孤独とぬくもりを知り、勇気に触れる。初めての冬を冒険するパズルADV『ムーミントロール:冬のぬくもり』プレイレポート

朝比奈 / Asahina

2026/05/09

ムーミントロール:冬のぬくもり(原題:Moomintroll: Winter's Warmth)』は、冬眠のさなかにふと目を覚ましてしまったムーミントロールが、初めて見る冬のムーミン谷を舞台に冒険するパズルアドベンチャーゲームだ。ノルウェー・オスロを拠点とするインディーゲーム開発スタジオ"Hyper Games"が手掛ける。

本作は、2024年にリリースされた『スナフキン:ムーミン谷のメロディ』を制作した開発チームによる最新作。直接的な続編ではないものの、前作で描かれた春と秋(DLC)の物語に続くように、今作では「」が訪れて雪景色に覆われたムーミン谷を冒険することになる。

Steam:ムーミントロール:冬のぬくもり
『スナフキン:ムーミン谷のメロディ』の開発チームから、新しい冒険のお話が登場。世界中で愛されるトーベ・ヤンソンの「ムーミン」の物語に影響を受けた、心あたたまる冒険へ。今度は「ムーミントロール」と一緒に、魅力あふれる厳しい冬の旅に出かけましょう。

なお、前作から引き続き、架け橋ゲームズが日本語ローカライズをサポートし、同社のローカライズマネージャー・桑原頼子氏が翻訳を担当している。

ファンが思い浮かべる「ムーミンシリーズのキャラクターならば、こういう口調や言い回しで喋るはず」が再現されていて、原作小説や平成アニメ版へのリスペクトが大いに感じられるはずだ。

冬のムーミン谷に踏み出そう

本作のストーリーは、ふとしたことから冬眠中に目を覚ましてしまったムーミントロールがそれきり眠れなくなってしまい、冬のムーミン谷へと足を踏み出すところから始まる。本来ムーミントロールたちは11月から4月までの間、お腹のなかに松の葉をどっさりと詰め込んで、春の訪れまでこんこんと眠り続けることが古くからの習わしなのだ。

フィンランドが生んだ多才な芸術家トーベ・ヤンソンの手による原作小説『ムーミン谷の冬』をベースに、別作品から持ち寄ったいくつかのエピソードを織り交ぜ、通称・平成アニメ版と呼ばれる「楽しいムーミン一家」からの影響も感じる本作では、ゲームオリジナルの物語が展開されていく。

初めて見る白い世界は凛として美しく神秘的だが、雪と霜が舞い、冷たく恐ろしい世界でもあった。目にしたものを凍りつかせてしまうという「氷姫」の仕業に恐れおののくムーミントロールの前に、友人のトゥーティッキが現れ、彼女が冬の間だけ暮らす水あび小屋でいっとき休ませてくれる。

ニット帽をかぶり、赤と白の横縞のセーターが特徴的な彼女は、冬眠をすることなく過ごす住人の1人だ。そのため、冬という季節や、この時期にだけ姿を見せる生きものたちにも詳しい。さまざまなことを教えてくれ、手助けもしてくれるが、大切なことは自分自身の経験から学び得るものだと信じる彼女は、ムーミントロールが自分で考えて行動するように後押しをしてくれる本作のキーパーソンだ。

彼女が言うには、ムーミン谷では毎年「冬のいきもの」がもっとも暗い日に姿を現し、大かがり火を焚いて祝祭を催す。そうして氷姫が去り、季節が変わって春が訪れる。――しかし、今年は彼らの姿を見かけていないという。

どこかで困った目にあってしまっているのかもしれないし、もし助けが必要ならば何とかしなければならない。それから、大かがり火が焚かれているところを見たければ、一緒に参加してくれる誰かを探せばいいとも。ムーミン谷のみんなが眠っているわけではないのだから。

見知らぬ世界に取り残されたような恐怖、不安、そして孤独感。最初は「冬なんてくだらない」と怒りさえ口にするムーミントロール。だが、戸惑いながらもさまざまな出来事に向き合い、冬眠せずに過ごす住人や生きものたちと出会い、助けたり、助けられたりしていくうちに、その心に変化が現れていく。

ムーミントロールを象徴する言葉に「勇気」がある。その形はさまざまだが、今作で描かれるのは、自ら先頭に立って行動する勇気や、失敗を認めて顧みる勇気。そのひたむきな姿は、仲間たちにも伝わっていくのだ。

なお、弊誌では東京ゲームショウ2025(TGS2025)にて、Hyper GamesのCEO・共同創業者のAre Sundnes氏に対面でのロングインタビューを行っている。

本作に込められた思いや、なぜ『ムーミン谷の冬』をベースに選んだのか。プレイヤーに体験してほしい事柄など、深いところまで伺っているので、併せてご覧いただければ幸いだ。

孤独とぬくもりを感じる、冬のムーミン谷へ――インタビューで知る制作のこだわり。『Moomintroll: Winter’s Warmth(仮)』ブースレポート&インタビュー【TGS2025】
東京ゲームショウ2025『Moomintroll: Winter’s Warmth』ブースレポート。本作は原作小説『ムーミン谷の冬』をモチーフに、厳しい冬を乗り越える成長物語を描く。試遊レポートと開発チームへのインタビューで語られた制作舞台裏も紹介。

▲孤独とぬくもりを感じる、冬のムーミン谷へ――インタビューで知る制作のこだわり。『Moomintroll: Winter’s Warmth(仮)』ブースレポート&インタビュー【TGS2025】

「冬の生きもの」を捜して谷を巡る。アクションとパズルが織りなす優しいアドベンチャー

本作のゲームシステムは、手書き風のビジュアルで描かれたストーリーベースの2D見下ろし型のアドベンチャーゲーム。プレイヤーは主人公のムーミントロールを操り、ムーミン谷を巡るなかで住人たちと交流し、自らの成すべきことを見出していく。

前作『スナフキン:ムーミン谷のメロディ』では、主人公のスナフキンが楽器を使ったインタラクティブなパズル要素が特徴となっていた。今作ではムーミントロールは「道具」を使う。火を灯すマッチ。雪玉を作って投げたり、大玉を転がせたりするミトン。積雪をかき分けるシャベル。倒木をバラバラにして薪にしたり、氷を砕いたりする斧――といったように、よりアクション性が増したという印象だ。

物語の大きな目的は、先述した大かがり火を焚くための準備をすること。基本的には「冬の生きもの」の行方を捜しつつ、ムーミン谷を巡るなかでさまざまな状況や出来事、住人や生き物たちと出会うことでメインクエストが進行し、加えてサブクエストも発生する。

それはだれかを助けるために行動することだったり、シンプルにおつかいだったりする。あるクエストの目的のために、新たなクエストが発生するような連続性のある展開もあり、物語が途切れない自然な流れが演出されていた。

本作はゲーム全体を通して比較的優しい難易度となっているが、アクションやパズル要素をさらに緩和・簡略化するアクセシビリティオプションが充実しているので、普段はゲームをプレイしないというムーミンシリーズのファンの方でも安心してプレイすることができるだろう。

▲冬の生きものの言葉をムーミントロールは完全には理解できないため、彼らはカタコトの独特な調子で話す。ゲームオリジナルの演出で雰囲気が出ている。

魅力的で彩り豊かなキャラクターたち

そんな本作に登場するのは、白くて丸々として、大きな鼻をもつムーミン族の男の子・ムーミントロール。冬のことを教え、話し相手になってくれるトゥーティッキ。マイペースなミムラ族の女の子・リトルミイ。ムーミン一族のご先祖の小さなトロール。スキー好きの大きなヘムル族のヘムレンさん。自分のことを強いオオカミの仲間だと思っている小さな犬・めそめそ。

原作『ムーミン谷の冬』に登場した彼らに加えて、神経質で心配性のフィリフヨンカと3人の子どもたちや、悲観的で泣き虫なミーサに、全身真っ黒なねずみのソフスといった、ファンには馴染みのあるキャラクターたちが登場する。その他にも、ここでは秘密にしておきたい特別な出会いもあなたを待っている。

彼らの人となりや台詞回しはやはり平成アニメ版を彷彿とさせるところがあり、意外と辛口でドライなこともある原作とは、趣が異なるところもまた魅力だ。そんな違いも確かめつつ、ムーミントロールがどのようにこの冬を乗り越えて、さまざまな経験を自分のものにし、春を迎えることになるのかを一緒に確かめてみてはいかがだろうか。

ムーミントロール:冬のぬくもり』は、PC(Steam)・コンソール(Nintendo Switch)にて、2026年4月28日より配信中だ。

▲関わった住人たちがムーミンやしきに集う。展開や顔ぶれは異なるものの、これもまた原作に通ずるシーンだ。

ゲームに併せて、原作小説を読んでみよう

先述のとおり、本作は原作小説『ムーミン谷の冬』をベースとしている。別作品のエピソードを採り入れてボリュームを増したゲーム本編よりもミニマルな物語だが、併せて読んでみるとより一層本作を楽しめるだろう。

日本では講談社が出版する「青い鳥文庫(山室静・訳)」と、「ムーミン全集・新版(山室静・訳/畑中麻紀・翻訳編集)」があり、後者はソフトカバーと文庫が存在している。

小説 | ムーミンの本 | ムーミン公式サイト
ムーミンの公式サイトでは、ムーミンの仲間たちや歴史、作者トーベ・ヤンソンについてご紹介しています。イベントやグッズなどムーミンに関する最新の情報もぜひチェックしてみて!

新板はモダンで読みやすい訳語にリニューアルされていて、2019~2020年に刊行されたソフトカバーはひらがな多め。2025年に「ムーミン出版80周年」を記念して刊行された文庫は漢字の割合を増やしつつ、文字づかいなどを改めた内容となっている。大人の皆さんには文庫がおすすめだが、電子書籍化されているのは今のところソフトカバーの内容なので、扱いやすい方を選んでほしい。

余談だが、ムーミン最初の物語は1945年に本国で出版された『小さなトロールと大きな洪水』となっているが、日本では1964年に講談社から翻訳出版された「少年少女新世界文学全集27 北欧現代編」に収録された『ムーミン谷の冬』が初手。つまり、本作のベースとなった作品こそが、日本の読者が最初に目にしたムーミンの物語なのだ。そう思うと、なんとも感慨深くはないだろうか。

▲ムーミンママの銀のおぼんをソリ替わりに滑走するリトリミイ。展開はゲームオリジナルだが、この場面は原作由来。大きなヘムル族のヘムレンさんの登場も同様。

特典満載の限定版も! パッケージ版が7月30日に発売予定

ダウンロード版の配信から3ヶ月遅れとなるが、2026年7月30日にはNintendo Switch向けパッケージ版の発売を予定。通常版に加えて、さまざまな特典を同梱した限定版も用意される。なかでも、めそめそを抱っこするムーミントロールやご先祖さま、そしてヨクサルをモチーフにしたピンバッジ3種は、ファン垂涎のアイテムだ。

各ECストアではすでに予約受付が開始されているため、確実に手に入れたい方は早めの予約を検討してみてはいかがだろうか。

Moomintroll: Winter’s Warmth Physical

▲ローンチトレーラーは、通称・平成アニメ版と呼ばれる「楽しいムーミン一家」でムーミントロール役を務めた、声優の高山みなみ氏によるナレーション付となっている

基本情報 ムーミントロール:冬のぬくもり
開発 Hyper Games
販売 Hyper Games, Kakehashi Games
配信日 2026年4月28日
言語 日本語有り
価格 2,300円(Steam
2,550円(Nintendo Switch
4,480円(Nintendo Switch
※通常版パッケージ
13,970円(Nintendo Switch
※限定版パッケージ

© Moomintroll: Winter's Warmth™. Developed by Hyper Games
© Moomin Characters™

ライター:朝比奈 編集:LayerQ

この記事で紹介されているゲーム

スナフキン:ムーミン谷のメロディ

インディー

アドベンチャー

RPG

日本語対応
25%¥1,725

ムーミントロール:冬のぬくもり

RPG

アドベンチャー

インディー

日本語対応
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発売日2024年3月8日
ジャンル
アドベンチャー
RPG
インディー

カテゴリ
シングルプレイヤー
Steam実績
フルコントローラサポート
Steamクラウド
ファミリーシェアリング
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スナフキン:ムーミン谷のメロディ

スナフキンとなって、ムーミン谷の調和を取り戻す音楽の旅に出発しましょう。豊かな物語を楽しみ、気まぐれで素敵なキャラクターたちと出会いながら、厳格な公園番からムーミン谷を守りましょう。

デジタルデラックスエディション

トーベ・ヤンソンの美しく、陽気で、けれどどこか切ないムーミンの世界を『スナフキン:ムーミン谷のメロディ - デジタルデラックス版』でご体験ください。

スナフキンがいつも持ち歩く大切な思い出の品、帽子に飾る花と考え事をするときにくわえるパイプの2つを持ってムーミン谷を旅しましょう。

厳しい気候から手付かずの自然の絶景まで、北欧の風景にインスパイアされた情緒あふれるオリジナルサウンドトラックをお楽しみください。作曲家のOda Tilsetとアイスランドの人気バンドSigur Rósのコラボレーションが生んだ音色です。

数々のコンセプトアート、見たこともない場所や風景、そしてゲームを開発したチームの思いに触れましょう。キャラクターや世界観、いきものたちの様子など、このゲームに命を吹き込み絵本のように作り上げた技術、哲学、スタイルの裏側に迫ります。

『スナフキン:ムーミン谷のメロディ - デジタルデラックス版』に含まれるもの:

『スナフキン:ムーミン谷のメロディ』本編

追加コンテンツ「大切な思い出」

『スナフキン:ムーミン谷のメロディ - オリジナルサウンドトラック』

『スナフキン:ムーミン谷のメロディ - デジタルアートブック』

『スナフキン:ムーミン谷のメロディ - 恋に落ちたクロットユール』


ゲームについて

『スナフキン:ムーミン谷のメロディ』は、豊かな物語と音楽の旅を楽しめるアドベンチャーゲームです。スナフキンとなって、ムーミン谷に暮らす風変わりで個性豊かなキャラクターたちを助けましょう。趣味の悪い公園がムーミン谷のいろいろなところにでき上がり、自然の風景と調和を乱しています。警察官の気をそらしながら看板を引き抜き、自然にそぐわない像を倒しましょう。ムーミン谷の自然と住民たちの暮らしを取り戻すために力を尽くしながら、厳格な公園番の計画を阻止するのです…。

美しく創り上げられた本格的な北欧のゲームを体験しましょう。トーベ・ヤンソン氏の描く鮮やかで愛されるムーミンの世界ー生き生きとした物語や感情、メランコリックな雰囲気が詰め込まれています。パズルやかくれんぼ、音楽の要素がオープンワールドシステムと融合し、どんな年齢の方も楽しめる心温まる旅へみなさんをご招待します。

素敵な絵本のスタイルが世界を創り上げる

ムーミンの物語の本質を捉えた、想像力豊かで美しい世界に飛び込みましょう。原作となる小説や絵本で描かれている世界が、これまでに見たこともない方法で融合し、『スナフキン:ムーミン谷のメロディ』へ命を吹き込みます。

アイスランドのポストロックバンド「Sigur Rós」が生み出すメロディと調和の取れたシンフォニーを、一つ一つ体験しましょう。スナフキンとしてハーモニカを使って曲を奏でることで、ムーミン谷の住民たちと友達になることもできます。心を開き、足取りを軽くしてムーミン谷を旅しましょう。

気まぐれで素敵なキャラクターたち

気まぐれで深みがあり、様々な個性を持つキャラクターたちのことを知りましょう。趣味の悪い公園が出来た原因を見つけるだけではなく、ムーミン谷の可愛らしい住民たちと出会う旅でもあるのです。

音楽の旅

地平線に太陽が沈んで温かな琥珀色が映えている草地。野花の香りが爽やかなそよ風と混じり合い、隠された驚きと語られることのなかった物語を運んでくれる場所。帽子を深く被ってハーモニカを持ったスナフキンとして旅をする場所。そんなさまざまなエリアを探索しましょう。ムーミン谷を探索してパズルを解くことで、素敵なひらめきが得られます。

ゲームの特長

  • 素敵な絵本のアートスタイルで描かれた、豊かな物語を楽しめる心地よい旅に出発しましょう。

  • 厳格な公園番と不愉快な公園をムーミン谷から追い出しましょう。頼りになるハーモニカと、ちょっとしたかくれんぼ、そして、旅の途中に出会う友達が助けになります。

  • ムーミン谷に住んでいる50以上の可愛らしいキャラクターと生き物に会いましょう。

  • 物語性を重視したゲームプレイを体験しましょう。トーベ・ヤンソン氏の作品にインスパイアされたキャラクターたちによる、数々の魅力的な物語とクエストを楽しめます。

  • オープンワールドになったムーミン谷を探索し、そこで起きていることを明らかにするために音楽と環境のパズルを解き明かしましょう。

  • Sigur Rósとのコラボレーションにより生まれた、音楽とメロディが作り出す美しい音の風景に浸りましょう。

© Snufkin: Melody of Moominvalley. Developed by Hyper Games. Published by Raw Fury AB. © Moomin Characters ™

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