に巨大な「住処としての巣穴」や「貯蔵用の穴」を掘ったり、産業資源として海岸から内陸深くまで水を引いたりしてみましょう。建設プロジェクトを容易かつ安価に済ますため、広大な土地を時間をかけて平坦にするのもアリ、新しい生成マップから各島の峰や谷に合わせて工事を進めるのもアリです。

  • 新しい住まいにおいて、重要な役割を果たすのは「気候」です。嵐はネズミたちの自然に出てくるやる気を削ぎ、寒波はその時期の収穫を一瞬で台無しにする可能性があります。あるいは、自然の猛威がネズミたちの命を脅かすかもしれません。緻密な配管網を築いて水を温め、蒸気駆動の気候制御システムを運用し、冬に備えて地下深くに貯蔵用の穴を掘っておきましょう。

  • それぞれの作物が持つ特徴に気を払い、できるだけ収穫量を増やしましょう。湿気の多い洞窟はキノコ栽培に最適ですが、小麦は直射日光と肥沃な土壌が必要となります。ジャガイモは高地で育てるのが理想的でしょう。こうした育成環境が自然にある島を探し出すか、技術を駆使して身近な場所をニーズに合わせて調整していくのか、その選択はあなた次第です。

  • 「マウスローの欲求階層説」を知っていますか?ネズミたちは新たな家で充実した生活を求めています。食料と水を十分に確保し、住民がしっかり休めるような住居を提供しましょう。成長する都市の喧騒とともに生じる摩耗。このような問題に対処するため、メンテナンスサービスを組織しましょう。基本的なニーズが満たされると、あなたは選択に迫られます。それは生産性を上げる代わりに士気を下げるか、ネズミたちの幸福を優先し、抵抗の道へと進むかの二択です。生産性を優先すると恐ろしき猫の巨大像を建設することになり、幸福を追求すると大きな公園や噴水を建設することになります。ネズミたちのニーズは多岐にわたり、その幸福は主である猫たちの要求と、慎重にバランスを取っていかなければなりません。

勤勉なネズミはただの働き者ではなく、その頭脳にもキラリと光るものがあります。自動化システムを活用し、あらゆる場面で効率を追求しましょう。ベルトコンベア・システムを大量導入して、マウスの前足以上に速く運び、先端技術を追求してコロニー内を上下に移動できるようにしましょう。こぢんまりとしたコロニーから、蒸気駆動の大都市へと発展させるのです。

  • 本作『Whiskerwood』では、コロニーの繁栄と主である猫を満足させるため、40種類もの商品が採取・製造・取引されます。金鉱石や木材・小麦などの資源の採取、キャンドル・織物・料理などの加工品の製造、スパイス・紅茶・家具などの贅沢品の収集──コロニーが発展するにつれ、定住したネズミ族の欲求を満たすために、経済を拡大していかなければなりません。

  • アイテムの中には、成長過程にあるコロニーでは手に入りにくいものもあります。そういう場合、猫たちの要求に応え、好意を得ることで高級品をゲットしたり、他のネズミ派閥や海賊のボスたちと交易関係を結ぶことで回ってくるものもあるでしょう。

  • ベルトコンベア、スロープ、エレベーター、滑り台など、様々な物を緻密に組み合わせた供給網を構築しましょう。それにより、物資収集から加工、保管、使用場所への迅速な運搬が可能となります。同様にこれは、ネズミと物資を素早く移動させるのにも使えます。一日に使える時間は限られているため、いかに効率に作業を行えるかが鍵となってきます。

  • 島全体の基本的なニーズを満たすため、水や蒸気を長距離に渡って流せるパイプラインを敷設しましょう。ポンプや井戸、ラジエーター、通気口などは限られたエリアでしか機能しません。そのため、コロニー全体をカバーするには綿密な建設計画が必要となります。

  • 研究施設で新技術の開発を進めることで、コロニー全体の生産性を底上げすることができます。新たな建物、資源、政策が、ネズミたちに明るい未来をもたらすでしょう。

ネズミたちにも限界というものがあります。追い詰められれば、必ず反撃に出るでしょう。猫は苦しむネズミのことなど一切気に留めていません。ですが、その要求は日に日に理不尽さを増していきます。雨の日も晴れの日も、猫たちが満足するまで出荷をこなさなければなりません。さもなくば、自身の仕事を思い出させるため、猫の子分らがやってくるでしょう。この圧政を敷く猫たちに従い続けるのか、それともヒゲを逆立てて反抗するのか──あなたはどちらを選びますか?