「ドーナツに穴はある?」答えがない問いを通じて自分と向き合う思考実験アドベンチャー『ドーナツの穴』ブースレポート【TGS2025】

ばんじーよこすか

2025/10/10

2025年9月25日~28日に、千葉県・幕張メッセにて開催の「東京ゲームショウ2025(以下、TGS2025)」の出展タイトルから、筆者が注目する魅力的なタイトルをピックアップして紹介しよう。

なお、基本的には今後リリース予定の開発中のタイトルや、ローンチから間もないタイトル、早期アクセス中のタイトルを対象としている。

TOKYO GAME SHOW 2025 - 東京ゲームショウ2025
延べ600万人以上が来場した日本最大級のゲームの祭典!幕張メッセにて9/25-28にて開催!今年のテーマは「遊びきれない、無限の遊び場」。

答えのない問いに向き合うゲーム体験

ドーナツの穴』は、答えの存在しない問いに答えていく思考実験アドベンチャーゲームだ。開発は、宮村あつき氏とかこ の にこみ氏が手掛ける。

「ドーナツに穴はあるのか?」と考えたことはあるだろうか。本作では、このような正解も不正解もない問いに対して、プレイヤーが答えを出していくことで自分自身を深く知ることができる。

Steam:ドーナツの穴
こたえのない問いにこたえる思考実験アドベンチャー。 白昼夢のような世界で思考の海へ沈み込めば、”あなた”と”わたし”の本当が見えてくるかもしれません。

今回は、東京ゲームショウ2025限定の試遊版をプレイさせていただいた。まず、画面に現れたのはキービジュアルにも登場している白いキャラクター・わたし(CV:菜月なこ)だ。頭から白い布のようなものをかぶり、二重の花飾りのようなものを上に載せている。

「わたし」は、プレイヤーに対して「いくつか質問をします。間違いも正解もないので、思う通りに答えてみてください」と言う。最初の質問は、「お気に入りのカップは、割れてもお気に入りといえる?」というものだった。

「わたし」の後ろには2つのドアがあり、それぞれに選択肢「割れてもお気に入り」か「もうお気に入りじゃない」が書かれている。そこで、筆者は「もうお気に入りじゃない」を選択。ドアを開けて次の部屋に進むと、その問いに対して、どれくらいの割合のプレイヤーが同じ選択肢を選んだのかを確認できた。

このように、問いに答えたあとには他のプレイヤーの答えを知ることができ、自身の思考をより深く掘り下げられるようになっている。なお、この統計データはドアを開けた瞬間にリアルタイムで集計され、それまでの全プレイヤーの回答が反映される。

▲謎のキャラクター・わたし
▲筆者は多数派だったようだ

今回の試遊版では、計6問の問いに答えた。どの問いも簡単には答えを出せないものばかりで、1問目の「お気に入りのカップ」の問いでさえ、筆者はしばらく考えこんでしまった。正解がないからこそ、自分の価値観が浮き彫りになりそうだ。

中には、「ここはどこだと思う?」という問いに対して、「実験室」「夢」「ゲーム」などの他に「幕張メッセ」というメタ要素を含む選択肢も用意されていた。繊細なフォントや簡潔でわかりやすいUIデザイン、グラフィックによる洗練された世界観の中で、イベント期間中のみの特別な演出が違和感なく機能しており、思考と遊び心が共存する印象的な体験だった。

▲「ここ」とはどこなのだろうか

Unity 1週間ゲームジャムからSteam版へ

試遊したあとに、本作を手掛けた宮村氏とかこ氏にお話をうかがった。宮村氏がメインのディレクションとモーション以外のグラフィックを、かこ氏がプログラミングを担当している。

本作は、2024年12月に開催された「Unity 1週間ゲームジャム」のお題となっていた「ない」の回を通じて開発されたもの。テーマである「ない」を見たときに、宮村氏は数年前に友人から投げかけられた「ドーナツの穴ってあると思う?」という問いを思い出した。

そこから、「植物に魂はあると思う?」などの答えのない問いに答え続けるというゲームコンセプトが生まれた。こうして完成したゲームジャム版を公開したところ、SNSを中心に多くの反響が寄せられたため、Steam版の開発へとつながった。

かこ氏は、プレイヤーが遊んでいる最中に迷わないようSEなどの表現に特にこだわって開発しているとのこと。筆者が試遊時に感じたプレイヤーフレンドリーかつ洗練された世界観は、宮村氏による実体験から生まれた奥深い質問と、かこ氏による丁寧な演出の組み合わせのなせる技と言えそうだ。

なお、本作は選択した答えに応じてストーリーが分岐し、問いも変化する。キャラクター「わたし」がいったい何者なのか、このゲームの世界はどこなのかなどについては、製品版をプレイしたらわかる…かもしれないとのこと。

正解のない問いを通じて、自分自身を深く知ることができる思考実験アドベンチャー『ドーナツの穴』の発売は、2026年内を予定されている。日本語以外にも英語、中国語(簡体字、繁体字)に対応予定とのこと。ひとりでじっくり向き合うのはもちろん、友達と一緒にプレイして考えを共有するのも面白そうだ。気になる方は今すぐウィッシュリストに登録しておこう。なお、1週間ゲームジャム版は公開中なので、そちらも併せてチェックしてみよう。


基本情報 ドーナツの穴
開発 宮村あつき, かこ の にこみ
販売 room6
配信日 2026年
言語 日本語有り
価格 未定(Steam

ライター:ばんじーよこすか 編集:LayerQ

この記事で紹介されているゲーム

ドーナツの穴

インディー

アドベンチャー

日本語対応
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発売日
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アドベンチャー
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ドーナツの穴

こたえのない問いにこたえる思考実験アドベンチャー。 白昼夢のような世界で思考の海へ沈み込めば、”あなた”と”わたし”の本当が見えてくるかもしれません。

『ドーナツの穴』はこたえのない問いにこたえる 思考実験アドベンチャー

白昼夢のような世界で思考の海へ沈み込めば、”あなた”と”わたし”の本当が見えてくるかもしれません。

たくさんの問いを通して、花冠をかぶった”わたし”と対話をしましょう。

「もしも過去の自分に会えるならどうしますか?」

「実際には経験していない思い出を、お金で買えるなら買いますか?」

きっとあなたも考えたことのある問いから、自分でも気がつかなかった心の奥底に触れるような問いまで。

この問いに正解はありません。あなたの思うようにこたえてください。

問いにこたえた後、どのくらいのプレイヤーがどんな選択をしたのかがわかります。

自分と同じこたえの人がどれくらいいるのか確認したり、他のこたえを選んだ人の理由を想像してみたり。自分と誰かの考えに思いを巡らせてみましょう。

選択肢のかかれたドアをくぐって、あなたのこたえを選んでください。

あなたの選択によって変化していく部屋を自由に散歩しながら進み、思考の深淵へ沈んでいきましょう。

たくさんの選択のドアをくぐったら、この世界のひみつも見えてくるでしょうか?

身近な食べ物の問いから、命にまつわる問いまで、考えること自体も興味深いたくさんの問い。

でも、そもそも何のために尋ねられているのでしょう?

問いの背景に隠された意味を読み解き、そこにあるドーナツの穴に向き合うか否かはあなた次第。

ただし、深く深くのぞきこんでしまったら……もう戻れないかもしれません。

“わたし”

おしゃべり好きだけど、どこか儚げでつかみどころのない存在。

あなたにききたいことがあるようです。

“あなた”

あなた自身の記憶、あなた自身の考えから、あなたの選択を行ってください。

- 数百問以上の問いの追加

- ストーリーのリニューアル

- ストーリーと問いの複雑な分岐

- グラフィックが進化・新しいステージの追加

- こたえた問いの見直しやバックログなどの便利システム

- 英語、中国語(簡体字・繁体字)の追加