2026年10月3日~4日に、大阪府・コングレスクエア グラングリーン大阪にて「OSAKA INDIE GAMES SUMMIT 2026(以下、OIGS2026)」が開催された。試遊した出展タイトルから、筆者が注目する魅力的なタイトルをピックアップして紹介しよう。
なお、基本的には今後リリース予定の開発中のタイトルや、ローンチから間もないタイトル、早期アクセス中のタイトルを対象としている。

本稿でご紹介するのは、ラフであたたかい印象のポスターが魅力的で試遊した『オピポピ』だ。本作は、「眠くなるまで部屋にあるものを調べて過ごす」という、ポイント&クリック形式の短編テキストADVだ。開発をぐらたんP氏が個人で手がけ、各種フリーゲームサイト(ノベルゲームコレクション、PLicy、ふりーむ!、フリーゲーム夢現、アニメイトゲームス、itch.io)にて2026年4月より無料で公開されており、10月2日にはPC(Steam)にも移植されている。
そろそろ寝ようと思いつつ、まだ寝付けるほどの眠気はない――そんな夜に、誰しも心当たりがあるのではないだろうか。本稿では、OIGS2026限定の試遊版を会場でプレイしてみた感想とともに、開発者へ実施したインタビューの内容をお伝えしよう。なお、本稿のインタビュー部分はネタバレが一部含まれる内容となっている。未プレイの方はご注意いただきたい。

眠気が満ちるまでのんびり過ごす……だけ?
本作の内容は、主人公の少女「ケレス(デフォルトネーム)」が眠りにつくまで、部屋にあるものを調べて回るというもの。ループを感じさせるようなテキストとともに、ケレスはゆっくりと目を覚まし、状況を確認する。部屋にあるさまざまなものをクリックして、少しずつケレスのこと、部屋のことを知っていく流れだ。
植物に話しかけてみたり、日記を読み返してみたり、ぬいぐるみを抱き締めたり……調べるたび、ものにまつわる思い出や考えごとが出てくるとともに、連想してほかのアイテムの存在を教えてくれることもある。
そうして、気になるものに触れていくうちに眠気が満ちて、ケレスは眠りにつく。その後に見る夢がエンディングとなるのだが、眠るまでのあいだに“あるもの”にどれだけ気付いているかで、内容が変化するとのこと。
本作は、菜月なこ氏によるボイスが収録されていて、システムやアイテムの選択時は読み上げてくれることにくわえ、エンディングはフルボイスとなっている。当日の試遊版エンディングにはOIGS2026限定のボイスが収録されていて、「来てくれてありがとう、これからも楽しんで」と送り出してくれた。
実はこの限定ボイスは、菜月なこ氏がご多忙で収録できず、代わって青都みなも氏にご依頼したものなのだとか。会場で本編ボイスと限定ボイスを実際に続けて聞いていたが、別人とはまったく分からない仕上がりで、お話を伺ったときは非常に驚いた。すさまじい技術である。
なぜ彼女は、“眠るまでの時間”だけを繰り返しここで過ごすのか。“足りなかったもの”とはなんなのか。夢のなかで頭から羽根が生えているのはなぜなのか――まったりとしたダウナーな雰囲気のなか、ぐっと興味をそそられこの世界に惹きこまれるような謎が、ふんだんに散りばめられていた。
イベント後にさっそくプレイしてみたが、本編は攻略も30分程度で完了できるボリュームなので、なんとなく眠れない日の夜にはぜひプレイしてみてほしい一作だ。
丁寧に作りこまれた、遊び心地のよい世界――開発者インタビュー
会場にて、開発のぐらたんP氏にお話を伺うことができた。氏はもともとティラノビルダーを使って制作をしていたが、別のエンジンも試そうという技術検証の一環で、本作の制作がはじまったとのこと。もともと「部屋のものを触る」というアイデアはあったため、そこから膨らませて現在のかたちがあるという。
制作においては、プレイの流れが止まらないように意識していたと聞かせてくれた。試遊版でもあった「日記になにか書いたはず」「あとでなにか思い出すかも」などの誘導は、当初はテキストとして実装されていなかったそう。ものを二回調べられることやシナリオ的な伏線がプレイヤーにあまり伝わっていなかったため、シナリオを読むなかで直接的に分かるよう調整したのだとか。
好きな順番でものを触ることができ、触ったことがそのままシナリオになるという点は、本作の特徴でもある。たとえば、寝間着を変えればそのプレイ中は立ち絵がきちんと変わっていたりだとか、すでに調べたものへの誘導のあとは「もう調べたんだった」と一言付け加えてくれたりだとか、細やかな回収が随所に用意されているのだ。
くわえて、一回のプレイではすべてのものを触りきることはできない仕様なので、「なにをどういった順番に触るか」もあわせると、プレイ内容のパターンはかなりの数が用意されていることになる。ここも氏がこだわったところだそうで、「せっかく選んでもらうので体験が変化するように」「エンディングを制覇したい人のため、自然に周回できるように」と意識されたのだそうだ。
自由な順番で遊べるようにしつつ、要素にプレイヤーが自然と気付けるような調整を施して、選んだ内容による変化もきっちり備えておく――このような細やかな配慮と仕掛けが積み重なり、本作の心地よいプレイ感をかたちづくっているのだろう。
それから当日、非常に面白いお話を伺うことができた。筆者は試遊中、ケレスのフキダシ上部に書かれた記号が気になったこと、オープニングで「また」という発言があったことから、ついバックログを開いたのだが――なんとも意味深なログが本当に残されていて、非常に嬉しくなった、ということがあった。
しかしこのログ、なんと本来はデバッグ用に「変数のやりとりが正しくされているか」を見るための機能で、そのまま出す予定のものではなかったそう。たまたまネタバレではなくヒント程度のものだったことと、本作のコンセプトに合致していることなどから、そのまま残すことにしたのだとか。
まったりと肩の力を抜いて遊べるおだやかな作品ながら、考察しがいのあるテキストや遊びごころもふんだんに詰め込まれている『オピポピ』。なんとなく疲れていたり、もやもやしたものを持っていたり――そんなときにプレイして、些細でも良い影響があったなら嬉しいと、ぐらたんP氏は聞かせてくれた。
睡眠回遊ADV『オピポピ』は、各種フリーゲームサイト(ノベルゲームコレクション、PLicy、ふりーむ!、フリーゲーム夢現など)およびPC(Steam)にて無料配信中で、Steam版には実績機能も実装されている。気になった方はぜひプレイしてみてほしい。
| 基本情報 | オピポピ |
|---|---|
| 開発 | ぐらたんP |
| 販売 | ぐらたんP |
| 配信日 | 2026年10月2日 / Steam |
| 言語 | 日本語有り |
| 価格 | 無料(Steam) |
| 無料(ノベルゲームコレクション) | |
| 無料(PLicy) | |
| 無料(ふりーむ!) | |
| 無料(フリーゲーム夢現) | |
| 無料(アニメイトゲームス) | |
| 無料(itch.io) |
ライター:しわしわ 編集:レイリー